MSX研究所長の日常

80年代を駆け抜けたオールドパソコンMSXの研究の日々を綴ります。

1チップMSX・仕切り直し

2005年08月31日 22時53分13秒 | MSX
すっかり遅くなりましたが、アスキーからの1チップMSXの商品化は行われないことが決定してしまいました。私も一台予約したんですが・・・。しかしリンク先にはこうも書かれています。


なお、小社では商品化をいたしませんが、多数のみなさまにご予約お申し込みをいただきましたことから、本製品のライセンス元であるMSXアソシエーションでは、関係各社と商品化に向けての協議を行っているとのことです。


混同されている方がいるようですが、1チップMSXはMSXAが製造するのではなく、ゲームリーダーがそうだったように、パートナー企業(適当に命名。これまではアスキーに当たる)側がお金を出して製造・販売します。当然、パートナー側が儲かる見込みがないと出せないということです。今回アスキーは5000台に達しない=儲からない、という判断に至ったようですけれども、必要な利益が出せるなら3000台とかでも出る、はずです。アスキーでできなかったのがヨソでできるのかと言われると・・・正直できるのかなあ?というような気はしますが、可能性が断たれたわけではないようです。ともあれ、1チップMSXは仕切り直しとなりました。

さて、スロット数の問題などで議論がありましたが、仕様や価格についても仕切り直しが期待できるわけです。前回はこのへんが盛り上がったのが予約受付の開始後だったので半分諦めムードがあったようですが、次回(あったとして)の発表前の今なら議論の余地があるはずです。

ただ、例えば「2スロットを希望」のように言ったところで、肝心のパートナー側が「それは儲からないからダメ」と判断すればハイそれまでよです。ユーザーからの説得が必要なのはMSXAではなくて、パートナー側です

今はそのパートナーを探している状態のようなので説得も何もないのですが、それ相応のデータがあれば2スロットでも何でもやりやすくなるはずです。それ相応、とは「○○のほうが売れます!」という客観的データです。民意を問う方法としてはアンケートというのがあるにはありますが、ネット上では連投に対する防御策がない(同IPから一日一回制限、程度)のでイマイチ信頼性に欠けるキライがあります。

現状ではmixi内のMSXユーザーズコミュニティでスロット数に関するアンケートを取っている場所がありまして、画像のように面白い結果になっています。
mixiは「招待されないと入れない」という大問題があるものの、ここなら「投票は一人一回まで」が守られるし、第三者機関が管理しているので信頼され易いと思われます。まだ投票数が40強と少ないのですが、それなりに数がまとまれば説得力を持つでしょう(結果として1スロットに傾くかもしれませんけど)。

他にも思うところがある方はアンケートの項目を増やしてもよいし、またMSXAのホームページにも、アスキー側の募集が終了したことを受けて意見募集のメールアドレス(onechipmsx@msxa.org)が記載されました。思うところのある方はいまのうちにメールしておくのがよいと思います。

※ただ単に要望を書いてもデータとしては機能しないので、コストアップに対する意見などがあるべきだと思います。○○に対していくらなら出す、てな感じで、画像のアンケートの項目を参考にされると良いかと思います。


あと私事で申し訳ないのですが、転居の都合上、しばらくADSLが使えなくなります。9/1~9月中旬くらいまでは新規の記事投稿やレスポンス等が返せなくなりますのでご了承下さい。

ソソるケースとの日々(3)

2005年08月24日 16時28分27秒 | MSX
やっとキーボードが出る穴が開きました!というわけで一段進んだ仮配置でワンショット。カートリッジは乗ってるだけ。

結局穴そのものはハンドニブラで開けました(とうとう刃が死にました)。ルーターはうるさいので仕上げのみの利用です。だったら業者に頼んで穴開けて貰った方が良かったですね。1万円くらいなら結局はそのほうが得です。握力はつきましたけど。

え、キーボードが変わってる?気にしちゃいけないぜ!「9つも穴を開けるのが面倒くさい」「位置合わせで死ねる」とか今更気がついたというのはナイショ。穴が2つでいいタイプのキーボードがあることに気がついていませんでした・・・。おかげで一度開けた穴を再度拡張するハメになり、全体が左に寄ってしまいました。とりあえず、雰囲気はまあまあなので良しとします。

さて問題は、キーボードの固定の方法とカートリッジスロットの穴をどうするかというところです。キーボードは写真だとやや下に引っ込んでいます。手持ちのスペーサではイマイチなので、金具を作るかな。カートリッジは位置の問題もありますが、金属のエッジ丸出しだとカートリッジに傷をつけてしまいます。プラスチックで枠を作りたいけど、どうしよ。

ちなみにカートリッジは「信長の野望・戦国群雄伝」です。低いレベルでデモを流しておくと、ひたすら戦争しまくり殺しまくりで笑えます。昨日は家康を信長がブッ殺していました。先日購入した「ジンギスカン」にはデモがなくてつまらなかったので、わざわざ実家から取り寄せたかいがあったというものです。

MSXを使った意思伝達装置

2005年08月22日 21時57分00秒 | MSX
BLACKLAND's BLOGさんの引き続きMSXネタをお送りしておりますの中にかなり気になる記述がありました。


夜中に書いた記事では学生時代までのことを書いてみたわけだが,実はMSXの関わりは社会人になってからの方が深いのである!ちなみに私が就職したのは1999年の4月,当然世の中はWindows95,98のマシンが大勢を占めている状態である.それなのに何故?そのあたりを書いてみたい.

実は追々紹介するであろう重度の障害のある人の使う「意志伝達装置」なるものがあるのだが,日本で一番最初に作られた意志伝達装置はMSXを使用したものだったのである.私の勤める会社はそのような機器に力を入れて販売している会社なもんで,その機器をご購入頂き,使う人が出てくる.アフターの必要が生じる.てことで,当時営業だった私はお客様のところにうかがい,MSXを操作したり,修理に回したりということを結構していたのだな(現実的には修理不能なケースが多かったんだけど).


推測ですが、これは雑誌「MSX・FAN」にも紹介されていた「目で打つワープロ」(製品名)みたいな物のことだと思われます。

これは一体何かというと、キーボードを叩くことができない人向けに「視線を検知するメガネ(のようなもの)」を使って文字を拾い、文章を組み立てることのできる独特のハードウェアです。当然メガネ部分は一般に売っていないものですが、「目で打つワープロ」ではその制御とモニタ表示に松下のMSX2+が使われていました。MSXを使っている利点としては、補助金の枠内に収めるための安価さと、ハードディスクなどがないため頑丈であることの2点が挙げられていたのを覚えています。

さすがに今では新規に売ってないようですが、たった5~6年ほど前までメンテがされていたとは・・・。知りませんでした。

これを必要としている方の病気とは、私の知っていものではALS、正式には「筋萎縮性側索硬化症」という長くて難しい名前の病気があります。体の末端からだんだん動かなくなり最後は死に至るという難病で、かの手塚マンガ「ブラックジャック」でも治癒は見込めず、生きてる患者を冷凍処置して未来に託す、という乱暴な結末を取るほどでした。マンガからは20年が経ちましたが、今もなお不治の病とされています。

ただこの病気、手足は動かなくとも意識はハッキリとある、という特徴があり、そのために「目で打つワープロ」のようなものが必要なんですね。前述のMSX・FANの記事は非常に印象に残り、ALSとか筋萎縮性~といった名前をソラで書けるようになってしまいました。


割と最近知ったことに、土井喜久子さんという方の書いた「まぶたでつづるALSの日々」という本があります。これは前述の「目で打つワープロ」で書かれたもの・・・らしいんですが、実は読んでいません。読みたいのですが、なんというかMSX関連だから、という理由で読むのはとてもとても申し訳ないような気がして今でも買えずにいます。


また別のところに目を向けると,意志伝達装置を使用しなくてはならない状態になる疾患を持った方々の団体が各地に存在している.そういった団体の皆さんが一所懸命にがんばってレストアしつつ使用されていたMSXも数多く存在した,というか今も存在している.


MSXをやってる身としては、こういうことが書いてあると非常に気になるのですが、「趣味でやってる(オタク)団体」と「疾患を持った方々の団体」とではあまりにも接点がないので、今でも使われている・・・というのはちょっとした驚きであります。数年前に「GO-NET」という囲碁の通信対戦ネットワークを運営されている団体を取材した際にも似たような状況があったのですが、状況の変化もあってMSXの修理講座みたいなものは実現しませんでした。ユーザー間にノウハウは溜まっているつもりなのですが・・・。

たんなる修理とは別に、1チップMSX(予約は期限が来ましたが)をMSX2にした上で漢字ROMを載せれば、ハード的には「目で打つワープロ」もたぶんそのまんま動くと思われます(MSX-JEも必要か?)。お値段2万円ですが、もしかしたら役に立つでしょうか?


<参考資料>
ALS(筋萎縮性側索硬化症)のページ
MSXと「目で打つワープロ」のこともちょっとだけ書かれています。

SCREEN7でさくらを描いてみる人

2005年08月19日 00時47分23秒 | MSX
tx81乙さんのミックスナッツというblogのエントリに、なんちゅうかMSX史上初(たぶん)の試みがなされていました。

SCREEN7でさくらを描いてみる
SCREEN7でさくらを描いてみる②
SCREEN7でさくらを描いてみる③

MSX(のSCREEN7、16色)で描いたCGです。いきなり新作というのが刺激的ですが、それより何より「Windows(またはMac)で見ることを前提にMSX実機で描く」という離れ業をやっています。チャレンジャーです。しかも縦横比の違いをカバーする解決の過程が

①:実機で気持ち太めに描く(結果として細めに)
②:Windowsのエミュ上で引き延ばしてから実機に転送(実機上で横に伸びた状態で作業!)
③:最初から縦横比が気にならないような絵として描いてしまう

と、徐々に凡人の考えを逸脱していきます。凄い!誰だこの人は!と思ってチョイと調べてみたところ、晩年のMSX・FANに物凄く上手いイラストが毎号のように掲載されていた方ではあーりませんか。blogにも既に多くのイラストが掲載されていますが、唐突にMSXで描いてしまうので何事かと思いました。MSXPLAYerを使ったり実機を使ったりいろいろ試行錯誤されているようですが、妙に馬力を感じました。頑張れ!

時を超えた新刊

2005年08月16日 19時46分54秒 | MSX
今年のコミックマーケットでは事件がありました。ふしみゆうりさんのイース本の2巻が出たのですよ!

ここを見ている方はこの本の存在をほとんど御存知無いと思いますが、日本ファルコムのゲーム「イース」の同人誌です。イースの同人誌自体は珍しくはありませんが、これは1巻が180ページ、2巻が172ページもあり、相当な厚さです。さらに、短いマンガや4コマの複数収録というのはよくありますが、まるまる一本のストーリーマンガになっています。で、凄いのはここからなんですが、1巻が出たのが1991年。2巻が出たのがこの8月12日。その間14年!休んでたわけではなくて、延期を繰り返しつつも少しずつ描いていた、らしいです。

私個人の思い出としては、最初に1巻を入手したのが今を去ること5年前、インテックス大阪のイベントでした。どこがどうMSXと関係するのかと言うと、この1巻を何気なく買ったら、後書きにイースにハマったのはMSX2版から、てなことが書いてあったんですね。あれまなんて偶然かしら、と思ったわけです。実はそれだけですが。2巻の後書きにも参考資料にMSX2版イースとMマガの付録が書かれておりました。というわけで、この本に描かれているフィーナとかレアはMSX2版準拠なのです、きっと。これが88版とかだったらまた違っていたかもしれません。しかし、いくら元のゲームに感動したからってここまでやる気を持続させたパワーに頭が下がります。

ゲームではしょられている細かいエピソードが細かく描かれていて、かなりイイ漫画になっています。見所としてはフィーナとアドルが徐々にくっついていくところでしょうか。ワタクシ、年甲斐もなくときめいてしまいました。オススメです。1~2巻共に作者さんのサイトで通販を受け付けているそうなので、未見の方もぜひどうぞ。

で、実はこの2巻目でまだ終わってないんですね。やっとこアドルがダームの塔に入るところで続きます。次がいつになるかは分かりませんが、ここまで待ったんだからこの後も気長に待ちたいと思います。ええ!

ちなみに2巻の表紙をスキャンしておいたのですが、出張先で確認したら壊れていたのでこれは1巻のほうです。