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トーキング・マイノリティ

読書、歴史、映画の話を主に書き綴る電子随想

ペスト大流行 その一

2020-11-19 22:00:03 | 読書/欧米史
『ペスト大流行-ヨーロッパ中世の崩壊-』(村上陽一郎著、岩波新書 黄版225)を先日読了した。初版は1983(昭和58)年3月だが、コロナ禍もあって再び売れているそうだ。表紙裏では本書をこう紹介している。 ―十四世紀中葉、黒死病とよばれたペストの大流行によって、ヨーロッパでは三千万近くの人びとが死に、中世封建社会は根底からゆり動かされることになった。記録に残された古代いらいのペスト禍をたどり、ペ . . . 本文を読む

魔女狩りが盛んになった本当の理由 その二

2020-03-23 21:52:50 | 読書/欧米史
その一の続き 魔女狩りに熱中したのは聖職者やマシュー・ホプキンスのように法に精通した者ばかりではなく、一般庶民もそれに加わる。ドイツで魔女狩りが盛んになると、16世紀末頃から各地の町や村で「魔女告発委員会」という組織が結成された。裁判所のやり方が生ぬるいというので、数人の委員が原告となり、魔女裁判に関する証人を手配したり、被告を裁判にかける準備を進めたのだ。 彼らの勝手なやり方に当局が文句を言うと . . . 本文を読む

魔女狩りが盛んになった本当の理由 その一

2020-03-22 22:11:42 | 読書/欧米史
『愛と残酷の世界史』(桐生操 著、ダイヤモンド社)を先日読了した。表紙はいささか少女漫画チックだが、前に著者の代表作『本当は恐ろしいグリム童話』を読んだこともあって、タイトルが気に入って図書館にあった本書を借りた。「欲望と背徳と秘密に魅せられた人々」のサブタイトル通り、エログロナンセンスの世界史。 「はじめに」で著者が「奇妙な残酷さが好きである……」と述べているように . . . 本文を読む

テンプル騎士団の呪い

2020-02-24 21:10:12 | 読書/欧米史
 債務の帳消しと絶対権力確立のため、テンプル騎士団に異端の濡れ衣を着せ、騎士団壊滅を断行したフランス国王フィリップ4世。殆ど己の望み通りにことが運んだが、フィリップ4世はそれから1年も経ず崩御する。国王や息子たちのみならず、騎士団壊滅に協力した関係者も死んだため、テンプル騎士団の呪いと言われるようになる。  佐藤賢一氏の著書『テンプル騎士団』(集英社新書)には、テンプル騎士団最後の総長ジャック・ . . . 本文を読む

テンプル騎士団

2020-02-22 21:32:03 | 読書/欧米史
『テンプル騎士団』(佐藤賢一 著、集英社新書)を読了した。十字軍には特に関心はないが、テンプル騎士団員が主人公の青池保子さんの歴史漫画『サラディンの日』を以前見ていたこともあり、行きつけの図書館にあった本書を借りてきた。表紙裏にはこう紹介されている。 ―十二世紀初頭に誕生した「テンプル騎士団」は、もともとエルサレム巡礼に向かう人々の保護のために設立された。しかしその後、軍事力、政治力、経済力すべ . . . 本文を読む

神の代理人 その三

2020-02-19 21:10:15 | 読書/欧米史
その一、その二の続き「アレッサンドロ六世とサヴォナローラ」は、タイトル通り2人の対立を描いている。法王の秘書官の1人バルトロメオ・フロリドの日誌とフィレンツェの薬種香料商人ルカ・ランドゥッチの年代記を交互に載せるかたちで作品が成り立っている。この両者が語り部となり、彼らの見たアレッサンドロ六世とサヴォナローラ像が描かれる。 ただ、前にこの作品を読みながら、バルトロメオ・フロリドの日誌に出てくるアレ . . . 本文を読む

神の代理人 その二

2020-02-16 21:40:09 | 読書/欧米史
その一の続き ピオ二世がいかに教会の権威を振りかざして十字軍を扇動しても、「神がそれを望んでおられる」の一言で聖地エルサレムまで遠征した11世紀と違い、呼びかけに応じた国や君主は殆どいなかった。応じない君主は破門、という伝家の宝刀さえ効果がなかった有様。 それでもピオ二世は必ずや欧州の君主たちが十字軍に馳せ参じると、最後の最後まで信じていたのだ。法王の側近さえ君主は来ないと見ていたのに。『最後の十 . . . 本文を読む

神の代理人 その一

2020-02-15 21:10:11 | 読書/欧米史
 昨年ローマ法王が38年ぶりに訪日したこともあり、久しぶりに『神の代理人』(塩野七生 著)を再読してみた。但し私が持っているのは中公文庫版で、初版は昭和50年(1975)11月だから、もう40年以上も前に執筆された作品なのだ。まだ若いためか著者には少し気負いも感じられるが、全く古びていない。文庫版裏表紙にはこう紹介されている。―枢機卿のポストでサヴォナローラを懐柔しようとした法王アレッサンドロ六世 . . . 本文を読む

かの名はポンパドール

2018-12-06 21:10:55 | 読書/欧米史
『小説フランス革命』に続き、佐藤賢一氏の小説『ハンニバル戦争』『かの名はポンパドール』(世界文化社)を読了した。後者はタイトル通り、ルイ15世の公妾として知られるポンパドゥール夫人の生涯を描いている。ポンパドゥール夫人の名は学生時代に読んだ永井路子氏の『歴史をさわがせた女たち』(文春文庫)で既知だったが、国王を手玉に取り、思うまま贅沢三昧にふけった強かな女のイメージが強かった。 しかし、この作品で . . . 本文を読む

優しき革命家の妻 その②

2018-07-15 21:40:18 | 読書/欧米史
その①の続き デムーラン夫妻の新家庭は、疲れた革命家たちのしばしの憩いの場にもなった。やがて2人には男児が誕生、オラースと名づけられたが、その名付け親はロベスピエールである。上の画像はデムーラン一家を描いた画で、いかにも幸福そうな家族の肖像画だ。池田理代子氏はリュシルをこう評している。 「だいたいが、リュシルという女性は、《やさしくけなげな妻》として生きるのが一番ふさわしい、したがってそれ以外の . . . 本文を読む