MEMORANDUM 今日の視点(伊皿子坂社会経済研究所)

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#2477 日本のおいしい水道水

2023年10月07日 | うんちく・小ネタ

 夏の暑さもピークを迎える毎年8月1日は、「水の日」とのこと。この「水の日」から1週間が「水の週間」とされており、水道事業の啓発などを目的に全国的で様々な行事が実施されているということです。そんな水の日を前に、総合情報サイト「All About」が7月中旬、全国の10~70代の1000人を対象に行った「飲料水・水道水」に関するアンケート調査の結果が7月30日の同サイトに掲載されました。

 この調査結果からわかったのは、普段飲んでいる飲料水としては「水道水(そのまま)」が34.1%。次いで、「ペットボトルの水」が26.7%、「水道水(浄水器使用)」が25.4%と続き、約6割の人が普段から「水道水」を飲んでいるということ。ペットボトルのミネラルウォーターがこれだけ普及している状況をみると、「案外多いな…」と思わないでもありません。

 また、水道水を「そのまま」もしくは「浄水器を使用して」と回答した人が多かったエリアは、「北海道」が60%でダントツのトップ。次いで「中国・四国」(45.36%)、「中部」(41.67%)と、やはり(水のきれいな)地方部の方が高いような印象です。もっとも、同調査における「ペットボトルの水をよく飲む」ランキングでは、1位が「東北」の32.39%、2位が「関東」の31.13%、3位が九州・沖縄の27.38%ですので、まあ「よくわからない」ということもできるかもしれません。

 ともあれ、水道の蛇口をひねって流れ出た水をそのまま飲むことができるこの日本は、世界的に見れば極めて恵まれた状況にあるといえそうです。国土交通省の資料によれば、世界の国のうち、「水道水をそのまま飲める国」は日本を含む12ヵ国のみ。「そのまま飲めるが注意が必要な国」を含めても32ヵ国とされています。

 アジアで水道の水が飲めるとされているのは、日本とアラブ首長国連邦の2ヵ国のみ。ヨーロッパは水道水を利用できる国が多いエリアですが、カルシウム分の多い硬質の水は日本人には合わないと言われています。カナダやアメリカでは水道水を直接飲む習慣がなく、アフリカでは衛生面の問題から(現地の人以外は)ミネラルウォーターの購入がおすすだということです。

 様々な条件の下、水道設備のようなインフラ整備には大きな投資が必要なことは言うまでもありません。政府の資金が乏しい国、技術があっても国土が広い国などでは、(インフラを隅々まで整備するよりも)水は買って飲むという選択を採ること現実的だということでしょう。

 もちろん世界の中には、多くの子供たちが飲料水を原因とする下痢で命を落としたり、女性たちが毎日半日かけて井戸まで水を汲みにいかなければ生活が成り立たたない地域があるのも事実です。水道水として日常的な飲料可能な水を提供できるということは、(環境に恵まれた)我々が思っている以上に重要なことなのかもしれません。

 さて、(ともあれ)日本の水道水がどこよりもおいしいのは、海外に出かけたことのある人ならわかるはず。9月4日の経済情報サイト「ITmedia ビジネスオンライン」では、ユーザーが選んだ(その中でも)えりすぐりの県を紹介しているので、参考までに小欄でも紹介しておきたいと思います。(「水道水の満足度調査を実施、結果は…」2023.9.4)

 蛇口からそのまま飲めることを売り物にする自治体も増えてきた水道水。水道水の満足度が高い都道府県の1位は「長野県」(満足度86.7)であることが、ホワイトループ(東京都渋谷区)の調査で分かったと記事は記しています。2位は「青森県」の満足度83.3。以下「鳥取県」の80.0、「熊本県」の77.8、「新潟県」の75.9、山梨県の75.0と続いたということです。

 長野と言えば北アルプスや中央アルプス、青森は奥入瀬渓谷、鳥取は大山、そして新潟は越後の雪解け水や山梨の南アルプス天然水など、確かにどの県もきれいな水源には事欠かないことでしょう。実際、回答者からは「子どもから大人までみんな水道水の水をそのまま飲む」(長野県、40代男性)、「蛇口をひねるとミネラルウオーターサーバーが出てくるような感覚」(青森県、40代女性)といった声が挙がっているということです。

 一方、水道水の満足度が低い都道府県の1位は、「沖縄県」(同18.8)とのこと。以下「山口県」(同21.4)、「長崎県」(同25.0)、「奈良県」(同26.7)、「和歌山県」(同28.6)、「東京都」(同33.7)と続き、結果から見れば水道水の評価は西日本でやや低いといった印象です。

 なお、自然が豊かな沖縄の水道水の満足度が低い理由として、調査を実施したホワイトループ社は「水道水に適した軟水の水源がそもそも少ないことがある。海に囲まれていることからミネラル分が多く、水の硬度が高すぎて日本人がおいしいと感じにくいのではないか」とコメントしているということです。

 ともあれ、山奥の限界集落から沖縄の離島に至るまで、飲料可能な水道がしっかり整備されているのが日本の行政のすごいところ。昨今では浄水場や管路網などの老朽化が進みその維持もかなり大変なようですが、いつの時代も水道は最重要の生活インフラ。ここはひとつ、役所の意地を今後も示してもらいたいと感じるところです。

 因みに、私が最もおいしいと感じたのは、静岡県の三島市の水道水。この地域の水道水はすべて地下水を源としており、富士の雪解け水がもたらす湧水群がある柿田川近辺で取水されています。各家庭に供給されている水はまろやかな軟水で、水温は16度前後で安定。pH値も申し分なく、この水で飲む水割りは最高だったと(特に)記しておきたいと思います。



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