野望に一歩近付いたけん

　休みごとに焼いとるパンものう、ついに最初の目標だった「パン ド カンパーニュ」までたどりついたけん。
天然酵母を使うとるパン屋でよう見かける、丸うて大きいあのパンじゃけん。
フランスの田舎でよう食べられとるという素朴なパンを、とりあえずドライイーストで焼くというのが、このパン焼きを始めてからの目標の一つだったけん。
小麦粉と塩だけでつくるフランス風のパンには、やっぱり食の安全性や、健康に対する期待も大きいけん。

　で、なんとかカタチになったけん。
他のパンとちがうてバターのような油脂類が入らん分、粉を混ぜるのに苦労するけどのう、行程そのものは割と単純で、予想外に簡単に焼けたけん。
表面がパリッとして、お店にも置ける出来と自画自賛しとるけん。

　でも、食べてみたらやっぱり何かが足りんけん。
天然酵母の持つ、独特の酸味がないけん、小麦粉の香りが強過ぎるけん。
…、
ここら辺がドライイーストでの限界かのう…。
こうなると次は…、やっぱり天然酵母か…。
そうなると、今以上に手間と時間が必要じゃのう…。
パン屋で買ったほうが早いけん！。