パリ祭が近いから、という訳ではないが、『フランス革命の女たち』(とんぼの本/新潮社)を先日久しぶりに読み返した。作者はあのベルばらの池田理代子氏。タイトル通り、フランス革命期を生きた11人の人物が登場する。黒一点のエオン・ド・ボーモンを除き、10人の女たちの生涯が描かれている。 今回再読して最も印象的だったのはリュシル・デュプレシ、カミーユ・デムーランの妻だった。時代と個性の強い性格もあってか、 . . . 本文を読む
その①、その②の続き 第Ⅲ巻では、アレクサンドロスをめぐる女たちへの記述が意外に少なかった。烈女で有名な母オリンピアスよりも父フィリッポス2世の方に筆を割いているし、初めて正式に結婚したロクサネについても、こんな描き方なのだ。「28歳になるこの年まで女の気配さえもなかったアレクサンドロスが、側室にするどころか結婚までしたのだから、絶世の美女であったにちがいないと、これより三百年後も後に書くことにな . . . 本文を読む
その①の続き 古代ギリシアでアテネと常に覇権を争っていたスパルタだが、後者と江戸時代の日本との比較は面白かった。二千年の時代差があり、西洋と東洋の地域差があるにかかわらず比較の対象にするのは、ただ一点のみの共通性にあるというのだ。それは社会の階層を固定化したことによって、三百年の平和を享受したという一点のみ。 ただし、環境は同じではなく、スパルタのサムライたちは対外戦争をせざるをえなかったが、日本 . . . 本文を読む
『ギリシア人の物語Ⅲ/新しき力』(塩野七生著、新潮社)を読了した。新潮社の公式サイトのタイトルは、「塩野七生 最後の歴史長編は「永遠の青春」アレクサンダー大王を描く圧倒的巨編」となっており、著者へのインタビューが載っている。これで最後の歴史長編となるのは、私も含め長年に亘ってのナナミスト(塩野ファン)には寂しい限りだが、雑誌へのエッセイ寄稿なら、この先もあるかもしれない。 それにしても、最後に何故 . . . 本文を読む
その①、その②の続き 海軍の強化を目指したアメリカだが、それでも18世紀には軍事力は行使せず、1795年9月にアルジェと和平条約を締結している。その内容は、アメリカが64万2,500ドルの即時支払いと共に、約2万1,600ドル分の鉄砲や船舶資料を毎年アルジェに貢納するというものだった。 その見返りは捕らわれていたアメリカ人の解放と、アメリカ商船への攻撃回避の保証。さらにアメリカはチュニス領やトリポ . . . 本文を読む
その①の続き 新書には、アレクサンドロス大王と海賊とのやり取りが載っている。ある海賊が捕えられ、大王の前に連れてこられ、大王は海賊に、「海を荒らすのはどういうつもりか」と問う。これに海賊は少しも臆することなく、「陛下が全世界を荒らすのと同じです。ただ、わたしは小さい舟でするので盗賊と呼ばれ、陛下は大艦隊でなさるので、皇帝と呼ばれるだけです」と答えた。 この愉快なエピソードは、キケロやアウグスティヌ . . . 本文を読む
『海賊の世界史-古代ギリシアから大航海時代、現代ソマリアまで』(桃井治郎著、中公新書)を先日読了した。歴史教科書では殆ど記述されない海賊だが、歴史上で彼らが与えた影響は決して無視できず、裏面から見た世界史では主役といえるかもしれない。次は表紙裏にある紹介文。
―古代ギリシアのヘロドトスは海賊たちを英雄とみなし、ローマのキケロは「人類の敵」と罵倒した。スペインとオスマン帝国が激突したレパントの海戦 . . . 本文を読む
その①、その②、その③の続き 革命によりルイ16世の権威は損なわれたものの、フランス国民は国王への敬意をまだ失ってはいなかった。国王の権威や信頼が決定的に崩壊したのはヴァレンヌ逃亡が原因だった。フランス国王たる者が海外へ逃亡を図ったのみならず、外国の軍隊を率い進軍するつもりだったことが発覚しただけで、反革命行為と見なされて当然だろう。 ヴァレンヌ逃亡に大いに尽力したのこそ、アントワネットの生涯の愛 . . . 本文を読む
その①、その②の続き バスチーユ襲撃があった日、ルイ16世が日記に「何事もなし」と記していたエヒソードは世界史好きの間には知られている。マリー・アントワネットとの結婚の翌日も同じ一文を書いているが、公私ともに重要な日にも関わらず、この文句は何とも意味深いものを感じる。 実はバスチーユ襲撃前に国民議会から続々と使者がやって来て、パリの不穏な空気を伝えていたのだが、報告を受けても国王は適切な決断を下さ . . . 本文を読む
その①の続き 続けてさらに2017-12-23付のスポンジ頭さんのコメントには、次の一文があるのだ。「さらに、例の手術の話ですが、全く裏付けが取れないのだと近頃知りまして、逆に、どうして手術の話が自明の理となったのか、と思いました。ヨーゼフ二世が説得したことになっていますが、彼の手紙では手術の話など出てきません。「二人のやる気の無さ」を原因としているのです。一体何が何やら」
何とルイ16世の例 . . . 本文を読む