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20XX年・クエスチャン (-12-)

2010-07-01 12:08:07 | 20XX年・クエスチョン
「正に戦争に行って頂きます。この他に大型輸送機も参加します。これを見て下さい、先ほど届いた全世界で起こった航空機と船舶の行方不明の数です。    
今日一日でです。それから、この港の沖を航行していた大型コンテナ船と通信が途絶えてると知らせが入っています」。
佐伯 「やっぱり、その事を調べてくれる様に礼子ちゃんに頼んでいた所でした」。

渡された書類に視線を向けた。民間航空機、軍用機までが世界中で消えていた。そして、二万四千人もの人が行方不明になってた。
船舶は・・・思わず顔を上げた。言葉に出せない程の数であった。    
世界中至る所で航空機や船舶が消えて居た。今日だけでこんなにか。いまいましいが直ぐに調査には出られない。
まずは気象データーを揃えるしかない。薄く唇をを噛み、じいっと書類を見詰めている。しかし何故だ、自分はともかく林さんや礼子ちゃんまでがスタッフに選ばれた訳は。
もし、この墜落事故が清水か焼津で起こっていたら。それでも選ばれたと言うのか。
そんな疑問が俄に湧き、視線を大友に向けた。

「君、あれを」。大友が隣の新田に声を掛ける。
航空安全局の新田則夫は手にしていたカバンを机に置き、書類を出して差し出した。
「佐伯博士、これはこの一カ月に観測しました気象データーです。こちらは地震予知連が観測した地盤の歪みとその時に発生した電波のデーターです。
それから、こちらは神宮寺博士の研究室が観測したこの4年間の観測データーです」その言葉に愕然とした。佐伯の論文をああも否定し、調査結果を何年も揉み消して来た教授が。あれからずっと観測させていたと言うのだ。
神宮寺「佐伯君、君が十年前から警鐘しつづけて四年前に発表した事は正しかった。
今では一連の異変の原因は佐伯説が有力だと言うのが学者達の見解になってます。政府の見解もそうです。
あの日の事で意欲を無くさせ、学会を去らせたのはこの私です。その為にもいつ戻っても良いように観測を続けさせていました。留守中の四年間のデーターですだから許してくれとは言いません。
もし私がやらなくても、早瀬君が君の意志を継いでいたでしょう」。
神宮寺はそう言うと机に両手を着く、腰を上げ、深々と頭を下げるのだった。

「いいえ、止して下さい先生。自分もつい短気なもので反省していたんです。大人気ありませんでした。これからはもう少し大人になります。このデーターは大いに助かります。ありがとうございます」。
「ほらね、私が言った通りでしょう。彼はもう先生の事は怒ってないって、それより研究を途中で放ったらかしにした事の方を悔いてるって」。

確かに真由美の言う通りだった。佐伯は照れくさいやらこそばゆいやら、真由美を放ったらかしにした事も悔い、まだ自分を思って居てくれていた事に感謝していた。
林は何か言いたげに大友を見ていたが、視線が合うと目を反らせた。
それは田島礼子も同様だった。そうか、やっぱり。佐伯は察した。
「訊きたい事があればこの際訊いておいた方がいいよ」。

「では、副大臣にお尋ねします。自分と田島刑事を選ばれた訳ですが・・」。
「ええ、それは当然の疑問だと思います。この組織を結成するにあたり、観測地は 場所に寄っては紛争地域にも行かなくてはなりません。そこで、陸海空、警官の中から人選していた所、有る筋からお二人の名前が上がった訳です。お二方は警察官の中でも選りすぐりの腕の持ち主だと推薦があったからです。     
「すなわち、射撃の腕はオリンピック強化チームの随一あり、正義感も一際だと刑事局長から是非と二人の推薦があったからです。この大惨事がお二人の所轄で起こったのも田島さんが昇進して静岡へ研修に来ていた事も全くの偶然です。政府の意図はありません。ところで、佐伯博士はどうお考えでしょう。突然消えた船舶や航空機の事は」。
昔からそう言う事はあった。在る文献にも書かれている、魔のバミューダー海域で消えた船舶、航空機の事は余りにも有名である。
今日の気象観測、深海底調査テクノロジーに寄って消えた原因はほぼ解明されている。
消息を絶ったバミューダー海域の深海底と遥か離れた大西洋深海から、体積した砂に埋もれた機影や船舶が発見されたのである。
今まで発見されなかったのはこの海底では流砂、砂漠で起こる流砂と同じ現象が起きていた事を摘めないまま調査していた事に尽きる。
墜落、沈没の原因は突然発生する気象変化によって発生したスーパーセル、巨大積乱雲から起こるダウンバースト、強力な下降気流。
また、白い嵐、ホワイトスコールと呼ばれる大雨を伴った大津波。また、海底に眠る資源メタンハイドレートの大量放出が墜落、沈没の原因の一つだと究明された。しかし、今回は違う。
NO-12-24