MEMORANDUM 今日の視点(伊皿子坂社会経済研究所)

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#2534 コーラを飲むと骨が溶ける?

2024年01月27日 | うんちく・小ネタ

 先日、新作のスイーツをゲットしようとコンビニを訪れた際、サッカークラブの帰り道でしょうか、たまたまやってきていた母子のこんな会話を耳にしました。それは…

少年:「お母さん、ボク、コーラがいい。」

母親:「コーラはダメよ、骨が溶けるから…サイダーにしなさい。」

少年:「ダッサ、骨なんて溶けるはずないじゃん。コーラじゃなきゃいらない。」

というもの。

 そう言えば子供の頃、そのほかの飲み物に比べ結構値段の高かった(くびれた薄緑色のガラス瓶に入った)コカ・コーラは、背伸びがちな少年たちの憧れでした。「スカッと爽やか!」と、海辺でサングラスなどをかけたお兄さんやお姉さんが飲み干すテレビCMなどもあり、「大人の飲み物」として駄菓子屋などでも別格の存在だった記憶があります。

 そして、言われてみれば、当時の親たちも(なぜだか)子どもにコーラを飲ませたがらなかった。母親にねだったりしても、やはり返って来るのは「コーラを飲むと骨が溶ける」というものだったことを、かなり久しぶりに思い出した次第です。

 半世紀の時を超えて、母親たちの間で語り継がれてきた「コーラを飲むと骨が溶ける」という話。当然、子どもに「買い食い」をさせないための母親の知恵、よくある都市伝説だとばかり考えていたのですが、どうやらそうでもないようです。

  11月23日の総合情報サイト「PRESIDENT ONLINE」に東京農業大学名誉教授で医学博士の田中越郎氏が『コーラを飲むと歯が溶けるは科学的に正しい…砂糖たっぷりのコーラが腐らないゾッとする理由』と題する一文を寄せていたので、参考までにその概要を残しておきたいと思います。

 世界的に非常にたくさん飲まれているコーラ類。しかしその成分は、単純な炭酸水とはまったく異なった飲み物だと田中氏はこの論考に記しています。コーラには、医学的にはまったくオススメできない、特に非常に困った点が4つあるというのがこの論考における田中氏の見解です。

 一つ目は「大量の糖が加えてある」ということ。コーラの最大の元凶は糖。しかも、糖のなかでもタチの悪い異性化糖(とうもろこしデンプンを分解してつくった果糖とブドウ糖)が大量に使われていると氏は説明しています。

 世界の貧困層の子どもたちに肥満児が多い原因のひとつにコーラの飲み過ぎ、つまり異性化糖の摂り過ぎが挙げられる。特に、途上国の子供を取り込むためのコーラ業界の戦略はえげつないほどで、10年後は肥満者がもっと増えているだろうと田中氏は予測しています。

 二つ目は、「強い酸が加えてある」ということ。炭酸飲料は普通酸性だが、炭酸水のそれは(pHおよそ4~5と)極めて弱いものだと氏はしています。一方、「コカ・コーラ」のpHは2~3とかなり強い酸性を示している。これは、「ウィルキンソン」など一般的な炭酸水の約100倍の強さで、腐敗防止、つまり殺菌の目的で加えられたリン酸やクエン酸によるものだということです。

 リン酸やクエン酸は蒸発しないため、気が抜けたコーラでもpHは3以下のまま。このためコーラは開栓して1週間放置しても、腐敗が進むことはないと氏は話しています。しかしそこには問題もある。コーラはこのように酸性度が極めて強いので、飲んだあとにその一部が少しでも口腔内に残っていると、その強い酸により歯を痛めるというのが氏の指摘するところです。

 そして、これが「コーラを飲むと骨が溶ける」という都市伝説発生の原因だろうと氏はしています。実際のところ骨は溶けないけれど、歯は溶ける。ということで、氏によれば、コーラを飲んだあとは歯を守るため、口を丁寧にゆすぐよう心がけるのが賢明だということです。

 そして三つ目の困った点は、「成分や添加物が明らかにされていない」ところだと氏は話しています。非公開ということは、何が入っているかがわからないということ。コカ・コーラの秘密主義は筋金入りで、製作者とも言えるエイサ・キャンドラーは1901年の裁判で「『コカ・コーラ』にコカインは含まれているか」という質問に対し、答えなかったとされているそうです。

 因みに、「コカ・コーラ」のリン酸含有量は非公開だが、「ペプシコーラ」(日本での販売会社はサントリー)のリン酸含有量はホームページで公表されている。氏によれば、隠蔽体質の多国籍企業と、正直に公開している日本企業との差がこんなところにも現れているのだろうということです。

 さて、四つ目に当たる最後の問題点として、田中氏は「子どものころから常飲していると『コーラ中毒』になること」を挙げています。

 食べ物の嗜好は18歳くらいまでに完成すると言われている。従って、18歳くらいまでコーラを常飲していたら、コーラが好物となり、一生飲み続けることになると氏は話しています。

 実際、氏の知人(欧米人)の中には、「コーヒーブレイク」ならぬ「コーラブレイク」を定期的にとっている人が大勢いるとのこと。幸い日本では、お茶やミネラルウォーターの牙城があるせいか、コーラのシェアはそれほど伸びていないが、コーラ類は飲まないで済めば飲まないに越したことがない飲み物だということです。

 さて、それでもコーラが飲みたくなることがあるかもしれません。そうした時はどうすればいいか。

 コーラ類は最初のひと口、もしくは最初の一杯がさわやかなのであり、惰性でペットボトル1本を全部飲むのは好ましくないというのが氏の意見です。従って解決策は、コップに取り分けて飲むということ。冷たいと舌の甘みの感度が低下するので、あまり冷やし過ぎないほうがよい。低カロリーを強調している商品もあるものの「カロリーゼロ」の商品でも25キロカロリー弱はあり、完全にゼロではないことに注意する必要があるということです。

 さらに言えば、砂糖の代わりに使われているのは人工甘味料。大人は多少摂取しても構わないが、やはり子どもには飲ませないほうが無難とのこと。私自身、コカ・コーラの営業妨害をするつもりはさらさらありませんが、コンビニのお母さんは(そして私のお袋も)正しかったということでしょうか。

 都市伝説に聞こえるようなお母さんの忠告にも、一度は真剣に耳を傾ける必要があるということでしょうか。もしも子どものことを大切に思うならば、コーラへの嗜好は育てないほうが幸せな人生を歩めると思うとこの一文を結ぶ田中氏の指摘を、私も興味深く読んだところです。



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