去る10月1日(土)に旧制第一高等学校の秋の寮歌祭が開かれた。
会場は旧制一高が本郷向ガ岡から昭和10年に移転して、終戦後の新学制により廃校になるまでその校舎や学生寮のあった駒場の地、
現在の東京大学教養学部であった。
春の寮歌祭は4月に予定されていたが、東日本大震災のため残念ながら中止になった。1年ぶりの開催であった。
私は旧制一高とは直接の関係者ではないが、詠帰会(旧制一高寮歌を歌い継ぐ会)の関係で参加させて頂き、一緒に寮歌を歌わせて頂いた。
約160名の参加者のうち、旧制一高の卒業生は約80名だったとのことである。
旧一高卒業生の遺族の方、縁故の方の参加もあった。
旧制高校の卒業生と言えば、ほとんどが80歳以上の高齢の方であろう。その方々が集まって20歳のころに存分に歌った寮歌を歌っておられる。
素晴らしいことだと思った。
寮歌祭は第一高等学校の全寮寮歌で始まる。
闇の中なる一すじの 光なりけり天つ日の
向ヵ岡に霧はれて 花やぎわたる朝の色
志ある青年が 濁りゆく世を嘆きつつ
操と立てし柏木の 旗風かをる寄宿寮
(明治34年 大島正徳作詩 島崎赤太郎作曲)
私はたまたま、インターネットのウエブサイト「旧制高等学校寮歌」を持っておられる、吉田健彦氏[自称Takechan)と向かいあわせに座った。寮歌が好きな者にとって、このエウブサイトは素晴らしい。旧制一高の先輩が「国宝級」だと賞賛されたとのことであるが、その通りである。
最近、同氏は、一つ一つの寮歌に解説や注釈を入れることを始められた。一段と価値ある資料になって行く。
私のブログで寮歌に関するものに、同氏のご承諾を得て、同氏のウエブサイトにリンクさせて頂いている。実際の歌声が音で聴けるようになると一段と楽しいものとなる。有難いことである。
私達は12時から午後4時まで、文字どおり歌い続けて、最後は恒例によりファイアストームのように輪になって「ああ玉杯」を歌って散会した。
楽しい一日であった。 (おわり)
リンク:「旧制高等学校寮歌集」(吉田健彦氏のウエブサイト) ←クリック
「闇の中なる一すじの」(同上ウエブサイトより) ←クリック
「ああ玉杯に花うけて」(同上ウエブサイトより) ←クリック
画像:キャンパスの隅に咲く彼岸花 筆者撮影