わたしたちの住処をつくる記録

いえづくりについて、できごとと考えたことを記録しておきます

材料検査

2015-01-26 22:29:11 | ただいま普請中
 今日、設計事務所による構造材の材料検査があり、ご一緒させていただきました。こういう形で木材を目にするのは初めてのこと。美しく、香りがよい木材を目の当たりにし、これが我が家になるかと思うと、ちょっと信じられないというか、とても贅沢なことだと感じました。

 

横架材は信州産杉、柱は吉野杉です。
 
吉野といえば今でもブランドですが、以前に比べると手に入りやすくなったとか。

すべて天然乾燥で、とても肌がきれいです。
大工さんによれば、やはり機械乾燥だとぼそぼそしていて刻みにくいといいます。
そして、色も香りも違いますよ、と高温乾燥材を見せてくださいました。

一番上に乗っている細い材が一般的な高温機械乾燥材です。

水銀灯下なので写真の発色は正確ではありませんが、同じ杉でも色味が違うことがよくわかります。実際手に取ってみると、高温乾燥材はいかにも「死んでしまった木」という感じがしてしまいます。なんとなくスカスカ感がありました。また、においも天然乾燥に比べてしまうと、燻製のようなにおいがしました。
また、写真ではちょっとわかりづらいものの、小口をみると高温乾燥材では表面には割れがなくとも、中心部が割れています。

長いほぞをつくる構法の場合は、特にこの内部割れはやっかいだとのことです。逆に、天然乾燥材は表面に割れがあります。木材に理解がないと、この表面に見える割れは「クレーム」の対象になりかねません。しかし、健全な並みの素材には必ず割れがありますし、建てたあともしばらくの間は乾燥が進んで大きな割れる音が家じゅうに響くそうです。でもこれが自然なんですね。

建築家の先生は、同じサイズの材でも、どこにどの面を見せて使用するか大工さんと打ち合わせてくださいました。木は一本一本表情も性質も違うので、工業製品のように単に部品を組み合わせるという発想ではできません。どの部品も同じではないのです。そういったきめの細かい気配り(木配り)によって成り立つ家づくりに立ち会えている、というのが本当に幸せなことだと思います。

大工さんの作業場での材料検査の後、今回施工を担当してくださっている製材屋さんの事務所へ。そこでは我が家に使う7mの垂木が乾燥中でした。この乾燥ですが、「バイオ木材乾燥機」というちょっと珍しいシステムを使っています。35度に保たれた室内で、時間をかけて熟成させるそうですが、原理的なことはわかりませんが、高温機械乾燥ではなく天然乾燥材と同じ仕上がりになるそうです。木の細胞を破壊せずに水分のみを乾燥させる技術です。なかは湿度が高くぬるめのサウナのようでしたが、これも面白い経験でした。
 

いやあ、本当に楽しいですね。いい人たちに出会えてよかった、と思います。