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結節性硬化症(TSC)(指定難病158)

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 結節性硬化症(tuberous sclerosis complex:TSC)は、原因遺伝子TSC1、TSC2の産生タンパクであるハマルチン、チュベリンの複合体の機能不全により、下流のmTORC1の抑制がとれるために、てんかんや精神発達遅滞、自閉症などの行動異常や、上衣下巨細胞性星細胞腫(SEGA)、腎血管筋脂肪腫、リンパ脈管筋腫症(lymphangioleiomyomatosis:LAM)、顔面の血管線維腫などの過誤腫を全身に生じる疾患である。

 【原因】
 結節性硬化症は9番の染色体上にあるTSC1遺伝子か16番の染色体状にあるTSC2遺伝子の異常によっておこる遺伝病で、常染色体優性遺伝と呼ばれる遺伝形式をとる。 TSC1遺伝子、TSC2遺伝子はそれぞれハマルチン、チュベリンと呼ばれるタンパク質をつくる。ハマルチン、チュベリンはそれぞれの作用と同時に共同でその下流にあるmTORC1を抑制している。したがってTSC1遺伝子、TSC2遺伝子の異常によりそれぞれがつくるタンパク質が異常になるとmTORC1の抑制がうまくいかずに、mTORC1が活性化される結果次に示すような種々の症状が出現すると考えられている。

 【症状】
 結節性硬化症の症状はほぼ全身にわたり、各症状の発症時期、程度も種々である。胎生期から乳児期に出現する心臓の横紋筋腫、出生時より認められる皮膚の白斑、乳幼児期から出現するてんかん、自閉症、精神発達遅滞、顔面の血管線維腫、乳児期から幼児期にかけて問題になることの多い脳腫瘍、眼底の過誤腫、小児期から思春期に著明になる腎の血管筋脂肪腫や嚢腫。20歳以上の特に女性に問題となる肺LAMや肺のMultifocal micronodular pneumocyte hyperplasia(MMPH)、さらに40代以降に増加する消化管の腫瘍や子宮の病変などがある。その他爪囲線維腫やシャグリンパッチ、歯のエナメルピッティングや骨硬化像、肝の腫瘍や卵巣膿腫などもしばしば認められる。合併症として、脳の腫瘍、特にモンロー孔付近の腫瘍が急速に増大し(SEGA)モンロー孔をふさいで水頭症を呈することがある。血管成分の多い腎の血管筋脂肪腫が増大すると、時に破裂を引き起こすことがある。また、腫瘍が増大してくると、時に悪性化が生ずることもある。肺LAMのために気胸を繰り返すことがある。

 【治療法】
 現在確立されている治療法はほとんどが対症療法である。てんかんに対しては抗てんかん薬や時に病巣の外科的切除が行われる。腎の血管筋脂肪腫に対してはTAE(経動脈塞栓術)、や外科手術による切除、皮膚の腫瘍に対してはレーザー、液体窒素を用いた冷凍凝固術や外科手術を行う。脳腫瘍に対しては手術又は薬物療法(mTORC1阻害剤)、腎腫瘍に対しては薬物療法(mTORC1阻害剤)、カテーテル治療(動脈塞栓術)又は手術が行われる。肺LAMに対してはホルモン療法などが試みられるが確立された方法はない。

<出典:難病情報センター>

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