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モーニングサテライト・ウォッチ

2017.2.20 Newsモーニングサテライト

2017年02月20日 15時25分57秒 | MS
■マーケット

NY株 今週は金融政策の行方に注目
17日のニューヨーク株式市場、主要指数はそろって高値更新し、新政権への政策期待が続いています。20日はプレジデントデ―の祝日で休場ですが、今週は金融政策の行方も気にされそうです。財政拡大を掲げる「グッドトランプ」を好感しつつも、今週予定される新たな入国規制の大統領令への署名など「バッドトランプ」にも注意が必要です。一方イエレン議長の議会証言で一気に市場の関心が高まった3月利上げの可能性ですが、今週は前回のFOMC(連邦公開市場委員会)の議事要旨の公表をはじめ、連銀高官の発言機会も多く、為替や金利の動きにも注目が集まりそうです。17日の株価の終値です。ダウは7日連続で高値更新、4ドル高の2万624ドル。ナスダックは23ポイント上昇の5,838。S&P500は反発、3ポイントプラスの2,351でした。

【月曜恒例アメリカの専門家インタビュー】
今週は前回FOMCの議事要旨が発表されます。中でも最近FRBの高官からも声が上がっているバランスシートの縮小をめぐる議論についてどんな発言がされたか注目されていますが、アメリカの専門家は、利上げを最優先し、実行は時期尚早とみています。

《ウェルズ・ファーゴ/マーク・ヴィトナー氏》
「バランシート縮小の議論はあっても、FRBは実行しようとしていないだろう。イエレン議長は『十分に利上げするまでバランスシート縮小はない』と議会証言していた。これは利上げを最優先するとのFRBからのメッセージだ。」

また次の利上げの時期について3月説も浮上する中、ヴィトナー氏はその可能性は低いとみています。

「新政権の財政政策が不透明で、2月の雇用統計も発表が遅いため、3月利上げは困難だろう。またFRBは政治から独立しているといっても、3月に利上げをして、トランプラリーに水を差すようなことは避けたいはずだ。」


【為替見通し】注目ポイントは「米“税制改革案”の内容」
解説は三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作氏

--まずは先週末の動きを振り返っていかがでしょうか。

先週末のドル円は、東京市場では113円台前半で推移していましたが、海外勢の参入が始まると下落、フランス大統領選挙がらみの不透明感や3連休前の持ち高調整でアメリカ国債が買われると長期金利が低下、112円台後半に軟化しました。

--今日の予想レンジは、112.10~113.50円です。

本日は週明けの五十日(ごとおび)なので、国内輸入企業のドル買いは厚めかもしれません。ただ季節的には日本の3月期末をにらんだ海外利益の里帰りによる円高圧力も意識されやすい時期に差し掛かっています。今晩のアメリカ市場は祝日でもあり、明確な方向感は出にくいと思います。

--注目ポイントは「米“税制改革案”の内容」です。

2月9日にトランプ大統領が数週間以内に驚くべき税制改革を提案すると言ってから既に1週間以上が経ちました。
(フリップ:米税制改革案の柱)
公約通りの大幅減税や国境での税調整が提案されれば、初期反応は金利上昇期待と貿易赤字縮小観測でドル高に振れそうです。ただ国境税調整の保護主義的側面が嫌気されて、アメリカ株が下落すれば、2次反応では円高に揺り戻すかもしれません。またアメリカ企業の海外利益の国内回帰を促す減税が手案された場合、軽減税率の適用前は本国送金が手控えられて、ドル需給が一時的に緩む可能性もあります。為替相場への影響は複雑になりそうなので、見極めにはしばらく時間がかかりそうです。

【日本株見通し】注目ポイントは「東証1部の騰落レシオ」
解説はDZHフィナンシャルリサーチの東野幸利氏

--今日の予想レンジは、19050円~19150円です。

シカゴ先物の下落や円高を背景に、全般やや売り優勢のスタートと見ています。ただ円高がさらに進むことがない限りは、19100えんどころの25日線以上で終えるイメージを持っております。物色に関しては決算発表後に投資判断が変更された個別株、特に東証2部や日経ジャスダックなどの中小型株指数に強気ムードがちょっと出てきていますので、東証一部の中でも大型株以外の好業績株が見直されやすいと思っています。

--注目ポイントは「東証1部の騰落レシオ」です。

「ここでいう騰落レシオというのは、東証1部銘柄の値上がりの数を値下がりの数で割って求めるものです。」
(フリップ:株価上昇の追い風になるか?)
「騰落レシオが上昇するときは株価も上昇、低下するときは株価も下落することが多いわけですけれども、去年12月中旬以降は騰落レシオが大幅に低下する一方、株価のほうは米国株の上昇、特に金融や景気敏感株の一部の上昇に支えられて、下げずに高値圏でボックス相場を続けています。ただ足下の騰落レシオは値下がりの数が多い、100%を下回る状況から、先週は再び値上がりの数が多くなる状況にやや変わってきてますので、ここから上昇に向かえば、株価のほうもボックスを上回れるといった可能性が高まるのではないかなと見てます。」

 
■【エマトピ】インドネシア経済 底打ちから回復へ
インドネシアでは、去年6回の利下げや低インフレによる可処分所得の回復で消費マインドが改善、経済は底打ちから回復に向かっている。また、格付け会社のフィッチやムーディーズが国債の格付け見通しを「安定」から「ポジティブ」に引き上げたことで、今後さらなる投資を呼び込むことが期待される。解説は大和証券の山田雪乃氏。

【インドネシア経済 底打ちから回復へ】

--インドネシアの経済はいまどのような状況ですか。

(フリップ1:インドネシア経済は底打ちから回復へ)
昨年10-12月期の実質GDPは4.9%のプラスにとどまりました。政府が緊縮志向の財政政策を採っているため、政府支出が抑制されたことが影響しています。しかし昨年6回の利下げや低インフレによる可処分所得の回復で消費マインドは改善し、経済は底打ちから回復に向かっています。

--ただ今年はアメリカが数回利上げをすると予測されていますから、新興国であるインドネシアはどういう影響を受けるとお考えですか。

利上げの影響はあまり大きくないのではないかとみています。といいますのは、外貨準備がかなり各国で積み上がっております。

(フリップ2:短期対外責務残高(倍)と財サービス輸入額(月)(96年))
コチラのグラフをご覧いただきますと、横軸が外貨準備に対する短期の対外債務残高の割合で、これは1倍以上ですと安全です。また縦軸は財・サービス輸入額で、これは外貨準備がどれぐらいあるかということですが、3ヵ月以上あると安全と見られています。
(フリップ3:短期対外責務残高(倍)と財サービス輸入額(月)(16年第3四半期))
外貨準備は97年のアジア危機前の96年末ですが、アジア各国はかなり脆弱だったのですが、2016年第3四半期では各国ともに外貨準備が十分積み上がっておりますので、外的ショックに対する脆弱性はだいぶ低下しているのではないかと見ています。インドネシアもマクロ経済は安定化していますし、経済政策もかなり打ち出されていますので、安定的とみていいのではないかと見ています。

--国債の格付けにも変化があったようですね。

(フリップ4:インドネシア国債の格付け)
はい、そうですね。フィッチは昨年末、ムーディーズが今月に入って、(インドネシア国債の)格付けの見通しを安定的からポジティブに引き上げています。格付け自体は投資適格のそれぞれフィッチ(BBB-)、ムーディーズ(Baa3)に据え置いていますが、格上げがあれば今後さらに投資が呼び込まれるのではないかとみています。

【未加工鉱物の輸出規制、日系企業への影響は?】

--一方で、インドネシアは資源国ですよね。最近、資源を巡る新たな動きがあったそうですが・・・。

はい、そうですね。インドネシア政府は、鉱物の高付加価値化ということを目指しておりまして、2014年1月に輸出を規制するといったことで、銅やニッケルの輸出が一部規制されていました。これが今年に入って1月に一部で輸出規制が見直しされています。

--そういったことは、日系企業はどういうふうに見ているのでしょうか。

(フリップ5:住友金属鉱山や大平洋金属、静観)
インドネシアに投資をしている住友金属鉱山や大平洋金属は、静観の見通しです。といいますのはインドネシア政府が運用ルールがまだはっきりしていないということや、短期的によくルールを変えるといったようなこともありますので、影響を見極めるといった姿勢です。ただインドネシアのニッケル鉱山は非常に質が高いので、フィリピンなどに比べても精製コストが下がるのではないかと期待されます。

--この動きというのは今後、需給なども含めてどう動きそうですか。

住友金属鉱山などはインドネシアから5万~6万トンのニッケル鉱が輸出されるのではないかといったことで、供給過剰感もあるんですが、一方で今月に入って、フィリピンで一部のニッケル鉱山の生産が停止されています。トータルで見ると4万8000トンのニッケルが供給不足するのではないかとみられていますので、今後この試算通りにいけば、ニッケル価格が上がるということもあるのではないかとみています。


■【NY便り】東芝ショック、揺れる原発建設の街

不正会計問題を受け経営再建の途上にあった東芝が、先週14日、実質的な債務超過にあると発表しました。元凶となったのは収益の柱の一つ、原子力事業。東芝ショックの震源地となったアメリカの、揺れる原発の街を取材しました。

先週14日。東芝は去年2016年4月-12月期決算が、4999億円の最終赤字になると発表した。このままでは3月末には1500億円の債務超過に陥る。東芝の綱川智社長は「多大な迷惑をかけたことをおわび申し上げます」と述べた。巨額債務の元凶はアメリカの原発事業。その損失額は少なくとも7000億円を超えるという。

(フリップ1:東芝株、11ヵ月ぶり安値)
発表を受け、東芝の株価は急落、およそ11ヵ月ぶり安値となった。
東芝の原発事業で一体何が起きているのか。米ジョージア州ウェインズボローのボーグル原発を取材した。

《ニューヨーク支局/平井裕子記者》
「ボーグル原発が一望できる場所に来ています。蒸気が出ている2基が、80年代から稼働する従来の原発。そしてその右側の2基がウェスティングハウスが受注した問題の原発です。クレーンが立ち並び現在も建設が続いていることが分かります。」

東芝傘下のウエスチングハウスがアメリカで建設中の原発4基のうちの2基(ボーグル原発3・4号機)。当初の予定ではこのうち1基が去年完成する予定だったが、今なお工事は続行中。完成は2019年にまで延期されている。受注した2008年当時は安全性能に優れ、アメリカでは実に約30年ぶりの原発建設と大きな期待が寄せられた原発だった。しかし福島の第一原発の事故で事態は一変。安全規制が強化され、工事が遅れに遅れてコストが膨らみ続けた。さらに事態の打開を図るため、ウエスチングハウスは原発サービス会社を買収するが、この会社が実は債務超過であることが判明したのだ。東芝は巨額の債務を抱え込むことになった。

東芝の記者会見前日、ある噂が広まっていた。「14日は血のバレンタインデーになるかもしれない。」一斉解雇されるのでは、というのだ。3号機の建設作業員に話を聞くことができた。

《3号機の建設作業員》
「全員解雇されるって噂だ。流れに任せるしかできない。」
「会社は赤字でコスト削減が必要なんだろう。」
「すでに労働時間を減らされている。次は解雇だ。」
--Q.3号機は予定通り2019年に完成するか。
「あり得ないね。工事現場を見てごらんよ。こんなに規制が厳しくちゃ何も進まない。」
--Q.いつ完成すると思うか。
「2023年くらいかな。」

一方、地元経済への影響を懸念する声もある。
《地元市役所責任者/ジェリー・コールソン氏》
「東芝が撤退するかもしれないという話を耳にした。そんなことになれば、地元経済にも痛手だし、工事の進行に影響が出るのは必至だ。」

不安は現実のものに・・・。東芝は14日、今後の海外の原発建設から撤退する方針を決め、ウェスチングハウスへの出資比率引き下げる意向を明らかにした。

《東芝/綱川智社長》
「ご興味を持ってくださるパートナーがいれば、それは一緒にやっていくということで、今は87%の株を持っていますけれども、その辺は下げるということでございます。」

ボーグル原発を含め、建設中の案件は継続するとしているが、詳細はまだ明らかにされていない。アメリカの電力の2割は原発で賄われ、オバマ政権下ではクリーンエネルギーとして支援も受けた原発だが、当時と比べて、原油価格も下落基調で逆風が吹いている。東芝はアメリカで建設中の原発について、既に工期延長を発注元の電力会社に申し入れたとも伝えられていて、事態は混とんとしている。

■モーサテサーベイ

マーケットや世界経済の先行きを番組のレギュラー出演者へのアンケートから独自に予想します。
(調査期間:2月17日~19日、番組出演者34人)

(1) 今週末の日経平均予想
予想中央値(19200円)、先週の終値(19234円)

《SMBC信託銀行プレスティア/山口真弘氏》
(19200円と予想)
「トランプ大統領の演説前の膠着感が強まる」

《インベストラスト/福永博之氏》
(18600円と予想)
「為替の動向が不透明で上値を抑えそう」

(2) 今週末のドル/円予想
予想中央値(113.25円)、先週終値(112.76円)

《みずほ証券/鈴木健吾氏》
(114.5円と予想)
「トランプ政権の減税策期待で底堅い動きを想定」

《三菱東京UFJ銀行/内田稔氏》
(111.5円と予想)
「円売りの手仕しまいによる円高圧力がやや優勢な情勢」
 
(3) アメリカの利上げ時期予想
3月(24%)5月(12%)6月(62%)18年以降(3%)
最も多かったのは6月の62%、先週から14ポイント低下した。一方、来月の利上げ予想は18ポイント上昇し24%となった。

(4) モーサテ景気先行指数(39.7に低下)
 
 

■米 財政収支に注目、予算教書どう示す
トランプ政権1ヵ月経った。これからの注目は予算教書で示される今後10年間の財政収支の見通しです。2026年には財政赤字をゼロにする議会共和党案に対してトランプ政権がどのような見通しを示すかで減税やインフラ政策の規模感が分かるといいます。解説はみずほ総合研究所の安井明彦氏。

--トランプ政権発足から1ヵ月が経ちました。今どういったところに注目されていますか。

(フリップ1:米予算教書はいつ?)
「ここからのポイントは予算教書の中で示されてきます今後10年間の財政収支の見通しと考えています。先週ワードバンクのコーナーでも取り上げさせていただきましたけれども、1年目の大統領の場合ですと、通常ですと今月の末、ちょうど2月28日にトランプ大統領が議会で演説をしますが、その前後に予算教書の暫定版が出る見通しということになってます。その中で今後10年間の財政収支の見通しも出てくるということになるわけです。」

--ではどういった経済政策に注目が集まっているのか、番組コメンテーターに聞いています。今週のモーサテサーベイでは・・・。

(フリップ2:トランプ政権の経済政策で、最も注目は?)
法人税減税50%、インフラ投資24%、財政規律9%、規制改革6%、所得減税3%、通商交渉3%、その他6%。
半数の方が法人税減税に最も注目しています。アメリカ企業の業績の押し上げにつながるほか、他の国での法人税率引き下げにも波及するなどの見方がありました。そしてインフラ投資、財政規律が続いています。

--やはりマーケットのほうでは減税政策やインフラ投資に注目が集まりますけれども、そういった中で安井さんが財政収支、財政規律のほうに注目されるのは何故でしょう。

「経済の影響を見る場合に、いったいどれぐらいのお金が経済の中に出てくるのか。赤字がそうなのか、財政収支がどうなのか、が分からないと、判断がつかないというところがあるからです。」

--ではこちらを見ていきましょう。

(フリップ3:財政収支見通し)
「予算の審議は議会でやるわけですけれども、いま多数を持っている共和党のほうでは今後10年間で財政赤字をゼロにするというような提案を行ってきています。一方で、今のままの政策が続いた場合、つまり民主党のオバマ政権の政策が維持された場合というのは、財政赤字がずっと膨らんでしまうという予想になっているわけです。こういった中でトランプさんは一体どういう財政収支の提案をしてくるのかというところが注目されるわけです。」

--トランプ大統領はどちらかというと、民主党寄りというか、政策としては財政を出そうというところが今話題になっていますけれども、となるとどういったところに落ち着きそうですか。

(フリップ4:財政収支見通し:安井氏の予想)
「もともとの提案からすると、だいぶ議会の共和党に歩み寄ってはいるんですけれども、それでもやはり足下では財政赤字が膨らみそうな気はしています。ですのでパターンとしましては、足下で大きく財政赤字を膨らまして、だけど10年後にゼロにするというところでは共和党に歩み寄るといったようなラインが考えられるのかなというふうに思っています。」

--ただここまで膨らまして、急激に回復できるものですか。

「そうですね。1つの説明の仕方は、トランプさんは減税をやりますので、これで経済成長率が高まります。なので税収が増えるから、税制赤字を減らすことができるんです、という説明が1つあります。もう1つは、インフラ投資は増やしますし、国防費も増やすんですが、それ以外の部分では歳出を減らします。なので減っていきます、という言い方ですね。

--歳出でいいますと、だいたいどういったところがありますか。

「大きいところでは医療費の削減といったようなところなどが検討されるということだと思います。」

--こういった経済成長で税収が増えるというのは、もともとアベノミクスもそうでしたし、それから先月来日しました「財政赤字は将来のインフレで返せるんだ」といったようなノーベル賞経済学者でプリンストン大学のクリストファー・シムズ教授の理論にも似ているところがありますね。

「そうですね。トランプ大統領の場合、インフレというよりは、経済成長で税収が増えるということなんですけれども、赤字の拡大を肯定するような理論武装であるという面は似ていると思います。これまでアメリカの財政収支を見通す場合に、そういった効果は考えていなかったわけですので、ちょっと異例だということではありますけれども、トランプさんは多分やってくるんじゃいかという見方が強くなっています。」

--でも大規模な削減がないとそれは不可能だということで、医療費などを削減するのではないか。これは医療費だというのは何故でしょうか。

「今後アメリカの税制赤字は増えていくわけですけれども、その大きな理由が医療費だからです。今後の伸び方を見ましても、非常に高くなっているということになります。」

(フリップ5:アメリカの財政赤字の要因は医療費)
--これを見ますと、歳出の見通しとしましては、医療費、年金、利払い費、・・・、確かに2027年の薄い水色の棒グラフは医療費などが多いんですね。年金には手を付けないんですか。

「そうですね。トランプさんは選挙中に年金は削らないと言っていますので、残るところとしては医療費ということになってしまうということになります。」

--これは両方あると思うんですが、マーケットとしては、ちゃんと大きな削減をして示すパターン、それから大幅な歳出だけで済ますパターン、どっちがどう反応するでしょうか。

「将来、財政赤字が減ってくるというラインが見えてくるということであれば、これはイエレンさんも懸念していましたけれども、財政赤字がとにかく大きくなってしまうという懸念はなくなるという点では、好感はされる面はあると思います。その一方で医療費の削減というようなことが出てきますと、これは議会で通すのはかなり難しくなりますので、減税なんかも含めて経済政策をちゃんと進むのかという懸念が出てくる。そういうマイナスの要素も考えておかなければいけないと思います。」

--両方考えなくてはいけないわけですね。では今後の政治日程を確認したいと思います。

(フリップ6:期待はつなげられるか?)
「2月28日にトランプ氏の議会演説、そのあと予算教書の暫定版、本格的に出るのが5月になります。そして議会が目標にしている立法化の時期は7月末ということになりますので、かなりまだ先になるということですよね。株価は期待相場ということになってますが、この間、かなりの期待で続かないといけない。そうなってくると、マーケットを支えられるのはもしかすると、むしろ実体経済のほうなのかもしれないという気はします。」

--そういう意味では、いま経済指標が良くなってきているというのは、下支えとしいいわけですよね。それでこの予算教書はちゃんと出ますか。

「これも若干遅れていて、出ないという見方もあります。その場合には言われています減税案だけが先に出るということになるわけですよね。そうなりますと経済に対する影響というのは、ちょっと読みにくいということではあるんですけれども、マーケットとしては地合いがいい中で、とにもかくにも減税だけでも提案が出るということで、(株価が)上がる材料になってしまうのかもしれない。」

--日本にとってもそれは・・・。

「そうですね。アメリカが上がれば、日本の株も引きずられるということですし、為替についても円安の方向ということかと思います。」

--いずれにしても、出るか出ないかしっかり見極めたいと思います。
 
■日経朝特急

配当、リーマン時の2倍
上場企業が株主の配当を増やす。今年度の配当総額は11兆8000億円と連続で過去最高になり、リーマンショックの影響を受けた2009年度に比べ倍増する。KDDIや三菱商事など主力企業が相次ぎ増配する。企業業績は2年ぶりに過去最高を更新する見通しで、利益の伸びに応じて株主への還元を積極的に増やす姿勢が日本企業に定着してきた。

中小、大企業上回る
中小企業の賃金上昇率が大企業を上回って推移している。去年の上昇率は社員100人未満の中小企業が0.9%だったのに対し、500人以上の大企業は0.6%にとどまった。中小企業では飲食、サービス業などを中心に人手不足が深刻で、賃金を上げる動きが活発だ。

人手不足の職種、処遇改善
建設技能者や保育士など技能や資格を持つ職種の処遇改善では、例えば竹中工務店が建築現場のリーダー向けの報奨金を来年度に拡充する。人手不足が深刻な保育や運輸などでも賃上げや手当の新設が続く。保育所を運営するこどもの森は、4月から保育士の月給を1万円引き上げるなど、建設や保育などの有効求人倍率が全体を上回る職種を中心に幅広い職場で人手確保を狙った賃上げや待遇改善を図る動きが進んでいる。

■日刊モーサテジャーナル

米トランプ大統領が集会、早くも2020年を意識?
トランプ大統領が18日にフロリダ州で選挙前のような大規模集会を開いたことについて、ニューヨークポストは、「政権発足からまだ1ヶ月ほどだが、2020年の次期大統領選を念頭において(2020 VISION)、熱狂的な支持者を鼓舞しているようだった」、と伝えている。記事は、「こうしたいくつかのスピーチは、去年の選挙期間中を思い出させるもので、首都ワシントンでメディアや議会を説得できずにいる現実とは大きくかけ離れていた」、と伝えている。
一方、ワシントンポストは、「フリン大統領補佐官の後任選びなど、政権運営が混迷を極める中、慣れ親しんだ支持者と一緒に一度リセットしたかったのだろう」、と冷ややかにみている。

東芝は今が買い(バロンズ)
週刊投資新聞バロンズは、「確かにリスクは高いが、東芝の株は買いかもしれない」、と報じている。記事は、「日本では名門企業が上場廃止になったり、破産したりするのは珍しい」、と指摘。「同じように含み損を抱えるシャープは未だに上場廃止されていないではないか」、と伝えている。また記事は、東芝のNAND型フラッシュメモリについて、利益の半分以上を生み出すなど魅力的だ、という投資家の声を掲載し、分社化をした後も多額の増資を見込める、と伝えている。記事は、「先週の終値から最大で50%以上株価が上昇するかもしれない」、と予想している。

史上最大のIPO、道のりは険しい模様(ウォールストリートジャーナル)
サウジアラビアは国営石油会社サウジアラムコのIPO新規株式公開を計画中で、史上最大のIPOになると言われているが、その道程は険しくなりそうだと報じている。記事によると、「当初は今年にもIPOが予定されていたが、それが早くても来年(18年後半)、もしかしたら再来年(19年)になるなるかもしれない」、という。その背景にあるのは、上場後どの程度が引き続きサウジアラビア政府の収入減になるのか、それともエクソンモービルのように投資家への利益を優先するか、企業の構造を巡って関係者の間で調整が難航しているそうだ。サウジアラムコは上場すれば時価総額が2兆ドル(220兆円)以上になると見込まれている。

■今週の予定

2月20日(月) 1月貿易統計、米(休場)
2月21日(火) 2月ユーロ圏PMI、米2月製造業PMI、米決算(ウォルマート、ホーム・デポ)
2月22日(水) 中国1月主要70都市の新築住宅価格指数、米1月中古住宅販売件数、米FOMC議事要旨
2月24日(金) プレミアムフライデー開始、米1月新築住宅販売件数
 
■今日の予定

1月貿易統計
1月主要コンビニ売上高
英上院でEU離脱法案の審議開始
ユーロ圏財務省会合
米(休場)

■ニュース

クラフト・ハインツ ユニリーバ買収を断念
アメリカの食品大手クラフト・ハインツは19日、イギリス・オランダの食品大手ユニリーバに対するおよそ16兆円にのぼる買収提案を、断念すると発表しました。理由としてクラフト・ハインツは、ユニリーバが今回の提案を拒否しており、これ以上の交渉は難しいとして「早い段階で断念するのが最善だと考えた」としています。

最大拠点モスル奪還作戦 開始
イラク軍は19日、中東の過激派組織「イスラム国」が支配するモスル西部の奪還に向け、アメリカ軍などの支援を受けて地上作戦を開始しました。西部を掌握できれば、「イスラム国」はイラク国内での最大の拠点を失うことになります。ただ、国連によりますと、現地にはまだ75万人の市民が取り残されていて、戦闘による民間人犠牲者の拡大が懸念されています。

金正男氏殺害事件 北朝鮮国籍の4容疑者を手配
北朝鮮の金正男氏が殺害された事件で、マレーシア警察は事件後初めて会見を開き、逮捕した4人のほかに北朝鮮国籍の容疑者4人を特定し、指名手配したと発表しました。新たに公表された容疑者は、北朝鮮国籍の30代から50代の男4人で、先月31日から今月7日の間にマレーシアに入国し、事件が起きた今月13日に全員出国したということです。4人は、インドネシア、アラブ首長国連邦、ロシアを経由して、今月17日に平壌に到着したとの情報もあり、警察は指名手配し、行方を追っています。また、この他に正男氏殺害を手助けした疑いで北朝鮮国籍の男1人を含む3人を探していることも明らかにしました。正男氏の死因については、司法解剖や毒物検査などの結果待ちで、調査中としています。マレーシア警察の捜査結果を受け、韓国統一省の報道官は、容疑者5人が北朝鮮国籍であることから、「事件の背後に北朝鮮政権がいるとみている」として、北朝鮮を非難する論評を発表しました。
 
アスクル鎮火めど立たず
埼玉県三芳町にあるオフィス用品通販「アスクル」の物流倉庫の火災は出火から4日近く経ちますが、依然として鎮火のめどはたっていません。三芳町は、倉庫の西側に住む3世帯7人に避難勧告を出し、一時6人が公民館に避難しました。県によりますと、およそ4万5,000平方メートルが焼けたとみられています。

皇太子さま開会宣言
皇太子さまはきのう午後、札幌ドームで開かれた冬季アジア大会の開会式に出席し、天皇陛下の名代として開会を宣言されました。皇太子さまはきょう、クロスカントリースキーの競技を観戦し、その後、東京に戻られます。

イバンカさんの香水 売れ行きNo.1に1
トランプ大統領の長女、イバンカさんのブランドがネット通販で好調だそうです。大手百貨店などが相次いで販売中止を決める中、イバンカさんのブランドを代表する香水がアマゾンでベストセラーに輝いています。アマゾンの香水部門の売り上げで、イバンカ・ブランドの女性用香水が、4日連続で1位に輝いています。レビューは満点の5点と高く、「不買運動に対抗するために買った」と、支援者の声が掲載されています。ブランドを巡っては、百貨店のノードストロームが「売り上げ低迷」を理由に販売中止を発表し、トランプ大統領が批判していました。

■【コメンテーター】みずほ総合研究所/安井明彦氏

・ 「トランプ減税」市場の注目は

--今週もいろいろ予定はあるんですけれども、ただやはり市場の目というのは、その次、予算教書や減税はどんなものか。

「そうですね。減税に対する注目が高いですね。1つのポイントはまずちゃんと来週出るのかということです。マーケットなどでは今週これから出てくるという見方が強いわけですけれども、トランプさんははっきりとはいつ言うということは言ってませんので、出ないまま時間が経っていくとやや期待がまた下がってしまうということはあるかもしれません。それから中身ですね。特に法人税減税の中で、いわゆる国境調整と言われる制度が入るのかどうなのか。輸出を優遇して輸入を強化するというような政策が取りざたされているわけですけれども、アメリカ国内の中にも輸入してモノを売っている小売業界などすごく反対もありますので、そういったことを本当にトランプさんがやろうとするのかどうなのか、ここが1つの注目にはなると思います。」

--税制もいろいろありますからね。国境税、法人税減税、所得税、レパトリ減税など。

「そうですね。海外にある企業が持っているお金をアメリカ国内に持って帰りやすくする税制も入ってくるとも言われています。」
 
・ 政権発足1ヵ月、運営に懸念は

--トランプ大統領は、側近フリン氏が辞任になるなど、今後の動静等のはどう見ていますか。

「そうですね。今一番厳しい時間帯だと思うんですよね。自分の思うようにやればできると思っていたんだけども、なかなかうまく動いてくれない。側近もやめなきゃいけないということですから、大変だと思うんですけれども、ただ外交政策については、この補佐官の交代というのはうまく、良い方向に行く可能性もあるのかなというふうに思ってます。マティス国防長官やティラーソン国務長官といった伝統的な考え方を持っている人たちが政権の中で力を持って行く。日米同盟も重要性が再確認されていますけれども、そういった方向で少しづつ軌道修正されてくるということであれば、良かったの感という展開にもなるかなと思ってます。」

・ きょうの経済視点 「米国議会の反応」

「トランプさんの減税案、それから予算教書、議会演説と、非常に注目が高まるわけですけれども、肝心なのは減税などを提案しても、それがそのまま実現するわけではないということですね。これは議会で法律にする必要があります。ですのでトランプさんの提案の内容もさることながら、それに議会がどういうふうに反応してくるのか、ここを見ないと政策の実現可能性とおいうのは見えてこないということになります。」

--今市場が期待しているもの、番組内でもご紹介しましたけれども、どの辺が共和党、議会と揉めそうですか。

「まずは財政赤字をどれぐらい大きくするのか、小さくするのか、そこで共和党の議会とトランプさんの拡張的な財政政策というのが、ちょっと差があるというのが1つあります。それから減税の内容ですね。国境調整税に関しては、下院はOKなんですけど、上院はあまり賛成していませんので、トランプさんがそこでどういうふうに押して来るのか、そして議会がそれにどういう反応をするのか、というところが注目です。」

--議会は今はなしているんでしょうね。

「今週はお休みなんです。来週からになりますので、そういった時間差にも気を付けてください。」