思いつくまま

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NHKテレビ「楽しむ科学教室(相対性理論とビッグバン宇宙論)」を見た。

2008年07月21日 23時33分00秒 | TV番組
アインシュタインの相対性理論は、学生時代に教えてもらったことは一度も無いが、社会人になってからわかりやすい相対性理論の本や宇宙論の本を何冊も読んで、興味を持っている分野の1つである。

この番組は、NHK教育・地上波デジタルサブチャンネルで5月12日にやっていた番組である。
内容は「アインシュタインの相対性理論とビッグバン宇宙論ー宇宙の誕生と進化を探るー」ということで、非常に興味があったので録画して何度も見た。
講師は、東京大学大学院理学研究系研究科教授の佐藤勝彦先生だった。
現在の相対性理論や宇宙論に関する話題を非常にわかりやすく解説していた。
この分野だけでも研究すべきテーマが山積していることがよくわかった。

前半
・相対論は時間や空間、「時空」の物理学である。
・1905年に特殊相対論が作られ、1916年に一般相対論が作られた。
・光の速さはどんな条件・状況下でも秒速30万キロメートルである。「光速不変の原理」・時間や空間は、物質の存在や動いている人から見ると、伸び縮みする。時間は絶対的ではなく、その進み方は観測者ごとに違ってよい。SFではなくて本当にウラシマ効果も出てくる。
・等価原理の導入により一般相対論成功、地上で静止したロケットの中と、宇宙空間で加速しているロケットの中は区別できない、等価である。また、落下しているエレベーターの中では重力が無い。つまり、「加速度運動と重力とは等価」である。(リーマン科学というむづかしい数学を使う。)
・アインシュタインの方程式、時間の幾何学(時間の伸び縮み、空間の曲がり)を物質・エネルギーが決定する。物質・エネルギーが空間や時間を曲げて、またその曲がりによって運動する。
・光も空間の曲がりによって折れ曲がる。
・質量の大きい天体が激しく運動すると、時空のさざ波・重力波が発生する。
重力波は、超新星爆発・ブラックホールの形成時や連星の合体時や宇宙が生まれた頃のインフレーションで発生
・ブラックホール=巨大な質量を持つ物質の周囲では時空が極限まで曲がり、光でさえ出られないような強い重力の領域が生じる。
・地球からの脱出速度は約11.2km/秒、脱出速度が光速度になるほど大質量の星は真っ黒に見えるはずである。
・アインシュタインはブラックホールが実在するとは思っていなかったが、他の人(シュバルツシルド氏)がこれを解いたし、存在も確認されるようになってきた。
・SF上のワームホールも理論上はありえる。瞬間移動も可能になるかも
・タイムマシン問題は論理的に自己矛盾が生じる。物理学にはなじまない。しかし、一般相対論はタイムマシンを禁止していない、時間的閉曲線を含む解が発見された。
・米国物理学者キップ.ゾーン博士のタイムマシン論、正しいのか正しくないのかについて、①S.ホーキング博士の時間順序保護仮説、現代物理学の2本の柱である相対論が許しても量子論が許さないのではないか。タイムマシンができるなら、未来からの旅行者で満ち溢れているハズだ。②多世界(パラレルワールド)解釈により、因果律に反することなくタイムマシンは可能ではないか。
・一般相対論は日常生活で役に立つのか、GPS衛星とカーナビで、正しい位置情報のためには、一般相対論による補正が必要。


後半
1 宇宙論とは?
・宇宙の起源?始めに光ありき?
2 相対論的宇宙論
・アインシュタインの静止宇宙モデル・1917年、宇宙は永遠不変だと確信していた。宇宙定数(宇宙斥力:空間がお互いに押し合う)を導入して、収縮させようとする万有引力とを釣り合わせ、静的モデルを作った。
・1922年、ロシアのフリードマンの宇宙モデル
・1927年、ベルギーのG.ルメートルも宇宙定数のあるアインシュタイン方程式で膨張するモデルを発表、結果的にはこれが一番正しかった。
・ハッブルの法則、遠くにある銀河ほど高速度で遠ざかっている。宇宙には始まりがあり膨張している。
・宇宙は1千億個の星の集まりである無数の銀河で成り立っている。銀河は蜂の巣構造で分布している。
・アインシュタイン:宇宙定数の導入は人生最大の失敗だった。
ところが大ドンデン返しで、宇宙定数は復活
3 ビッグバン宇宙
・米国ガモフ博士:原子核物理学に基づき、宇宙は熱い火の玉から始まらなければならない。1946年
・1965年、宇宙マイクロ波背景放射の発見
4 統一理論と宇宙の創生
・ビッグバン宇宙の原理的困難-物理法則では決まらない神の一撃-
・ビッグバン宇宙論の問題点-なぜ火の玉で始まるのか。現在の宇宙構造の起源を説明できない。一様性問題、平坦性問題(どうして2次元のユークリッド幾何学が成り立つようになっているのか。)など
・これらの問題を解決するために、インフレーション理論、量子論的創生が考えられた。宇宙という物的存在としてはもっとも大きな存在の起源を研究するためには、逆にもっとも小さな極限である素粒子の法則が必要である。
・統一理論の予測する力、重力・弱い力・電磁力・強い力・(色の力)、生物の進化するように力も枝分かれし進化する。
・真空の相転移が起こることによって、力は枝分かれする。宇宙の初期には真空のエネルギー(宇宙定数と同じ)が充満していた。真空は何も無いわけではなく、電子と陽子、粒子と反粒子で力を消しあっている状態である。
インフレーション理論:佐藤先生はこれが専門らしい。
真空のエネルギーに斥力が働き宇宙が急膨張する。あたかも、ただで宇宙の物質エネルギーを創っているように見える。急増大した真空のエネルギーが相転移によって熱エネルギーに換わり、巨大な火の玉宇宙・物質エネルギーが創生される。量子揺らぎを引き伸ばし、銀河、銀河団など宇宙構造の種を仕込む。母宇宙から子宇宙、そこから孫宇宙へと広がっていく。
ユニバース(宇宙)ならぬマルチバース(無限の宇宙)
宇宙は無(時間・空間・物質のゆらぎのある状態)から創生される
最後は哲学か。
5 観測的裏付け
・開闢から140億年たった時刻にいながらインフレーションを見ることができる。宇宙では遠くを観測すれば過去が見える。
・アインシュタインの相対論から100年で我々の住む世界、宇宙の基本的な進化・構造を知ることができた。
6 新たな展開と生じた謎
・膜宇宙論、超ひも理論:我々の世界は10次元空間に浮かぶ3次元膜なのか、電子も光子もクオークも人間も3次元から出られない。重力子だけが唯一逃げ出すことができる。
・暗黒物質、暗黒エネルギー問題、通常の物質は4%で、暗黒物質が23%、暗黒エネルギーが73%というのが宇宙の組成。
・暗黒物質の候補としては、質量を持ったニュートリノではなくて、ニュートラリーノとかアキシオンとか。
・暗黒(真空)エネルギーが1998年に発見された。しかし、その正体は全く不明である。
・19世紀末に物理学を覆う2つの暗雲(エーテルの未検出、音が伝わるのは空気があるのに、光が伝わるのにエーテルは存在しなかった。黒体輻射の発散)の存在を指摘、それらは相対論・量子論への鍵だった。
・これらの謎を解くことによって、21世紀の新たな物理学、宇宙像が描き出されるに違いない。

質疑応答
会場の高校生・大学生・昔の大学生などから、双子のパラドクス(地上では特殊相対論、ロケットに乗ったら一般相対論)、カシミール効果などの鋭い質問が飛んでいたが、佐藤先生は落ち着いて1つ1つ丁寧に答えていた。

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2 コメント

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光・時間・重力 (Wrairack)
2008-07-22 12:44:45
こんにちは。こちらではお久しぶりです。面白そうな番組が放送されたんですね、見逃してしまいました。残念。でもとても番組のことがまとめられていて分かりやすかったです。私も光・時間・重力にはとても興味があります。関連するSFやアニメもよくみますよ。ウラシマ効果ではトップをねらえ!時間ではスタートレックシリーズが好きな作品ですね。とくに時間を扱うのではスタートレックシリーズに名作が多いように思います。現実にはできない「あの日に帰る」ことができるというのはSFならでは興味が尽きることはありません。
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コメントありがとうございます。 (まっちゃ)
2008-07-22 23:04:18
>Wrairack様
お久しぶりです。
こんな記事に反応されるとは思いませんでした。
実際のTVではわかりやすく解説されていたのに、自分で書いた内容を読み返してみると、何を書いているのかさっぱりわかりませんね。
どんなに宇宙の謎が解明されても、やはり一番最初の最初はどうなっていたのかとか、膨張していると言われる宇宙の外はどうなっているのかとか、暗黒エネルギーとはどんなエネルギーなのかとか、いろいろと興味は尽きません。
たまには夜空を見上げるのもいいものです。
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