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旅先で読んだ本

2022-09-08 | 旅行
旅先にも、本は持って行きます。
たいてい、土地に、ゆかりの小説やらエッセイやら・・・
ところが、今回は、全く関係なしの本。

加納朋子さんの闘病記、
『無菌病棟より愛をこめて』(文藝春秋)でした。

旅先に闘病記って・・・!?😅 

出かける前に、読み切れず、
でも読むのを止められないと、
異例の、今回のお供。





さて、読むのを止められなかった理由は、
著者の入院先が、わたしと同じ病院だった
(と思われる)ことが大きいのです。

名前が出てくるわけではないけれど、
患者でなければ、わからないことが多々出てくるので
まず、間違いなく、同じ「専門病院」。

わたしの方が、少し早く入院・退院をしていますが、
その後も、ずっと通院していたので、
おそらく同じ時間を、同じ病院で過ごしていたはず・・・

読みながら、
久しぶりに、あの頃のことを、
いろいろ思い出してしまいました。


もともとは、著者の新刊、
『空をこえて七星のかなた』(集英社)を読んだことが
きっかけでした。

連作短編集のの2編目「星は、すばる」 。
小学生の女の子の絶望感が、胸に迫り、
自分の大病したときと重なりました。

・・・作家の想像だけで、
ここまで書けるもの?

もう何年も前に、
著者の人気作『ささら さや』(幻冬舎)を
勧められて読んだけれど、さして印象に残らず。

作家・加納朋子への思い入れが
なかっただけに、意外でした。

気になって、プロフィールを調べると・・・
著者が闘病生活を送っていたことを知りました。

当時の日記を元にした著作が
『無菌病棟より愛をこめて』だったのです。

ここで、いろいろが、つながった気がしています。

著者には叱られるかもしれませんが、
短編に描き出された、女の子の絶望感は、
ご自身の体験を経てのものだったのではないかと・・・



『空をこえて七星のかなた』、
あの女の子も含め、問題を抱えた7作の主人公が
迎える大団円。

あれには、涙が止りませんでした。

人に対する、このあたたかさ!

思うに、これは著者が、他者を拒まず、
豊かな人間関係を築いてきたからでしょう。

それが『無菌病棟より愛をこめて』で
よくわかりました。


たとえば・・・

入院中の著者には、
お見舞いが絶えません。
ときには、自分から友人を誘ってすらいます。

わたしは、闘病中、
友人や親しい親戚など、大好きな人であっても、
誰にも会いたくなかったなぁ・・・

人を拒みっぱなし!?

う~ん・・・

楽しいひとときの後に、
押し寄せてくる、寂しさ、
ひとり取り残されたような焦燥感・・・

それが怖かったんです。

もっとも、家族はそばにいてくれたし、
患者仲間に恵まれ、和気あいあいで過ごしたので
一人だったわけじゃありませんねw


とにかく
著者は、とっても前向き!

受けていた治療は、
わたしなんかとは比べものにならないほど
大変だったのに・・・




わたしも、
サバイバー歴10年を軽く越え、
おかげさまで元気にしています。

いまだに、
ここで病名を明かすこともできず、
オタオタしてしまうものの・・・

告知以来、ずっと避けてきた、
他人様の闘病記を読めるようになったんだなと、
さっき、気づきました。


一方で・・・

あの頃、感じていた、生きる重みや感謝、
人に対する、しなやかさのようなものが
失われてきたと痛感する、昨今。

病気をして良かった、なんて
未来永劫、
決して決して思わないけれど・・・

それでも、あの頃、感じた想いは
わたしのなかで、大切にしていきたい・・・


この本を読みながらのおかげか・・・

旅の間、夫に対して、
穏やかに接することができたと、
自負していますw


************
長々と、おつきあいを、どうもありがとうございました。
画像は上越のホテルで撮った、夜明けです。
目が覚めて、本を読もうとしたら、お日さまが昇ってきました。

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