MSX研究所長の日常

80年代を駆け抜けたオールドパソコンMSXの研究の日々を綴ります。

MSX最終定理(ウソ)

2005年10月10日 21時05分04秒 | MSX
MSXの研究なんかやってて何の役に立つかと言うと、ぶっちゃけ何の役にも立ちません。ふと心に浮かんだ疑問を追い求めて、答えが出ると嬉しい・・・という程度の痴的娯楽です。あまり熱を入れても短時間で答えは出やしないので、研究の進行は遅々としたものです。そのまま忘れることも多いです。

さてしばらく忘れていた問題の一つがコレです。貴方には答えられるでしょうか。


MSX全市販ソフトのうち、最も売れたソフトとその本数を答えよ。(回答は推定で良いが、根拠も添えること)


むかし思いついたものの、考えのとっかかりがなくて放置していた問題です。

この問題の難しさは、MSXの販売期間の長さにあります。市販ソフトが出ていたのは1983年~1993年の10年間もあり、また根拠となる情報がほとんどありません。以下はバラバラに集めた情報です。

・マイクロキャビンで一番売れたソフトは「スーパー大戦略」である。(MSX・FAN末期のインタビューより)
・「ディスクステーション」(DS)の全盛期は、約12,000本だった?(末期は約2,000本で、全盛期の1/6程度という記述がDS内にあった)
・「ザース」のMSX版は約15,000本。他機種の3倍近く売れた。(作者のインタビューより)

その他に出所不明の噂もありますが、ホントかどうかよく分からないものが多いのです。特に最も売れたであろうコナミの情報はほとんどありませんし、8ビット機における光栄の全盛期もあなどれない数です(PC-8801版「信長の野望・戦国群雄伝」がすぐに40,000本を出荷した、とか)。

まあ、何となく考える分には結構楽しい問題ではあります。中古屋でよく見るソフト・・・というのもMSXを扱う店が減った今では意味がありませんが、10年くらい前はイースのシリーズはいつも余ってましたね。ヤフオクではあまり出なくなりましたが。

というわけで、必ず答えはあるはずですが、どう考えていいのかやっぱり分からないのでした。

信長の野望~地味すぎカスタム~

2005年10月03日 21時27分55秒 | MSX
この画像は、ここを読んでいる方なら説明不要であろう、光栄(現:コーエー)のシミュレーションゲーム「信長の野望・戦国群雄伝」のPC-8801mkIISR版とMSX2版の比較画像です。パッと見て分かる通り、我らがMSX2版はマップのペイント(色分け)処理がありません。四角い小さいチップの中に各国の色が出ているのがお分かりかと思います。

このペイント処理は、オリジナルのPC-8801版がたいそう遅くて評判が悪かった部分です。なので、以降に発売された移植版は全部ペイント処理されていないものだと思っていましたが、このチップはどうもMSX2版にしかない表現らしいのです。調べた限り、PC-9801版、FM-77AV版、X68000版などはぜーんぶペイント処理でした(ファミコンはもしかしたらチップ形式かもしれませんが、ここではパソコン版を基本として扱います)。

光栄のシミュレーションゲームはC言語で作られていたためベタ移植などと言われたものですが、MSX2に限っては横が512ドットしかないため、他機種の標準だった640ドットの画面を工夫して詰め込んでいるんだよね・・・というのが一般的な解釈でした。しかし、マップもMSX2用に描き直していたのです。

さて、ここまで読んで「単に88版の地図の中を塗っただけじゃないの?」とか思った方も多いでしょう。違うんです。伊勢湾のあたりがよく分かりますが、なんと全体の横幅を縮めているんですよ。地図上の範囲は同じなのに、ドット数はさらに少ないのです!今なら横幅を縮めるなんてフォトショップで一発ですが、この時代はマトモなグラフィックツールもない時代です。しかもPC-8801準拠の8色で、ですよ。あちこちの微妙な差異を見ると、まるまる描き直しているような気がしてきます。

それより何より凄いのは、ここまでMSX2向けにカスタマイズしておきながら全体は相変わらずPC-8801調を維持していることです。「苦労を感じさせないための努力」とでも言うべきでしょうか・・・。横幅が縮んでいるのは、僕もフォトショップで重ねてみて始めて気がついたほどにさりげないものでした。

光栄なんてグラフィックも88版のまんまだし、手抜き!とか言ってた人も多いでしょうが、実はMSX向けにすっごく頑張ってたんですね。


今宵はここまでにいたしとうございます(←当時のNHK大河ドラマ「春日局(かすがのつぼね)」の名物ナレーション)