コカ・コーラシトラが発売されました。個人的には好きな味です。
私はニッポン放送の携帯情報サイトで、2週ごとにその週に起こったことを中心にコラムを書いています。二週間遅れで、その記事を公開しています。世の中の流れが速いので、だいぶずれてしまうこともありますが、ご容赦ください。なお、最新版は携帯電話からニッポン放送のサイトに行ってください(こちらは有料です)。
正体を現した村上ファンド
5月2日に 阪神電鉄の46%を保有する筆頭株主の村上ファンドが、阪神電鉄に対して、取締役会の過半数となる9人を取締役を村上ファンド側から選任するよう求める株主提案を提出した。
これまで村上ファンドは阪神電鉄株の保有に関して「純投資」であることを主張し、阪神電鉄の企業価値を高めるための協議を阪神電鉄としてきたが、過半数の取締役を送り込むということは、その方針が大きく転換されたか、そもそも嘘だったことになる。
阪神電鉄は「経営支配目的の大株主に転じたと思わざるを得ない」とし、「経営方針とは相容れない」と拒否の姿勢を明確にした。
しかし、村上ファンドの要求は、かなり高い確率で単なる脅しだろう。村上ファンドは投資ファンドであり、阪神電鉄を経営して利益を獲得するような悠長なことはしていられないからだ。村上ファンドが出資者に示している目標利回りは年間30%と言われる。阪神電鉄の経営をして、そんな利回りが得られるはずがないのだ。
阪神電鉄の株主総会は6月29日の予定で、その2週間前に招集通知が送られる。そのため、印刷・発送の作業まで考えると、招集通知に村上ファンドの株主提案が記載されるのを避けるためには、6月初めまでに村上ファンドの株主提案を取り下げてもらわなければならない。
村上ファンドの本音は、そうした「期限」を設定することによって、阪神電鉄に株式公開買付(TOB)をかけて経営統合を目指している阪急ホールディングスが、村上ファンドから高値で阪神電鉄株を取得することに早期合意するように追い込むことだろう。阪急は、村上ファンドとの価格交渉を時間をかけて慎重に進めている。しかし、それは村上ファンドにとっては、耐えられない苦痛なのだ。交渉時間が長引けば長引くほど、利回りが低下してしまうからだ。
しかし、その牛歩作戦こそが、ライブドアによるニッポン放送買収事件から学んだ敵対的買収に対する最良の対抗策なのだ。
村上ファンドが阪神電鉄株の買収に使った資金は1230億円前後で、平均取得価格は640円前後とみられる。これを900円で売却できれば、村上ファンドには357億円の利益がもたらされることになる。投資額に対する単純利回りは29%だ。ただ、村上ファンドが阪神株を取得してから平均では1年経過していないから、実質的な利回りはもっと高いだろう。だから、仮に900円で阪神電鉄株の売却交渉が合意しても、村上ファンドは30%の運用利回りの目標を達成してしまうのだ。だから、阪急は絶対に800円台以下での合意をしなければならない。
発行済み株式の半数近くまで買い占めた以上、村上ファンドはそう簡単に株式を処分できない。一気に処分すれば株価が暴落してしまうからだ。しかも村上ファンドは投資家からの圧力があるから、長期戦に耐えられないのだ。
阪神電鉄の株主総会招集通知に村上ファンドの株主提案が記載されても構わない。少なくとも株主総会までに株式を取得を決めれば、提案は可決されないからだ。
ちなみに5月6日に、村上ファンドが今年3月末時点でTBSの発行済み株式総数の4%超を保有する大株主になっていたことが明らかになった。村上ファンドは昨年9月末にTBS株の7.45%を保有していたが、楽天に譲渡することで、一度はほとんどの株式を手放していた。もし、阪急が900円以上の株価で阪神株を引き取ることになれば、村上ファンドへの投資家からの信頼は継続し、それは解放された投資資金がこうした第二の阪神株に向けて走り出すことを意味する。私は、阪急にはそれを避ける義務があるのだと思う。
村上ファンドが阪神電鉄株を取得した時に、村上ファンドによる経営と阪神タイガース株の上場はファンのためにもなると主張する評論家がたくさんいた。村上氏は、阪神の救世主になるという主張さえみられた。しかし、今回の株主提案で、村上ファンドが株式を買い集めて高値で引き取らせることを目的にした「グリーンメーラー」に過ぎないことは、十分明らかになっただろう。
村上ファンドが恐れる事態は、阪神・阪急連合軍が時間稼ぎに出ることと同時に、世間から非難の目でみられることだ。自分たちの活動が反社会的と世間から評定されれば、投資家からお金を集めにくくなるだけでなく、法律スレスレの活動に対して、いつ検察が動き出すか分からないからだ。
阪神電鉄や阪急ホールディングスが徹底抗戦して、それを世論が支持する。それが、マネーの暴走から日本の企業を守る最良の方法なのだと私は思う。
正体を現した村上ファンド
5月2日に 阪神電鉄の46%を保有する筆頭株主の村上ファンドが、阪神電鉄に対して、取締役会の過半数となる9人を取締役を村上ファンド側から選任するよう求める株主提案を提出した。
これまで村上ファンドは阪神電鉄株の保有に関して「純投資」であることを主張し、阪神電鉄の企業価値を高めるための協議を阪神電鉄としてきたが、過半数の取締役を送り込むということは、その方針が大きく転換されたか、そもそも嘘だったことになる。
阪神電鉄は「経営支配目的の大株主に転じたと思わざるを得ない」とし、「経営方針とは相容れない」と拒否の姿勢を明確にした。
しかし、村上ファンドの要求は、かなり高い確率で単なる脅しだろう。村上ファンドは投資ファンドであり、阪神電鉄を経営して利益を獲得するような悠長なことはしていられないからだ。村上ファンドが出資者に示している目標利回りは年間30%と言われる。阪神電鉄の経営をして、そんな利回りが得られるはずがないのだ。
阪神電鉄の株主総会は6月29日の予定で、その2週間前に招集通知が送られる。そのため、印刷・発送の作業まで考えると、招集通知に村上ファンドの株主提案が記載されるのを避けるためには、6月初めまでに村上ファンドの株主提案を取り下げてもらわなければならない。
村上ファンドの本音は、そうした「期限」を設定することによって、阪神電鉄に株式公開買付(TOB)をかけて経営統合を目指している阪急ホールディングスが、村上ファンドから高値で阪神電鉄株を取得することに早期合意するように追い込むことだろう。阪急は、村上ファンドとの価格交渉を時間をかけて慎重に進めている。しかし、それは村上ファンドにとっては、耐えられない苦痛なのだ。交渉時間が長引けば長引くほど、利回りが低下してしまうからだ。
しかし、その牛歩作戦こそが、ライブドアによるニッポン放送買収事件から学んだ敵対的買収に対する最良の対抗策なのだ。
村上ファンドが阪神電鉄株の買収に使った資金は1230億円前後で、平均取得価格は640円前後とみられる。これを900円で売却できれば、村上ファンドには357億円の利益がもたらされることになる。投資額に対する単純利回りは29%だ。ただ、村上ファンドが阪神株を取得してから平均では1年経過していないから、実質的な利回りはもっと高いだろう。だから、仮に900円で阪神電鉄株の売却交渉が合意しても、村上ファンドは30%の運用利回りの目標を達成してしまうのだ。だから、阪急は絶対に800円台以下での合意をしなければならない。
発行済み株式の半数近くまで買い占めた以上、村上ファンドはそう簡単に株式を処分できない。一気に処分すれば株価が暴落してしまうからだ。しかも村上ファンドは投資家からの圧力があるから、長期戦に耐えられないのだ。
阪神電鉄の株主総会招集通知に村上ファンドの株主提案が記載されても構わない。少なくとも株主総会までに株式を取得を決めれば、提案は可決されないからだ。
ちなみに5月6日に、村上ファンドが今年3月末時点でTBSの発行済み株式総数の4%超を保有する大株主になっていたことが明らかになった。村上ファンドは昨年9月末にTBS株の7.45%を保有していたが、楽天に譲渡することで、一度はほとんどの株式を手放していた。もし、阪急が900円以上の株価で阪神株を引き取ることになれば、村上ファンドへの投資家からの信頼は継続し、それは解放された投資資金がこうした第二の阪神株に向けて走り出すことを意味する。私は、阪急にはそれを避ける義務があるのだと思う。
村上ファンドが阪神電鉄株を取得した時に、村上ファンドによる経営と阪神タイガース株の上場はファンのためにもなると主張する評論家がたくさんいた。村上氏は、阪神の救世主になるという主張さえみられた。しかし、今回の株主提案で、村上ファンドが株式を買い集めて高値で引き取らせることを目的にした「グリーンメーラー」に過ぎないことは、十分明らかになっただろう。
村上ファンドが恐れる事態は、阪神・阪急連合軍が時間稼ぎに出ることと同時に、世間から非難の目でみられることだ。自分たちの活動が反社会的と世間から評定されれば、投資家からお金を集めにくくなるだけでなく、法律スレスレの活動に対して、いつ検察が動き出すか分からないからだ。
阪神電鉄や阪急ホールディングスが徹底抗戦して、それを世論が支持する。それが、マネーの暴走から日本の企業を守る最良の方法なのだと私は思う。
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