この懐かしき本たちよ!

まだ私の手元に残っている懐かしい本とそれにまつわるいろいろな思い出、その他、とりとめのない思いを書き綴りたい。

#266「南太平洋 その18 アメリカン・サモア パゴパゴ2」

2006年03月10日 | 南太平洋
(また南太平洋のつづきです。今、アメリカのパゴパゴです。この島は、サマーセット・モームの短編小説「雨」の舞台になった所です。)次の日に現地販売店のM社に行きました、ここでわかったことは、M社では殆どの業務をジェネラル・マネージャーの日本人のYさんが責任を持ってやっているとのこと、米国人のSさんは、Yさんの下でYさんの指示に基づいて仕事をしているのです。会社のオーナーは米国人で米国に住んでいる人でその人の米国の会社の子会社の一つがここの販売会社なのです。オーナーは時々自分でやってきたり、監査人をよこしてチェックをしたりしているということでした。米国人のSさんは、C社のHさんには、いかにも自分が全責任を負って業務をやっているような風に言っていたのでしょう。米国の会社の子会社にもかかわらず自分の上に日本人のYさんがいて、実はその人のかなり細かい指示に基づいてやっているということを、米国人のHさんに言うのは沽券にかかわると思ったのでしょうか。

日本人のYさんは、その時独身でした。

次の日の夕食の時に、Yさんに、サモア美人と結婚する気はないかと聞いたところ答えは次のようなものでした。

サモアに来て間もないときに、サモアの女性を映画に誘ったのだそうです。時間を約束して映画館の前で待っていたところ、現れたのは彼女1人ではなく、ほかに同じ年頃の女性二人と一緒だったというのです。あとの二人の女性は彼女の従姉妹だったとのことです。習慣がちがうのでどう解釈していいのかわかりませんが、彼女は勝手に従姉妹を連れて来て、Yさんはしょうがないので二人の従姉妹も一緒に映画を見て、それからこの女性3人とレストランでと一緒に食事をしたのだそうです。

これが彼女の従姉妹2人だけだからよかったけど、一族郎党を引き連れてこられたらどうしたろう、とYさんは笑っていました。

サモアでは、どうも娘が収入のよい男と結婚すると両親だけでなく、兄弟も親戚も当然のようにしてその男の収入をあてにするようだとのことでした。

その後、Yさんは米国人の女性と結婚したのだそうです。教養のある女性だったようですが、残念ながら嫉妬心の強い女性で、Yさんがサモア人の女性秘書と特別の関係にあるのではないかと疑いを持つのだそうです。秘書を次々と代えても新しい秘書にも同じような疑念をもってどうしようもなく、とうとう離婚したとのことです。

米国人の奥さんの疑念が正しかったのかどうか判断できる立場ではあり
ませんが、たしかに習慣の違いや文化の違いというのは私達が想像するよりも大きいものだろうと思いました。

最近私はサマーセット・モームの「淵」という短編を読みました。

西サモアのアピアに英国本国から銀行の支店長として赴任してきた英国青年が、淵で水浴びをしている夢のように美しいサモアの若い女性に魅せられて結婚するのですが、習慣のちがいから子供が生まれた後に結婚生活が破綻し、女性は子供と一緒にサモアの生活にもどり活き活きと生活しているのに、この英国青年はアピアの白人社会からも疎外され、サモア人の社会にも馴染めず、最後には一人自らの命を絶つというストーリーでした。

あらぬ夢を描いて南太平洋に行こうとする人への警告ですね。

いや、今の若い人達は我々の世代と違って、こういうことにはヴァイタリティーがありますから、うまくやって行くのかもしれません。

米国人のHさんと私は、パゴ・パゴで2泊した後、タヒチのパーペテーに向かいます。

英語圏でほっとしていましたが、またフランス語圏への突入です。(つづく)

          (佐藤元則 V通信より)
                     
画像:パゴパゴ  手前に見えるのはパゴパゴ唯一のホテル 向こうに見えるの    が所謂 「雨を作る山」のようである。  絵葉書より


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