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モーニングサテライト・ウォッチ

2017.2.16 Newsモーニングサテライト

2017年02月16日 16時06分38秒 | MS
■マーケット

NY株連日高値を更新
今の市場には「大型減税」が魔法の言葉として、株価上昇には、効果絶大のようです。きょうも揃って高値更新ペースです。小売業の経営者との会合で、トランプ大統領は近い将来の大型減税に言及。もちろん、具体策がない中で期待先行なのも承知の上でしょうが、市場はその先にあるであろう経済成長に賭けているようです。もちろん、きょう発表になった、消費者物価や小売売上げが好調だったことも、下支え要因なのは確かです。ナスダックはこのままひければ7日連続の高値更新で、1999年12月以来ほぼ17年ぶりです。
ニューヨークの株価終値です。ダウは5日続伸、2万611ドル。ナスダックは7日続伸36ポイント上昇の、5,819。S&P500も7日続伸11ポイントプラス、2,349でした。

【NY証券取引所中継】消費堅調 利上げ時期は?
解説はSMBC日興セキュリティーズ・アメリカの尾坂将司氏

--大引けにかけて上げ幅拡大しているようですね。

強い経済指標の発表を受け、長期金利が上昇し、銀行など金融セクターが上げを主導している一方、配当利回りの高いディフェンシブセクターは軟調に推移しています。

--さてイエレン議長の議会証言が今日も行われている中で、指標がしっかりですね。

はい、特に消費者物価の総合指数は、1年前と比べ2.5%の上昇とおよそ5年ぶりの高水準となりました。確かにインフレ加速の見極めにはもう少しデータが必要ですが、きょう発表の小売売上高でも家電販売の8ヵ月ぶりの増加や、衣料品の力強い販売から、消費意欲の強さも確認できました。トランプ政権下でも消費者心理は衰えておらず、今後も物価上昇が継続する材料となりそうです。

(フリップ)
--昨日は3月利上げの可能性が市場でも話題でしたが、実際はどうでしょうか。
指標などを受け、市場の3月の利上げ予想確率は、一昨日13日の30%から、今日15日は42%まで上昇しました。ただ3月の会合(FOMC)はオランダの総選挙と日程が重なるうえ、4月にはフランスの大統領選を控えていることもあり、ヨーロッパのリスクを加味すると動きづらいタイミングと言えそうです。
 

【NY証券取引所中継】米株価下落も“警戒中”
解説はSMBC日興セキュリティーズ・アメリカの尾坂将司氏

--株価強いですね。

強い経済指標の発表を受けて、長期金利が上昇し、銀行など金融セクターが上げを主導した一方、配当利回りが高いディフェンシブセクターは軟調に推移しました。

--ご覧のように連日の高値更新なんですが、頭の片隅にどこか不安を感じる相場ですよね。

確かに企業の決算発表は良好な内容でしたし、経済指標も堅調です。この意味では株価上昇は不思議ではありません。一方で、ブルームバーグによると、ニュースの中に含まれる「Uncertainty(不確実性)」という単語の数が過去最高水準を上回りました。これは株価の上値を抑える要因になりえます。

--ですよね。それで結局どう理解したらいいんでしょうかね。

今の相場を理解するのに、スキュー指数が有効かもしれません。
(フリップ1:「予期できない危機」への警戒↑)
このスキュー指数というのは、株価下落を予想するオプション取引が増えると上昇し、ブラックスワンやテールリスクと呼ばれる予測できない危機に対する警戒感を表す指数です。昨年のブレグジットや大統領選挙の際にも上昇しましたが、現在も高水準で推移しています。

--でも、だとしたら株価は下落しそうですよね。

一方市場の不安心理を示すいわゆるVIX指数もブレグジットや大統領選挙の時は上昇していました。ただこの指数は株価上昇時には低位安定し、今がまさしくその状態で、市もとでこの2つの指数がかい離しています。アメリカの景気への安心感から、順調に株価が上昇する一方、予測できない万が一のリスクに備えたヘッジ目的の取引が増加し、一部投資家が突発的な株価下落を警戒していると言えます。

 
【為替見通し】注目ポイントは「通貨オプションの需給環境」
解説はソシエテジェネラル銀行の鈴木恭輔氏

--まずNY市場を振り返っていかがでしたか。

昨日はアメリカの物価・小売売上高の強い結果を受けまして、ドル円は114円95銭まで上昇しました。しかし前日からの上げ幅が大きいこともありまして、投機勢による利益確定売りの圧力が強く、現在は114円前半での推移となっています。

--今日の予想レンジは、113.70~114.80円です。

目立った材料はありませんが、来週月曜日はアメリカが休日となりますから、週末に向けては、引き続き短期的なポジション調整が進みやすい地合いと考えられます。ドル円相場は上値の重い展開が続くとみています。

--注目ポイントは「通貨オプションの需給環境」です。

(フリップ1:市場の目線は今後3ヵ月間、円高)
このチャートはドル円の通貨オプション市場における1ヵ月物と3ヵ月物の需給環境を示すものです。5月にフランス大統領選挙の決選投票が控えていて、ヨーロッパの政治リスクに対する警戒感が高い。この棒グラフが下に伸びますと、3ヵ月物の円コールオプション、3ヵ月先に円を買う権利の需要が1ヵ月先のものに比べて多いことを示しています。つまり足下では市場参加者の今後3ヵ月間のドル円相場の見方は、円高目線ということになってしまいます。ドル円の上昇期待感は弱いということがここからは分かります。3ヵ月先の5月なんですが、フランス大統領選挙の決選投票が控えていますので、欧州の政治リスクに対しての警戒感が依然として高いと整理できます。足下では確かにドル高優勢の時代なんですが、ドル円の通貨オプションの需給を鑑みますと、ドル円相場が120円の大台に向けて、本格的に上昇を始めるタイミングは今年半ば頃になるのではと見ています。

【日本株見通し】注目ポイントは「世界需要の回復」
解説は大和証券の石黒英之氏

--今日の予想レンジは、19350円~19550円です。

トランプ大統領の税制を受けて、NYダウが連日最高値更新となっているんですけれども、日本株に関しては円安一服の動きが重しになるというふうにみてますので、このところ上値抵抗になっている19500円どころを超えられるかどうかというのが焦点になると思います。

--注目ポイントは「世界需要の回復」です。

(フリップ1:株高が景況感改善を後押し)
アメリカの大統領選後から始まった世界的な株高によって、世界の株式の時価総額というのは4兆ドル程度増えています。世界の家計の保有比率というのが25%程度ということを考えますと、1兆ドルの資産増加の効果が家計にもたらされている計算となります。こうした資産効果が景況感の改善につながって、世界の需要の回復を後押ししているというふうに思います。

--その需要回復というのは、具体的にどんなところに出ているのでしょうか。

(フリップ2:世界の需要は回復へ)
世界需要の動向の先行指標の側面があります北米の半導体製造装置受注と工作機械受注の動向を見てみますと、工作機械受注がようやく回復基調に入り始めたほか、半導体製造装置受注については伸び率が急拡大していまして、世界の需要が回復していることを裏付けています。半導体や機械、自動車といった景気敏感業種が日本株全体に占める比率というのは約60%程度ですね。アメリカ株の45%や欧州株の35%に対して高いですから、こうした世界需要の回復局面では、日本株に資金が向かいやすいというふうに見ています。
 

■【プロの眼】「トランプラリーと新興国投資」
トランプ政権誕生後、株価が上がり、ドルの水準調整がなされるなど効果が見られた一方、新興国のボラティリティは急速に上昇し、リスクが顕在化しやすくなっている。米国の金利上昇は通常、新興国にとってはネガティブに動く要因になるが、今は国ごとに差がある。売られているのはトルコリラと、メキシコペソで逆に残りはしっかりという推移が確認できる。新興国のしっかりした為替の背景は、実質政策金利が安定して上昇していることにある。こうしたロジックで語れないのはメキシコペソだけで、メキシコは実際に保護政策などで影響を受け、ソブリンリスクが高まっていると言える。この先の新興国リスクをどう読めばよいのか?トランプ政策を読み難い中では、より影響を受けないであろうと考えられる国に投資をシフトさせることがあげられる。解説はBNPパリバ証券の中空麻奈氏。

--トランプ政権の誕生後、トランプラリーという効果がありましたが、気になるのが新興国への影響、これをどうご覧になってますか。

(フリップ1:新興国のボラティリティ急上昇)
「株が上がったり、ドルの水準調整がされたりして、だいぶ良くなったなという印象があったんですが、新興国だけは素直に動いてしまって、ボラティリティが上がってきた。」

--そうですね。国債や社債の変動が荒くなっているということですね。具体的にはどういったところに注目すればいいでしょうか。

「そうですね。普通はアメリカの金利が今から上がりますし、上昇局面にあるので、新興国というのは一様に売られやすくなっているんですね。」
(フリップ2:新興国の通貨に差)
「ところが今回見てみますと、新興国の中でも差があります。バラツキがあります。トルコリラとかメキシコというのは、確かにいつも通り売られたんですね。だけどインドルピー以下(インド・ブラジル・ロシア)は割としっかりと動いているんです。なので『差があります』というのが、見ていただきたい点ですね。」

--その差は何でしょうか。

「これは何で起きたのかと考えると、売られたところは、結局、金利が上げられなかったところ。そしてインドルピー以下は金利をきちんと上げてきたところなんですね。なので今は金利を上げられたか上げられていないかで差がついてきています。」

--要するに利上げによって通貨防衛ができたというふうにも見とれるわけですね。

「そうですね、そういうことだと思ってます。」

--でもメキシコに関しては違うんですね。

「そうです。唯一このストーリーに合わないのがメキシコペソでして、メキシコだけは素直にトランプが言ったことですね。国境のところで部品を作ってまたアメリカに返すというビジネスモデルでメキシコは成り立っていたわけですが、25%の関税をかけて壁を作りますなんて言うものですから、これはメキシコには大打撃なんじゃないかということで通貨が売られました。」

(フリップ3:メキシコ経済のリスク高まる)
「売られたのでメキシコは外貨準備を使って為替介入をしたんですね。結果どんどん外貨準備が下がってきました、というのが現状です。」

--となると新興国の今のリスクというのは、アメリカの利上げというものと、トランプ大統領の政策、この2つによって操作されているというか、影響を受ける・・・。

(フリップ4:トランプ政策の影響少ない国に投資シフト?)
《左からロシア、ブラジル、インドネシア、インド、ペルー、コロンビア、ポーランド、中国、フィリピン、トルコ、南アフリカ、メキシコの並び》
《棒グラフの項目:上から(青)政策金利(赤)クレジット(緑)経常収支(オレンジ)貿易高(水色)米国への輸出額》
《折れ線グラフ(赤):脆弱性スコア》

「いま現状はどうだと思っているんですね。もちろんそこに中国の需要がどうだとか、それから原油価格がどう動くかとか、こういったことも考えなきゃいけなんですが、先ほど言っていただいた2つの点、『トランプ政策がどうなのか、保護貿易はどうなるか』ということと、『金利がどう関係するか』ということを使って、5項目に分解して弱い順に並べたのがこの表なんです。そうするとメキシコとか、右側のほうほど弱くなっていて、左側(ロシア、ブラジル、インドネシア9は強くなるというような話になってきます。」

--となると投資の資金を避難させるという上では、左側のほうが今となってはより良いということですね。

「そうですね。トランプの保護貿易というのは怪しいぞ。怖いかもしれない。そしてアメリカの金利が上がりますよ。じゃあ新興国は売られますか、というと一様じゃないというのが今回のポイントなので、出来るだけ左側サイド(インドネシアとかインド)で、お金を逃げ場として置いておいていただくと安全なんじゃないでしょうか、と考えてます。」
 
 
■【ワードバンク】予算教書
トランプ大統領の政策は実現するのでしょうか?その実現性を確認する上で重要になるのが「予算教書」といわれ、トランプ相場はこの「予算教書」をきかっけに実行力を問われるステージに移行すると言われ注目されています。「予算教書」はアメリカ大統領が念い1回、翌年度の予算について議会に提示するもの。予算案を出したり編成できる権限は議会にあるので、「予算教書」は大統領から議会への予算のリクエストや参考資料程度のものといいます。
(森田キャスター、佐々木キャスター)
 
(フリップ1:予算教書)
--(森田) アメリカ大統領が年に一回翌年度の予算について議会に提示します。教書とは、合衆国憲法により、大統領が議会に対して口頭ないしは文書で行う報告・勧告のことです。予算案を実施に出したり、編成できる権限というのは議会にありますので、予算教書というのは大統領から議会への予算のリクエスト、参考資料程度のものとなります。
 

--(佐々木) 参考資料と言いましても今トランプ氏はやろうとしている減税政策やインフラ投資がどういった規模になるのかといったことがある程度見えてくるということで、今注目を集めていますね。
 
(フリップ2:3大教書)
--(森田) そうなんです。予算について最初に具体化、見えてくるということ、それを大統領が出すということで、注目されているんですね。ちなみにコチラは一般教書、大統領経済報告、そして予算教書、この2つが3大教書と呼ばれています。
 

(フリップ3:予算教書一式)
--(森田) こちらがオバマ政権時代の2015年度の予算教書です。
予算教書には財政収支の見通し(10年分)
経済の見通し(10年分)
GDP成長率
失業率
消費者物価
10年債利回りなどが書かれている。



(フリップ4:行政管理予算局)
--(森田) 行政管理予算局(OMB)で作成されて、議会に提出される。OMBはワシントンハウスの斜向かいにあるニュー・エグゼクティブ・オフィス・ビルの中にあり、およそ500人のスタッフが1年かけて作ると言われている。
そのトランプ大統領の予算教書、一体いつになるんでしょうか。

《みずほ総研/安井明彦氏》
「予算教書は普通2月に出すということになってますが、新しい大統領の場合は、2月には予算教書のようなもの(ちょっと薄めのもの)を出して、全体の方針をまず軽く出します。どうしてかと言いますと、膨大なものをそんなにすぐにはできない。」
 
--(森田) オバマ大統領の1期目に予算教書の暫定版(骨子)が出されたのは2月26日。そして詳細版の予算教書が出されたのは5月11日。トランプ大統領の場合、暫定版も出るのか怪しいという。

《みずほ総研/安井明彦氏》
「トランプさんの場合には、この”暫定版”の作業も遅れているから、これすら出ないんじゃないかとか、これもかなり遅れるんじゃないか、というような言われ方がしています。ですから大統領令か何かで、予算は出さないけれども、こういう方針でやりましょう、と言うとかですね。あとは減税の部分だけ打ち上げるとか、いろんなことが言われてます。」
 
(フリップ:今後のスケジュール)
--(森田) コチラが安井さんが考える今後のスケジュールです。予算教書が出ると、本来は話の中心は議会に移って議会の審議になるんですけれども、アメリカの会計年度というのは10月スタートなので、最悪でも9月末までに決まればいいというふうにも考えられます。

--(佐々木) 議会のほうは上下両院とも共和党が多数を占めていますから、ねじれがない分、通りやすいと言えませんか。

--(森田) そうですね。その部分の例年と違うかもしれないということで、アメリカ議会の予算編成に詳しい中林さんに聞いてきました。

《早稲田大学/中林美恵子准教授》(連邦公務員としてアメリカ連邦議会上院予算委員会の共和党側で、1993年からおよそ10年間アメリカの予算編成に携わっていた。)
「あまりにも共和党、共和党で走りすぎてしまった場合に、2年後の中間選挙で、国民がかなり行き過ぎたと思った場合は、もしかしたら例えば、下院の議員は全員が改選ですから、民主党側に行ってしまうかも知れない。(2年後の選挙を見据えた場合は)やっぱり民主党の人達と妥協しながらやっていくということも本当は必要なんですよね。」

--(森田) そこで議会との関係を取り持つキーパーソンがいるという。
 
《早稲田大学/中林美恵子准教授》
「希望が持てるのは、インディアナ州知事だったペンス副大統領が、もともと下院議員だったという点ですね。特に重鎮の人たちとはしょちゅう連絡を取る役割をしていたので、下院に限らず、上院の重鎮とも連絡を既に取り合っていましたから、予算編成関係ではかなりカギになります。本当にトランプ大統領が共和党のリーダーになれるのか。意思疎通ができるかが問われているし、その結果出てくるのがおそらく今回の大統領の予算教書になると思います。」

--(森田) 同じ共和党内にも今回は反発の可能性がありますから、今まで以上にこの予算教書を出す前の事前のすり合わせというのが重要ということですね。
 
--(佐々木) いずれにしても28日前後、重要ですね。
 
 

■日経朝特急

節電仲介、原発1基分
猛暑など電力需要のピーク時に節電に協力する企業をあらかじめ募り、需要を抑え込む仕組みが動き出す。新たに動き出すのは、節電協力を約束した企業や家庭に、見返りのお金を支払うメガワット取引と呼ばれる仕組みだ。これにより大手電力はピーク時に備えた設備投資を減らせる。政府は2030年度までにピーク需要の6%抑制を目指す。


主力行、半導体分離迫る
東芝問題。みずほ銀行など主力取引銀行は、東芝に対し3月末まで融資を継続することを決めた。ただ統治不全などを巡る銀行側の不信感は根強く、2017年度以降の支援は白紙だ。こうした中、きのう東芝株は急落し、終値で9%安。また格付投資情報センターは東芝の格付けをシングルBへ3段階引き下げた。債務の返済能力に問題があり、絶えず注意する必要があるという位置づけになる。


・ 東芝問題について

--中空さんは社債などクレジットの専門家ですけれども、この東芝問題、今後のポイントどうでしょうか。

《BNPパリバ証券/中空麻奈氏》
「ひとまず、3月末まではお金が回るということなので、流動性があるとそれはデフォルトリスクは回避されていることになるんですね。次のポイントは2つありまして、1つは、そうは言ってもまだ債務超過になるかもしれない、過小資本かもしれないという、かなり悪い財務状況なので、ここをどこまで回復できるか、ということが1点。そしてもう1点は、これから2年間ぐらいは生きられるよね、ということをまず確保した上で、その間にどうやって次のお金を稼ぐかということを道筋をたてることですね。その2つがとても重要になってきます。」

 
為替水準に異例の言及
麻生副総理兼財務大臣は、きのう国会で「円相場はまだ120円にいっていない。円安と言われる覚えはない」と述べた。麻生大臣は2008年秋の金融危機前の水準として、120円を円安のひとつの目安としているようだが、為替水準に言及するのは異例だ。G20の為替政策に関するルールから逸脱したと受け取られる可能性が高いと記事は指摘する。
 

■日刊モーサテジャーナル

米フリンの鋼鉄でトランプ政権は危機に?
トランプ大統領が安全保障政策を担当するフリン大統領補佐官を更迭した問題について、米国紙は事態は収拾に向かうどころか、多くの疑問が残ると批判している。
ニューヨークタイムズは、「フリン氏への信用はなくなったと距離を置くトランプ大統領が、本当はフリンのウソについていつどこで知ったのか、どのくらい問題を放置していたか、こそが今後の焦点になる。」、と指摘。
またワシントンポストは、「ロシアが大統領選に介入したという報告がある中、ロシアとの疑わしい関係に再び焦点が当たり、ホワイトハウスは危機的情報だ。」、と報じている。
一方、ニューヨークポストは、「この件の第一報が政府職員によるワシントンポストなどへのリークだったことを問題視。就任以来、実に7つもの大きなリークがあった。」と指摘し、こっちのほうが本当の問題と、トランプ大統領を擁護している。
またウォールストリートジャーナルも社説で、「諜報機関の誰かがトランプ政権の仕返しとしてリークしているなら、これは官僚の反乱であり、安全保障上、大きな問題だ。」、と懸念している。


ソフトバンクの買収「巨大な投資会社への野心」
ソフトバンクグループがアメリカの投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」を33億ドル( 約3770億円)で買収すると発表したことについて、アメリカの新聞は「巨大な投資会社の誕生だ」と驚きをもって伝えている。
ニューヨークタイムズは、「ソフトバンクはテクノロジーや携帯電話で知られているが、そういったビジネスモデルから大きく飛躍して、世界の民間投資ファンドを脅かす投資会社になりつつある。」、と解説。「孫社長の壮大な野心をあらためて示す買収で、今まで一番予想できなかった動きだ」、と伝えている。
一方、ウォールストリートジャーナルは、「世界でも有数の資産マネージャーになるという孫社長の長期的な計画に沿った買収だ。」、と評価している。


米ゴールドマンサックス株、全盛期の水準に
米金融大手ゴールドマンサックスの株価の推移、14日に金融危機前の水準を回復した。記事は、「ゴールドマンサックスが全盛期を取り戻した」という見出しで、「銀行株がブームになるのでは」、と報じている。この背景として、記事は、「FRBの利上げや規制緩和のほか、アメリカの銀行が利益を生みやすい体質になってきている。」、と分析。過去数年間、部門や人員の削減に加えて、IT投資を進めてきたことから、無駄なコストをなくして、経営の効率化に成功したとの見方を示している。
 

・ 「米ゴールドマンサックス株、全盛期の水準に」について

--歴史は繰り返すというか、また金融の黄金期が来るのでしょうか。

《BNPパリバ証券/中空麻奈氏》
「そこまで思っていないですが、ただ足下、金融制度改革がアメリカで行われる。トランプ大統領は2月3日に大統領令にサインをしていて、ここから金融制度改革を見直そうという動きが活発です。何をするかというと、これまで厳しすぎたので、貸し出しが伸びなかった。そういうことを反省しているので、そこに対して、どんどん貸し出しが伸びるように、緩和しようとしています。とりわけ自己勘定というところで利益を上げてきたことが非難されていましたので、それをやめなさいという方向に行くとすると、アメリカの金融機関は収益を上げやすい。それを評価すると金融株の上昇につながるという話かなと思います。」

--これは世界でも金融規制という話がありますけれども、そこにも波及するでしょうか。

「いや、本来はバーゼル3というのが下敷きになっていて、制度というのはいろんなところでできているので、あんまりアメリカが緩和したから、みんな緩和しますよというのはおかしいんですね。ところがアメリカだけ緩和して、やっぱり楽になって収益が上がってくると、他の国にとっては競争が阻害されるということになるので、緩和はもしかしたら進んでしまうかもしれません。」
 

■今日の予定

G20外相会合(ドイツ・ボン~17日)
ECB理事会議事要旨(1月分)
米1月住宅着工件数
米2月フィラディルフィア連銀景気指数


■ニュース

トランプ・ネタニヤフ初会談 「2国家共存にこだわらない」
アメリカのトランプ大統領はイスラエルのネタニヤフ首相と15日初めて会談し、イスラエルとパレスチナの和平について「2国家共存にこだわらない」と述べ、歴代政権の方針を転換することを明らかにしました。(トランプ大統領)「『2国家共存』でも『1国家』でも双方が望む形で構わない。私はどちらでもいい」トランプ大統領はこのように、和平交渉の土台である、「イスラエルとパレスチナが2つの国として共存する」との原則にはこだわらない考えを示しました。独立国家の樹立を目指すパレスチナ側の反発は必至です。また、トランプ大統領は、パレスチナが反対しているアメリカ大使館のエルサレム移転にも重ねて意欲を示しました。一方、入植地の拡大については「少し差し控えてほしい」とイスラエルに自制を求めました。
 

米 消費者物価 4年ぶり大幅伸び
アメリカの1月の消費者物価指数は、エネルギー価格の上昇に牽引され、前の月から0.6%のプラスとなりおよそ4年ぶりの大幅な伸びを記録しました。市場予想も上回りました。内訳をみると、エネルギーが4%のプラスとなったほか、食料品は0.1%上昇とほぼ横ばいでした。また、変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数も、0.3%のプラスと上昇を続けています。
 

米 小売売上高 予想上回る↑
アメリカの消費は堅調に拡大しています。1月の小売売上高は前の月から0.4%増加し、市場予想を上回りました。12月の値も、0.6%プラスから1%に上方修正されています。内訳を見ると、自動車が1.4%のマイナスとなった一方で、ガソリンスタンドや外食など幅広く売り上げが増加しました。変動の激しい自動車を除くと0.8%のプラスでした。
(内訳):自動車↓1.4%、ガソリンスタンド↑2.3%、外食↑1.4%、自動車除く↑0.8%。


米 鉱工業生産 ↓0.3%
アメリカの1月の鉱工業生産指数は、前の月に比べ0.3%低下し、市場予想を下回りました。暖冬の影響で電力やガスの需要が振るわず、「公益」が5.7%の大幅なマイナスに転じました。一方、「鉱業」(↑2.8%)が回復したほか「製造業」(↑0.2%)も2ヵ月連続で上昇しました。ドル高による悪影響はこれまでのところ限定的と言えそうです。
 

金正男氏殺害 ベトナム旅券所持の女逮捕
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の兄・金正男氏が、マレーシアの空港で殺害された事件で、現地の警察は、ベトナム国籍のパスポートを所持していた女1人を逮捕しました。逮捕されたのは、13日に金正男氏が殺害されたとみられる時間帯の直後に空港内の防犯カメラに写っていた女で、きのう、空港内をうろついていたところを警察に逮捕されました。現地メディアによりますと、女は当初、金正男氏に何か液体を浴びせたと供述しましたが、その後は一転否認しているということです。現地の警察は、実行犯のもう一人の女と事件に関与したとみられる男4人の行方を追っています。一方、金正男氏の遺体が安置されている病院をマレーシア駐在の北朝鮮大使が訪れ、遺体の即時引き渡しを要求しましたが、マレーシア側は拒否したということです。
 

東芝 半導体売却先送り
アメリカの原発事業を巡る損失で、経営再建中の東芝は、分社化する半導体事業の株式売却時期を、4月以降に先送りする方針を固めたことがわかりました。株式をより高値で売却することで、財務状況を改善する狙いがあります。ただ、これにより3月の期末時点では、債務超過を解消できず、東京証券取引所のルールにより、東芝株が1部から2部に降格される可能性が高まっています。
 

自動車労組 ベア3,000円要求
自動車大手各社の労組は、経営側に対して春闘の要求書を提出しベースアップに相当する賃金改善分として去年と同じ月額3,000円を求めました。各社足並みを揃えた形でベアの要求は4年連続です。経営側も賃上げを前向きに検討する構えですが、中国経済が減速するなか欧米では保護主義的な動きが広まるなど経営環境は悪化していて、どこまでベアに応じるかが焦点となります。
 

安倍総理 「トランプ氏は日本の金融政策理解」
安倍総理大臣は参議院本会議で、日米首脳会談の中でトランプ大統領から日本の金融政策に関し、「為替操作ではなく、デフレ脱却を目的とする日本の金融緩和の必要性について理解を得られた」と強調しました。その上で、為替問題については「日米の財務大臣の間で緊密な議論を継続させることになっている」と述べました。
 

労働長官候補が指名辞退
AP通信によりますと、トランプ大統領が労働長官に指名したアンディー・パズダー氏が指名を辞退しました。パズダー氏はファストフード大手CKEレストランツのCEOで労働組合などから強い反対意見が出ていました。
 

双子男児虐待の疑いで男逮捕
7歳の双子の兄弟を投げ飛ばし、前歯を折るなどしたとして、警視庁は子供の母親と交際していた男を傷害と暴行の疑いで逮捕しました。逮捕されたのは元トレーニングジム従業員友弘修司容疑者35歳で、おととし11月、東京・府中市の自宅前で当時7歳の双子の兄弟を投げ飛ばした疑いが持たれています。友弘容疑者は子供2人を投げ、その際、弟は植え込みの杭で前歯を折るなどのケガをしました。この事件のおよそ半年後にも双子の兄が、友弘容疑者と一緒にいるときに、意識不明の状態で救急搬送されていることから、警視庁は他にも虐待を行っていた可能性があるとみて、慎重に調べを進めています。
 

カネボウ白斑訴訟で和解
美白成分「ロドデノール」が入った化粧品が原因で肌がまだらに白くなる白斑が残ったとして神奈川県などに住む女性17人がカネボウ化粧品に総額およそ3億7,000万円の賠償を求めて横浜地裁に訴えた裁判で和解が成立しました。解決金の額について弁護団は会見で「明らかにできないが補償として評価できる水準」と述べました。
 

小売り大手と会談 トランプ氏 税制改革に意欲
トランプ大統領は小売大手の幹部と会談し、法人税や所得税の大幅な引き下げの実現に意欲を示しました。(トランプ大統領)「税制改革はアメリカ経済にとって絶好のチャンスになる」トランプ大統領は月内にも税制改革の具体策を発表する意向を示しています。なお、会談には小売大手のターゲットや衣料品のギャップなど8社が参加し国境税に反対している企業もいましたが、会談の中で言及はありませんでした。
 

■【コメンテーター】BNPパリバ証券/中空麻奈氏

・ 好調な米国景気・力強さは?

--アメリカは物価も小売りもしっかり、それから製造業も良くなってきてますね。

「本当にそうですね。特にアメリカの製造業はこのところずっとリストラをしていたんですが、去年の秋ぐらいからどんどん良くなっていて、なのでフィラデルフィア連銀なんかの統計を見ていても、設備投資をどんどんしましょうという動きが進んでいますね。なのでもう少しバブル気味な状況が続くのではないかと思っています。」

--その力強さというのがどこまで強くなるか、ですよね。

「本当にそうですね。本来はそんなにアメリカの潜在成長率は高くないと私は思っているんです。なので今の状況というのは、若干バブル気味だなというふうな気はします。ただ政策も含めて、うまく数字も出てきているので、しばらくの好調さは維持できるのだろうとは思っています。」


・ 今日の経済視点 「強気相場の間に“ファンダメンタルズ”重視で選別」

「今日のプロの眼でもありましたけれども、新興国の一緒じゃないと選んでおきましょうということが大事だと思っていて、私はクレジットアナリストというちょっと暗いところがあるので、強気相場はそんなに長くないと思ってるんですね。1年ぐらいかなと思っているので、この1年の間にやることはファンダメンタルズのいいものを選びましょう。例えば、レバレッジが高くない業種を選んでおくとか、先ほどの新興国での国を選んでおくとか、そんなことを考えています。」

--その見極めるポイントというのが実は難しいんですよね。

「そうですね。ただ格付けがいいとか、それだけではなくて、例えば今は収益と債務のバランスがいいとか、レバレッジ比率が高くなく借金が多くないとか、そういうようなことを中心に選んでいくといいんじゃないでしょうか。あとはトランプさんがどんな政策を出して来るかによって、下駄をはくセクターが出ますよね。そういう下駄をはくセクターがどれなのかとか、さっきの金融株みたいなもんです。あれをいかに見極めるかです。」