Towards the Universe....

~Miyuki Ito-Composer's Life~

久しぶりの村上春樹の本。

2014-08-30 09:54:32 | ♪books/私の作品に影響を与えてくれる本!

久しぶりにこの夏、村上春樹のたしか去年の最新作でベストセラーの『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を呼んでみました。長過ぎるタイトルで意味わからないまま購入。

まず、多崎つくるは、主人公の名前。巡礼の年は、リストのピアノ曲タイトル。
そして、彼は名古屋出身で、名古屋の高校時代の5人組(男3名、女2名)の一人。子供のボランテイア活動を共にしたことから始まる。みんな賢く才能がある個性的な仲間で、卒業後、多崎つくるだけ東京の大学に進学で、他の4名は名古屋の大学に進学。現在は30台後半で、主人公は、鉄道会社に就職して鉄道建築に関わっている。鉄道好きの子供からの夢を実現。

そんな感じにはじまり、何か私の経験とちょっとだけ似てるかもと、出だしに関心大。というのも、名古屋出身、名古屋の進学高校に通い、卒業後もクラスで同じグループだった男3名と私で、休みごとに名古屋に帰省した際に会ってたこと。3名は東京でしたが。ついでにこの本のなかの1名女も音大に通っていたように、私も音大に進学したわけで。もちろん本のように殺人やら推理小説っぽいドラマは起こるわけないけど、何か共通点が少なからずあり。確かに私の仲間も、3名は賢く一流企業就職でバリバリと世界を飛び回って働いており。私は全く別世界の音楽にすすみ、彼らのような頭脳をもっておらず、波瀾万丈の人生を駆け抜け、何とか現代音楽やってサバイブできてる状況に今は落ち着いている? でも、人生、最悪の状況を乗り越えて何とか生きていることに感謝しつつ暮らす日々。う~ん、やっぱり本よりも現実の生活のほうがドラマありかなって思ったり。とはいえ、私は小説家でなく文字で表現できないから、音楽で表現を続けていくのかな~

個性的な人物が登場するわりに、何かちょっと中途半端なストーリーだったような? 速読で読みが浅いのかもだけど、今回のはあまり気分よくなくモヤモヤ感でした。もちろん、村上春樹の作品は、気分爽快になれる作品ではないけど、後味いつも以上に悪いような。他の人の感想も聞いてみたいですね。色にこじつけてるのも、4名の名前に色を入れてたりして、ストーリーを推理小説ぽくすすませるもなあ~?どうして今回は名古屋にしたのかしら?感想としては、登場人物全員、出会ったら関わりたくないと思ったりしました。再読したら又、感想が変わるかもしれないですね。いつもの村上作品のように読みやすいので、皆さんも!いつも村上作品は、何か不快感が残り、嫌な人物が出てくるので、そう思えばいつもの延長上かなとも思えるけど、いつも以上に最後、曖昧にぼかして読者の推理にまかすみたいな。不快感を覚えるのに、なぜか彼の作品は読み続けてしまいます。   



この作品にでてくる鍵ともなっているリストの『巡礼の年1番スイス』の8番で『郷愁 Le mal du pays』。村上春樹の作品がきっかけで有名になってるピアノ曲です。ついでに本にでてくるピアニストの演奏です。



冬の読書(2)

2014-01-09 15:48:58 | ♪books/私の作品に影響を与えてくれる本!

読書第2弾の紹介です。

 
乃南アサの前科のある芭子と綾香の2巻シリーズ作品です。刑務所で仲良くなり罪を償ったあとも仲がよい二人です。罪の内容は、夫の暴力で子供にまで被害が及ぶことを避けて殺人を起こしてしまった綾香と、ホストに貢ぐために昏睡強盗罪までおこした芭子。刑期を終えて、40代の綾香はパン職人になるために日々辛い努力を、30代の芭子は、裕福な両親、弟から、家族の縁を切られ戸籍からもはずされて、亡くなった祖母の家だけをもらい2巻では、ペットショップでの仕事をみつけて手先の器用なことからペットの服をつくる内職をはじめます。とはいえ、前科があったということが知られることに対しての恐怖から影をひそめて人と関わらないように暮らしています。犯した罪の深さは許されることがないと思いますが、こんな風に心あらためて前向きに頑張っていける人たちが、実際に罪を犯した人たちのなかにもいればって願いたくなります。犯罪を起こすにいたる環境、社会の仕組みって言うのも、原因のひとつであり、現在の社会は複雑すぎるよなって思います。心暖まる人間関係を少しでもつないでいけたらと。乃南アサは、よく読む作家の一人です!


磯崎憲一郎の芥川賞受賞作品。寂しい人生のお話です。言葉によるコミュニケーションのない生活をおくる日本人家庭は、多いのかしら~ この先が怖くなります。知的な文章構成でした。


恩田陸の初期の作品です。とある高校に代々受け継がれていた小夜子伝説とは? 最後に意図は何だったんだろうで終わりますが、高校までの学校生活にありそうな言い伝えみたいな? とはいえ、先生も関わってそうで理解ができず不可解な事件です? エレビドラマ化されてるようですが、そういうのにあいそうなストーリーです。

本の紹介、まだまだ続きます


冬の読書(1)

2014-01-07 09:58:09 | ♪books/私の作品に影響を与えてくれる本!

久しぶりにこの冬に入って読んだ本の紹介です。私にとって、自分を落ち着かせ、不安を忘れさせるものは、読書です。作曲中に読んだ本の紹介です。12月は久しぶりにまとめて本を読みました。始めての作家の本も数々読み、作家の色んな個性に出会えました


道尾俊介の始めて読んだ作品です。かなり衝撃的な作品です。ミステリーなのかなんなのか、寒気のする作品です。生まれ変わりの現象を作品に使っていて、それが昆虫だったり動物だったり段々と現実が混沌としていきます。読み終えて、誰が悪かったのか何が悪かったのか、はっきりせずに終わる謎めいた作品です。主人公は、小学生の男の子。小学生の心の中がこんなことをさせてしまうなんてという衝撃です。救いようのない終結には、作者のどんな意図があったのかしら? 衝撃的ですが、作者の意図をつかみたくなる本です。直木賞受賞作品の「月と蟹」も読んでみたいですね。読んだ人の意見も知りたくなりますね~


三浦しをんの作品を始めて読みました。私の好きな文楽をテーマとした小説で楽しく読めました。文楽を見るのは好きなのですが、文楽題材の歴史的な内容をなかなかいつも理解出来ずですが、この作品では文楽題材とともに現在活動若手の文楽太夫のお話。実際に若手の継承者は、現在どうなんだろう? 伝統をついていくのって大変だろうなって思います。2013年は文楽見られなかったので、2014はまた、文楽みたいですね!三浦しをんの他の作品も読んでみたいですね。

  
筒井康隆の「七瀬三部作」とよばれているシリーズ3作品を読みました。人の考えていることのわかる力テレパシーをもっている美少女の七瀬の物語です。何と70年代に書かれた作品なんですね。これらの作品の前の60年代に「時をかける少女」も書かれていましたものね。日本のSF初代作家の一人ですよね。1巻は七瀬が18歳で高校卒業して一目に触れない職業ということでお手伝いさんをやってます。お手伝いにいった家庭が何とも、書かれたのは昭和の時代なのに、今でも通じるところがあってするどいですね。3冊一気に読んでしまいました。2巻あたりいきなり人間離れしてゆくところはえって感じでしたが、それは最後の3巻につながるということで。筒井さんの作品は、何か人間的な哀しさが混じってるけど、また読みたくなります。最近の作品も読んでみたいですね。

引き続き、本の紹介つづきます

夏に読んだ本(3)

2013-08-30 06:01:10 | ♪books/私の作品に影響を与えてくれる本!

一気に読んでしまった中島らもの『ガダラのブタ』3巻です。中島らもの本を読むのは今回が始めてです。
この本の題名は前々から気になっていたのですが、やっとこの長編を読む時間ができたのでトライ!タイトルは、キリスト教からきてるんですね。

内容は、アフリカにおける呪術の研究をしている民俗学者の大生部教授の家族や知り合いをめぐるミステリー。7年前にケニアに調査に行った際に、奥さん、娘も着いていき、たまたま、奥さんと娘が待っている間に、娘だけ乗った気球が事故で墜落し、乗っていたガイド、操縦士の遺体はみつかったものの、娘の遺体はみつからないまま。その話しがきっかけで、母親は精神的に病み、1巻では怪しい宗教団体に勧誘されてだまされます。と、簡単にその団体のトリックを奇術師の友人に解かれて、奥さんも目覚めるというもの。

2巻は、テレビ番組の取材をかねて、奥さんと息子を含む大生部教授一家に弟子やテレビ局スタッフとケニアに向う。そこで出会う大呪術師のパキリが、実は、事故にあった娘を助けたついでに隔離して呪術に使っているというショッキング。何とか娘を取り返すも、次々に人が死んでいきます。長編のなかで一番盛り上がり、どう解決するのかわくわくするところです。何とか1家は、ケニアを無事に抜け出して日本に戻ります。

3巻は、なぜか、パキリが東京に出現。続いて、1家をとりまく知り合いやらが次々と死んでいきます。まるで呪術で呪われているように。テレビ局でのドタバタになり。3巻は、ちょっとあまりにも次々と死んでいき、最後は安っぽく、大生部教授が呪術師の血をひいた一族でその力がありパキリを倒すって言うちょっと安直な終焉。記憶喪失になっていた娘も、簡単に目覚めちゃうし。全てがどたばたで、何となくテレビっぽい視覚的な構成か? 2巻までは、人間は簡単に見たことに騙されるっていうのを、うまく表現していて面白く読めましたが、3巻でいきなりぶっ飛ばして内容が薄くなってしまったような?

とはいえ、超能力とか呪術とかでてくるけど、作者はそれを支持しているわけではなく、そういうものを信じたい人間があるからそういうものがあると信じさせる人間がいるっていうか、そこらへんは共感しますね。日本人って、周りに影響しやすいので、みんなが信じてるって言えば、そうしなくちゃみたいな社会ってところがまだまだあるもんね。主人公の大生部教授はアルコール中毒なのですが、中毒症も、超能力も、呪術も、何か日常から逃れて現実逃避して、自分のせいではなく他人、他のもののせいにしたいという人間の弱さの表れでしょうね。長編ですが、先が気になるので一気に読めちゃう本です!
全体を通せば、面白く考えさせられる本です

とはいえ、やっぱりアフリカは怖くて行けないなって思いました。あまりにも文化が違いすぎるし、全てにおいて無理って思っちゃいますね。弟は、若いときにアフリカ横断を一人で何ヶ月もしたことがあるのですが、どうやって生きていたのか??? 

夏に読んだ本(2)

2013-08-20 15:53:06 | ♪books/私の作品に影響を与えてくれる本!

スペンサー・クインの名犬チェットと探偵バーニーのシリーズ2冊目です!
この本も、犬好きは嬉しくなる本です。

チェットがかわいすぎます。このチェット、すごく賢い犬で、バーニーの相棒として探偵事務所で働いて活躍します。
が、お茶目で、悪い人だと知っていてもクッキーをくれたりするといい人かもって思ってしまったり、いつも食べ物には目がなくてここのはおいしいんだって比較します。また、主人のバーニーをこよなく愛して尊敬しているので、こういうところがかっこいいんだっていつもバーニーのことを自慢げにほめたりするんです。とにかく、バーニーが大好きで、絶対にバーニーが犯人をみつけてやっつけるんだってはりきっています。人語も理解できるのですが、難しい言葉は意味を違えて理解して何だろうなあ~って考える所もかわいいです。

愛車のボロいポルシェの助手席にのり、気持ちよくなってバーニーにもたれかかり(結構、大型犬)、おいおい重いぞって怒られたり、悪者に自分で吠えておいて、今の怖い声は自分なのかって思ったり。とにかく、かわいいです。

犯人捜しだけでなくて、愛嬌のある賢いチェットの言葉にはまってしまう面白い本です!きっと英語で読んだ方が、チェットの英語の語彙の間違った理解などがはっきりわかってよいかも?

第4弾まで発売されています。まだもっていませんが、3冊目を読むのが楽しみ 続いてほしいシーズミステリーです!
チェットのような犬が、本当に欲しくなってきます。主人に忠実で優しくって、強い犬です!

夏に読んだ本(1)

2013-08-17 20:16:39 | ♪books/私の作品に影響を与えてくれる本!

久しぶりのブログです。知らないうちに2ヶ月以上も書き込みせずに夏も終わりそうな季節になっていました。
夏は、秋に予定のコンサートのための作曲で追われる毎日です。たまに時間の余裕のある時に読書もしたり~

ここ最近に読んだ宮部みゆきの初期の作品2冊です!


この2冊は、元警察犬のマサと探偵事務所の加代ちゃんのシリーズです。犬好きにはお薦めの2冊です!
マサの発言が、犬好きは喜んでしまいます。(犬がほしい~!!)パーフェクトブルーは、試供品のスポーツドリンクを野球少年で実験して死にまで至るという恐ろしい結果となるストーリー。ストーリーの構成が、さすが宮部さんっていうかうまいです。
彼女の本は数冊読みましたが、この2冊もお気に入りになりました ジャーマンシェパード、欲しいなあ~!!
賢く強そうな犬が欲しい! でも、各国を飛び回ってる私では、世話はできないよな。

コメントありがとうございます!


ナイポールの本。

2013-01-10 11:36:07 | ♪books/私の作品に影響を与えてくれる本!


休みに久しぶりに読んだ本です。2001年ノーベル賞受賞作家でトリニダード・トバゴ出身の英語圏作家で、『神秘な指圧師』です。
まず、トリニダード・トバゴってどこだったかしら? 変なタイトル?

ノーベル賞受賞作家の本は、大抵、歴史的、民族的で、文章難解といった作品が多いです。この本も、英国領トリニダード・トバゴのインド人の移民のお話です。
受賞理由に、英語なのだけれど移民のインド人なまり英語で書かれているユニーク性もあるらしいのですが、読んだのは日本語訳で、ちょっとへんな田舎くさい日本語訳で不気味な感じでした。たしかに英語のなまりを日本語で表現するのは難しいでしょうね。翻訳者の苦労が伺えますが、ちょっと読むのにそこらへんがうっとおしくなってきます。トリニダード・トバゴって、トリニダード島とトバゴ島の2つの本当に小さい島らしいです。登場するインド人達はとにかく滑稽です。
こんな社会も存在していたんだと不思議な体験です。カリブ海に浮かんでいる小さな島国ですが、地図をみてみるとその辺り、本当に小さな島国がたくさん存在します。世界にはまだまだ知らないことがあるなあと実感です。現在はどんな生活をしているのだろうか?

((この本を読んでいたので、インド料理が食べたくなったのかも。。。))

ノーベル賞受賞作家の本は、自分の知らない知識、世界観をもっていて、自分ではみつけられない作家の本が読めるので、過去の受賞作品を含めて全部読みたいと思っています?! 随分、読んではいると思うのですがまだ全部は読んでないので。次は、2012年受賞作品の、中国人作家、莫 言の本に挑戦予定です。民族色強くて難しそうな~?

コメントありがとうございます


ル・クレジオの「海を見たことがなかった少年」

2012-11-13 11:51:17 | ♪books/私の作品に影響を与えてくれる本!


ノーベル文学賞受賞作家であるフランス人作家のル・クレジオの短編集を読みました。彼の作品は、はじめて。
8作品の子どもを主人公とする短編です。全て海辺、あるいは山奥の場所不明な人家のない未開と土地が舞台になっています。子どもは一人だったり数人だったり。その子どもも、普通に学校にいっていた子が、ふとずっとみたかった海をみに旅にでてしまったり~。全てにおいてその自然をみた表現が、素敵で美しいです。子どもの表現とは思えない表現で、きっと子どもが感じている想いを作者がすばらしく素敵に表現しています。微妙な光、音、色の動きに感動する子ども達。現代っ子から失われるつつあるものの大切さみたいなものが、この本にはつまっています。学校では教わらない、子どもの時にこそ見て感じておくべきものが表現されている大人の本って感じです。

ドラマチックな展開ではなく、ゆっくりとした穏やかな流れの時間の美しい景色の感動をつづった物語です。是非とも



パルマの「時の地図」

2012-10-19 06:50:22 | ♪books/私の作品に影響を与えてくれる本!

スペイン人作家、フェリクス・パルマの「時の地図」です。スペインの文学賞受賞したベストセラーだそうです!
 

舞台は、1896年ロンドンで、切り裂きジャックが連続殺人を起こす時代からはじまります。作品は3部に大きくわかれていて、各々に別々の事件がおこるのですが、全てにおいて「タイムマシン」を書いた実際にいる作家H.G.ウェルズに関係しています。物語には、実際にいたウェルズが、主人公でもあり彼の「タイムマシン」がベストセラーになったことがきっけかで、タイムトラベルが現実化することを人は望み、旅行会社の企画するインチキな2000年へのタイムトラベルを庶民をはじめ、イギリス女王までもが信じてしまうという~。読み手までどういうことって、何がおこるのか不思議な気分にさせられていきます。そして、事件はウェルズの想像力によって、2人を救い解決されます。現実に存在した作家や事件までもが物語に組み込まれて、時代は19世紀ロンドン。人間の気持ちの大切さみたいなのが感じる事が出来る物語です。

「問題は、意思の力なんです。」
「その人にとって信じるに足ると思える事なら、どんなインチキだって人は信じるものです。」
「人は見たいものしか見ないものです。」
この本のなかの上の言葉が、ポイントですね。

 

フェリクス・パルマの次回作を楽しみにしてます

『1984』

2012-09-30 08:08:08 | ♪books/私の作品に影響を与えてくれる本!


イギリス人作家ジョージ・オーウェルの1948年に書かれた世界的に大影響を与えた作品『1984』をやっと読みました。最近では、村上春樹の「1Q84」が、オーウェルのタイトルから関連してますよね。20世紀世界文学の最高傑作とうたわれているので、いつか読んでみたいと思いつつ、とはいえ政治的な内容なので難しそうかもとなかなか読めずにいました。彼の「動物農場」を先に読んだので、彼の世界観を何となくわかってから読んだので思っていたほど読みにくくはありませんでした。文体は難しくありません。

とはいえ、1948年にここまで社会の深層を読み込んだのはすごいなあって思います。「思考警察」「2重思考」「記憶穴」「ビッグブラザー」という言葉がストーリーをなし、監視社会のなかを主人公ウィンストンの体制への反発を描いてます。その社会では、過去は、現在を中心に日々書き換えられています。個人の意志は認められず、不必要となって言葉は全て消されていきます。後半の肉体的拷問部分は恐怖ですが、言葉によるマインドコントロールは長い目で見てもっと恐ろしい事ですよね。と、最近、ますます自由の意味が不明となっていて、ネットやらで誰もが言いたい放題言える社会になっていて、たくさんの人が日々傷ついているような気がします。言葉に対する責任がだんだんと薄くなっているような。

この本を読んで、数々の作家が「1984」から影響を受けて書いているなあって感じました。村上春樹の『1Q84』にでてくる「リトルピープル」も、この本の「ビッグブラザー」の対になってますものね。

すごく奥が深いので、再度読んでみたい本です 

夏に読んだ本。

2012-09-15 21:10:10 | ♪books/私の作品に影響を与えてくれる本!
忘れる前に、夏に読んだ本の続き。


ジョージ・オーウェルの『動物農場』。オーウェルは、インド生まれのイギリス人作家。本の帯には、20世紀のイソップ物語とあるように、動物を主体とした寓話形式になってます。当時のソビエト連邦のスターリン体制下の風刺ともとられます。人間に使われている農場の動物が反乱を起こして人間に勝ち、動物社会のなかで今度は、ブタをリーダーに社会が作られていき、その動物各々が、スターリン、レーニン、などなど当時の政治家と対応させられうような性格で行動し。。。最初は人間の考え方に反抗して団結していたものが、だんだんと人間みたいな社会になっていき最後には、リーダーブタは他の人間とビジネスを始めるし。動物が人間みたいに考えて行動していくのが、生々しく感じられます。権力を握るものは、必ず、腐敗と堕落につながると納得。1944年に書かれています。今、彼の有名な『1984』を読んでいます。この作品とともに、後の作家達に数々の影響を与えています! 


伊坂幸太郎の『ラッシュライフ』。5年くらい前に始めて彼の『重力ピエロ』を読んで、なかなか面白い作家だったのが最初の出会い。今回、久しぶりに彼の本を読んでみました。彼の初期の作品ですが。この作品、5つの各々異なった人物のストーリーが、同時進行ですすんでいき、バラバラ死体がでてきたと思えば、色んな人物が偶然つながったり。1。泥棒のプロ 2。拳銃を拾った失業者 3。不倫相手とその奥さんを殺そうとする(拳銃をなくした)カウンセラーの女性 4。その不倫相手の男は妻とその女を殺そうと考え 4。絵画売買のビジネスをしている成金男はお金ですべて手に入れ他人をバカにし、5。その上司から離れて独立した男は元上司にビジネスを金でつぶされた上に、妻は不倫、そしてやけになって泥棒にはいった家で学生時代の友人であり泥棒のプロに出会い、6。新興宗教にはまった若者は、バラバラ事件にまきこまれ。登場人物とつながる駅には、野良犬とアンケートをよびかける外国人。たくさんの情報のつまった別々の人物をうまくつなげがっていてすごいです。


阿刀田高の『楽しい古事記』。『古事記』っていつかは読破しようと思いつつ、最初のところでつまずいて今にいたっています。まず、名前がたらたらと長くってついていけなくなるというか。で、阿刀田さんのポイントをうまくつかんで説明してくれるシリーズ本のひとつである、この本を読んでみました。まず、新たな発見というか私が無知だったのか、天皇は、神武天皇から始まってと、確か日本史で習ったような?は嘘だった。古事記は、大和朝廷の天武天皇の時代に、後追いの形で、血筋がいかに正統であるかという政治的意味で作られているので、捏造された部分が多々あるらしい。第9代の天皇までは実在しなかったらしい。業績が多ければ長生きしたとされて150歳以上生きていたとか書かれている天皇は多々あるらしい。とはいえ、実在しなかったであろうと思われてはいてもそのまま現在にいたる天皇まで順番に数えられているのは、うそくさくて何か変?太陽の神であるアマテラス大御神が、女神ていうのが、何かすごいよね。そのまま、女性優位でいけば、世の中も変わったであろうに。日本人である以上、日本の起源として古事記のざっくり内容、やっぱり知っておきたいですよね!この本がお薦め。


高村薫の『李歐』。彼の本も2冊目。去年、プロメテウスをテーマに作曲した作品と関連して読んだのが、彼の『神の火』。彼の本は、政治的な色が濃くて内容が深いです。話しは、工学部の学生、吉田一彰の生活から始まります。普通の学生かと思えば、子どもの頃、母やが中国人らしい男と逃げて、捨てられたという生い立ちをもち、その生い立ちを探るかのような生活をし、暴力団らしい男達に巻き込まれ、自分と同年齢の中国人の李歐と出会い理解しあう。李歐は、美しく賢い殺し屋。アメリカ、中国からのマークされている危ない存在。中国からの不法労働者、拳銃の売買やら危ない人物ばかりなのに、吉田一彰を通して何か人間味があったりして、不思議な世界です。善と悪、正義とは違う人間のなかの別のもの、大切なものを描こうとしているような。独特の世界観があって、高村さんの作品、更に読んでいきたいですね。



夏に読んだミステリー名作本。

2012-09-12 16:54:26 | ♪books/私の作品に影響を与えてくれる本!
 

随分昔、学生のときに「ケインとアベル」を読んで以来のジェフリー・アーチャーの作品を読みました。「ゴッホは欺く」(上下)です。
舞台はニューヨーク。2001年の9.11がストーリーの最初におこり、ミステリーを複雑にしています。主人公の女性アンナは、ルーマニア人移民の美術コンサルタントで正義感にあふれた女性です。会社の悪どいボスに殺されそうになりながらも正義を乗り越えます。そのきっかけは、ゴッホの「耳を切った自画像」の売買。ゴッホ自身が左耳を切ったあと包帯をしたまま鏡に映る自分を書いている作品。鏡をみて書いてるので、実際の絵画は右耳に包帯なんですよね~。殺し屋の女性はルーマニアのもと小柄な体操選手、絵画のもちぬしはイギリスの貴族の女性、最終的に絵画を購入するのは日本の大会社の社長と、国際的に飛び回るミステリーです。夏の暑い時に颯爽とよめる本です。


次にエラリー・クイーンの「緋文字」。これは、ホーソンの同名作品からきています。ドルリーレーンの4部作「Xの悲劇」「Yの悲劇」「Zの悲劇」を昨年読んで、様々な小説家達がクイーンについて述べる彼の作品のすごさに感銘を受け、これ以外の作品も読んでみようと思って読んだのがこの本です。この作品の探偵はクイーンです。作品構成は、読んだものとは全然異なっており、読んでも読んでも殺人あるいは大きな事件が何も起こらないのですよ。起こるに違いないと周りのものが心配してかぎ回るのですが。。。そしてクライマックスは本の最後。お金持ちの女性と売れない探偵小説家の夫がメイン。そこに元売れっ子役者で今は仕事が無く金持ち女性にくいつく男。最終的には、夫が男をお金が手に入ると誘い仕組んだもので、妻を殺そうとしたものの、殺しそびれてその男を殺すというもの。しかし、そこにいたるまで夫とその男の関係は全然ないように書かれており、妻が夫と不倫していて悪者扱いとなっています。最後の最後に探偵が解き明かすというもの。そして、死んだ男のXYのダイイングメッセージ。じつは、これは、XXを書ききらずにXYで息を引き取ったもので、XXは、Xはクロスで、裏切りを意味します。そして、夫とその男との関係が明かされて夫が真犯人となります。作品は、A, B, C, D...アルファベット順にニューヨークを駆け巡るようになっていて、構成がすごくうまいのはさすがです!! ニューヨークの街を想像しながら読めるのも楽しめます!クイーンの国名シリーズもいつか読んでみたいです! と、ホーソンの「緋文字」手に取ってみたのですが、本文にはいる前の序章だけで70ページくらいあり読みにくくギブアップです。またいつか。


横溝正史の「獄門島」です。横溝正史の本は、以前、1冊読んだ覚えがあるのですが何を読んだか記憶にありません。実は、横溝正史のお孫さんとニューヨークの音大生時代に仲良かったんです。彼女はピアニスト。横溝さんって、まさか横溝正史の孫だとは全然知らなかったのですが。彼女はニューヨーク生まれのニューヨーク育ちで家族もニュージャージーに住んでいました。と、この「獄門島」は、後の推理作家にすごく影響を与えた作品と言われる彼の初期の名作です。探偵は金田一京助です。島の本家の3姉妹が次々と芭蕉の3つの俳句に従って殺されます。島という外部から隔離された場所で、そこにいるのは島人。誰でもが犯人になりそうな何か薄気味悪さが漂います。日本的な田舎の閉鎖的社会の中での、俳句の内容に従った殺され方という薄気味悪い殺人です。横溝正史の作品にはよく俳句とかでてきて殺人と関連させるというのが多々あります。最後まで犯人がわからないミステリーです。さすが!


アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなったです。英文では、「The Ten Little Niggers」で、全然違いますね? 10人のインディアンの子守唄の内容にあわせて10人が孤島で殺されるというストーリーです。アガサ・クリスティーの作品は、若い時に「オリエント急行」、「ABC殺人事件」などはまって読みましたが、この本だけなぜか読む機会がなくいつかって思っていた本です。タイトルが気になりますよね。何とこの本は10億冊以上世界で発行されていてギネスブックでも史上最高のベストセラー作家なのだそうです。これまた、孤島殺人で、その島には住人無しで、同じ日にその家のオーナーと思われる人から招待された10人のストーリー。最後まで犯人はミステリーで、最後の告白で10人の中の1人であり自分も死んでしまう元判事とわかります。法律の手の届かない殺人をおこした10人を選んで殺人をしたものでした。その中には何度も交通事故をおこして人を殺していても何も責任を感じない若い男も含まれており、確かに法律だけではさばかれないあくどい人殺しって数々ありますよね。でもそれをまとめて10人複雑なトリックで殺すというのも恐ろしいですが。


カート・ヴォネガットの「スローターハウス5」。今までに彼の本は2冊読んでおりさすがって感動し、弟のもっているヴォネガットシリーズのすべてをいつか読破とこの本を読みましたが、これは理解しにくい本でした。SFっていうわけでもなく、第2次世界大戦の回顧も入ったりと、あっちこっちに思考が飛ぶのですがその内容があまり面白くないというか、私の読みが浅いのか?ヴォネガットはすごい作家だと思うので、別の本をまた。

この夏は、色々と今までに読んでおきたかった本を読みました。小説は、作曲する上でも私に撮ってはすごく重要で、様々なインスピレーションをもらいます。ミステリーは、構成、アイデア、スピード感など色々と勉強になります。また、古い作品を読むと、最近の作家のなかで影響されているのがわかったり。音楽、小説、アートすべてつながりがあるので、自分の知らない世界をもっと知りたいですね!

伊藤 計劃の「虐殺器官」

2012-08-16 08:34:41 | ♪books/私の作品に影響を与えてくれる本!


伊藤 計劃さんの「虐殺器官」を読みました。彼の本は、「ハーモニー」についで2冊目。というか、悲しいかな若くして亡くなっており2冊しかないのです。(残念)この本は、最初の本です。

以前、「ハーモニー」を読んだ時、今までの日本人作家にないアイデアと感じ、すごい作家だと思いました。癌でなくなる直前に病室で書かれた作品です。とにかく、普通じゃ想像できないし、今までこういうアイデアと書き方の日本人の本って私は、読んだことないなあって思いました。

そして、今回の「虐殺器官」。こちらのほうが、少しわかりやすい本です。内容は9.11以降の世界のカオスです。アメリカの米軍大尉クラヴィスが主人公。彼は、国からの命令された人物を暗殺することが仕事。そして、その相手は謎につつまれいる、世界で虐殺をおこさせる人物ジョンポール。というのが簡単なストーリーですが、単なる残虐な戦争ものかと聞こえますが、全然違います。ストーリーは、既に未来世界なのですが、複雑な思考が混ざっていて、読み手に一体なに?と先を読みたくさせます。とにかく、改めてすごい作家だと思いました。

この本のなかで、考えさせられて言葉のなかから:
「ある自由を放棄してある自由を得る」「アメリカはプライヴァシーの自由をある程度放棄して、テロの恐怖という抑圧からの自由を得ている」

「マーク・ロスコの抽象画のようにぬり込められた分厚い懺悔」:美大出身の作家で、よく現代アートや現代音楽の作者の名前が思いもしないところに的確な表現ででてきます。

「人間がどんな性格になるか、どんな障害を負うか、どんな政治的傾向を持つか、それは遺伝子によってほぼ決定されている。心臓や腸や腎臓がそうであるべき形で造られているというのに、心がそのコードから特権的に自由であることなどありえない」:う~ん、どうなんだろう。生まれながらにして何かしら、その人間の根本は決まっているような気がしないでもないです。それをどう使うかが人間なのかも?

「すべての仕事は、人間の良心を麻痺させる為に存在するのだ」:なるほどって思いますよね。仕事って何かしら頼まれて行うわけで、どこまで自分で納得しているのか?

「良心とは、人間の脳にあるさまざまな価値判断のバランスのことだ」:深いですよね。

インパクトのあるタイトルですが、すごい本です!

コメントありがとうございます。


ポルトガルの作家の本。

2012-08-11 16:04:25 | ♪books/私の作品に影響を与えてくれる本!


「チョコレートはいらない」
ポルトガルのアソーレス諸島出身のアラモ・オリヴェイラの作品です。アソーレス諸島からアメリカに移民した家族の話しです。5人家族が移民し、3人の子どもは各々、アメリカ社会で成長しトラブルにあり、1人はエイズでなくなり、2人は結婚するものの色々とどたばた~。主人公のお父さんは、引退して老人ホームで過去を思い出しながら死んでいくというストーリーです。ありがちな家族のトラブルが語られますが、祖国アソーレス島とのむすびつきをいつも想っており、何か悲壮感の漂うストーリーです。何かジーンときますね。
アソーレス諸島の作家の本を、アソーレス文学と言うそうです。アメリカには各国からの移民がいるのですが、ポルトガルって以外にアメリカに近いですものね。



犬好きのための本☆

2012-08-06 09:50:23 | ♪books/私の作品に影響を与えてくれる本!


最近読み終えたミステリー「ぼくの名はチェット」。私立探偵バーニーと相棒の犬、チェットのシリーズです。チェットが賢くってかわいい犬で、主役がチェットで犬の視点でストーリーがすすんでいくのがユニークです。主人のバーニーのことを本当に信頼していて大好きなところが、またまたかわいいです!既にシリーズ2が、日本語訳で出版されているようです。読んでみたいです!
犬好きのみなさん、是非とも読んでみて下さいね。

コメントありがとうございます。