試験の点数が発表されるのは、試験の一週間後。
点数が発表されるとすぐに志望校出願を行わなければならない。
その一週間の間、待つ方は気が気でない。
イーファンは一気に緊張が解けて毎日家で放心したようにぼーっと過ごしているのだが、
自己採点の結果重点高校は厳しいとわかっているので、落ち込まないはずがない。
そこへもってきて、プライバシーとか気配りのまるでわかってない親戚たちは、
入試のことを良く知りもしないくせに、イーファンの試験結果が思わしくないのを知って、
あれこれ口出ししてくる。
イーファンの亡くなった父方の伯父伯母、従兄弟姉妹たちが次々に家にやってきて、祖母に
「何で入試に失敗したんだ?俺が叱ってやらないと。」とか
「日頃勉強してないならともかく、あんなに勉強してて重点高校に合格できないなんて、どんな勉強してたのやら。」とか
無神経なことを色々言うのだ。
父方の従兄弟姉妹は全部で5人いるのだが、皆公立普通高校すら合格できず私立高校しか行っていない。
小さい頃から勉強ができたイーファンに嫉妬する気持ちがあったのか、それとも「人の不幸は蜜の味」なのか
よくわからないけど、こういう時にどうしてそっとしてあげられないのだろう??
しかも姉のミンミンがトップ重点高校→一流大学卒業、と言うのも辛いところで、
「お姉ちゃんはあんなに良くできたのにねぇ。」と、どうしても比べられてしまう。
姉妹と言ったって10歳も離れているし、この10年で高校進学状況も随分変わっているので
比べられるハズがないのだが…。
すっかり悲観的になってしまった二姐は二姐で、
「重点高校に合格できないなら大学は期待できないし、普通高校に行かせるくらいならいっそ職業高校に
行かせて手に職でもつけさせた方がいいかも…。」と言い始めた。
実は普通高校でも今はほとんど大学に行く時代なのだが、言い方は悪いが三流大学しか行けず、
思うような就職はほとんどできない。
母子家庭の二姐としては、高校+大学で7年学費を払った挙句就職もできないよりは、
5年制の職業高校に行かせた方がお金も節約でき、本人のためにもなると思ったらしい。
確かに5年制職業高校の求人倍率は普通の大学の2倍と言うし、
杭州ですら、「杭州トップ3重点高校に行けない人は、5年制職業高校に行くべきだ。」という高校生自身の
書き込みが話題になっているのだが…。
しかし今までずっと大学入学を目指して頑張ってきたイーファンに、それを諦めて職業高校に行けと言うのは可哀相じゃないか。
勉強が嫌いで私立高校しか行けなかった従兄弟姉妹達ですら、三流大学とはいえ全員大学に行っているのに、である。
相方もさすがに放っておけないと思ったのか、入試の4日後、イーファンに電話をかけてみた。
本人に聞いてみると、試験の出来自体はそんなに悪いと思わなかったこと、今年の問題は去年より難しく感じたこと、
思ったより点数が伸びなくて落ち込んでいることを話した上で、
「結果が出るまで待ってほしい、まだ決まったわけじゃないと言っても、親戚もお母さんも、重点高校に行けないなら
職業高校に行けって言うのが一番つらい。」と言う。
相方は「職業高校なんてのは、公立も私立もどこにも行けない人が行くところで、風紀も悪いしそんな所行くべきじゃない。
それに高校入試がダメだったから、大学入試もダメとは限らない。今は普通高校でも成績が良ければ特進クラスも有るし、
諦めちゃダメだ。お母さんには俺からよく話しておくから。」と言っていた。
そして先週末。
点数の発表と保護者説明会、志望校出願が行われる大事な日に、私たちも紹興へ行った。
ちょうど相方従妹が出産したのでそれのお祝いもあったのだけど、私たちなりにイーファンの高校のことが気がかりだった。
日曜日、私たちも保護者のフリして(?)イーファンの中学へ。
まさかのガイジン、中国プチ田舎の中学に潜入!?である(爆)
広い広い運動場と体育館。この運動場、杭州町中の猫の額のような運動場の5倍はありそうである。
試験の結果は640点。
自己採点より10点以上高かったが、残念ながら目標にしていたトップ重点高校には及びそうにない。
でも三校ある重点高校のうち、一校には何とかひっかかりそうな点数。
順位もほぼわかった。学校内ではだいたい40位後半、全学区内受験生約4500人のうち約1000位。
重点高校三校の合格者数の合計は約1300人なので、何とか一校はいけそう!
680点以上の生徒はクラスで7人。この7人には担任の先生からトップ重点高校の入学書類が直接手渡されていた。
中には710点以上のツワモノもいたらしい。
成績上位者のほとんどが、学校の勉強以外に塾や家庭教師をつけていたそうだ。
塾や家庭教師代はとても高額で、中国でも都会だけでなく農村でも教育格差が広がっていると感じた。
体育館での保護者説明会。校長と教育委員会の人が話していた。
相方は数学の先生にイーファンの父親に間違われていた(爆)。数学の先生によれば、イーファンは数学はほぼ満点だったとのこと。
担任の先生はイーファンの話していた通り、本当に態度が悪い(イケスカナイ)先生だったが、
他の先生達からは「少し残念だったかも知れないけど、何とか重点高校には行けそうなんだから頑張りなさい。」と声をかけてもらっていた。
…それにしても、中三は500人以上いるはずなのに、生徒と保護者で一杯になっているのはイーファンのクラスと
もう一クラスだけ。
一クラスだいたい50人だから合わせて100人として、残り400人はどこに行ったんだ??と思って聞いてみると、
残り400人のうちほとんどは私立か職業高校に既に進学を決めていて、とっくに学校に来てないと言う。
更にそのうちの2クラス100人程は、紹興戸籍を持たない出稼ぎ労働者の子供達で(クラスが最初から分けられている)、
ここではどんなに成績が良くても公立普通高校しか行けない上(重点高校には入れない)、大学入試も受けられない。
なので、卒業を待たずに多くの子供達が親元を離れて四川や雲南、湖南省など戸籍のある田舎の中学へ転校して行ったそうだ。
まさに中国特色的中学生の現実、である。
ネットで調べると、同じ重点高校と言っても去年の大学入試一流大学合格者の割合は、トップA高校とB高校がそれぞれ半数近いのに対し、
イーファンの合格したC校は15%弱。
彼女の夢である一流大学合格のためには、まだまだ厳しい競争が待っているようだ。
点数が発表されるとすぐに志望校出願を行わなければならない。
その一週間の間、待つ方は気が気でない。
イーファンは一気に緊張が解けて毎日家で放心したようにぼーっと過ごしているのだが、
自己採点の結果重点高校は厳しいとわかっているので、落ち込まないはずがない。
そこへもってきて、プライバシーとか気配りのまるでわかってない親戚たちは、
入試のことを良く知りもしないくせに、イーファンの試験結果が思わしくないのを知って、
あれこれ口出ししてくる。
イーファンの亡くなった父方の伯父伯母、従兄弟姉妹たちが次々に家にやってきて、祖母に
「何で入試に失敗したんだ?俺が叱ってやらないと。」とか
「日頃勉強してないならともかく、あんなに勉強してて重点高校に合格できないなんて、どんな勉強してたのやら。」とか
無神経なことを色々言うのだ。
父方の従兄弟姉妹は全部で5人いるのだが、皆公立普通高校すら合格できず私立高校しか行っていない。
小さい頃から勉強ができたイーファンに嫉妬する気持ちがあったのか、それとも「人の不幸は蜜の味」なのか
よくわからないけど、こういう時にどうしてそっとしてあげられないのだろう??
しかも姉のミンミンがトップ重点高校→一流大学卒業、と言うのも辛いところで、
「お姉ちゃんはあんなに良くできたのにねぇ。」と、どうしても比べられてしまう。
姉妹と言ったって10歳も離れているし、この10年で高校進学状況も随分変わっているので
比べられるハズがないのだが…。
すっかり悲観的になってしまった二姐は二姐で、
「重点高校に合格できないなら大学は期待できないし、普通高校に行かせるくらいならいっそ職業高校に
行かせて手に職でもつけさせた方がいいかも…。」と言い始めた。
実は普通高校でも今はほとんど大学に行く時代なのだが、言い方は悪いが三流大学しか行けず、
思うような就職はほとんどできない。
母子家庭の二姐としては、高校+大学で7年学費を払った挙句就職もできないよりは、
5年制の職業高校に行かせた方がお金も節約でき、本人のためにもなると思ったらしい。
確かに5年制職業高校の求人倍率は普通の大学の2倍と言うし、
杭州ですら、「杭州トップ3重点高校に行けない人は、5年制職業高校に行くべきだ。」という高校生自身の
書き込みが話題になっているのだが…。
しかし今までずっと大学入学を目指して頑張ってきたイーファンに、それを諦めて職業高校に行けと言うのは可哀相じゃないか。
勉強が嫌いで私立高校しか行けなかった従兄弟姉妹達ですら、三流大学とはいえ全員大学に行っているのに、である。
相方もさすがに放っておけないと思ったのか、入試の4日後、イーファンに電話をかけてみた。
本人に聞いてみると、試験の出来自体はそんなに悪いと思わなかったこと、今年の問題は去年より難しく感じたこと、
思ったより点数が伸びなくて落ち込んでいることを話した上で、
「結果が出るまで待ってほしい、まだ決まったわけじゃないと言っても、親戚もお母さんも、重点高校に行けないなら
職業高校に行けって言うのが一番つらい。」と言う。
相方は「職業高校なんてのは、公立も私立もどこにも行けない人が行くところで、風紀も悪いしそんな所行くべきじゃない。
それに高校入試がダメだったから、大学入試もダメとは限らない。今は普通高校でも成績が良ければ特進クラスも有るし、
諦めちゃダメだ。お母さんには俺からよく話しておくから。」と言っていた。
そして先週末。
点数の発表と保護者説明会、志望校出願が行われる大事な日に、私たちも紹興へ行った。
ちょうど相方従妹が出産したのでそれのお祝いもあったのだけど、私たちなりにイーファンの高校のことが気がかりだった。
日曜日、私たちも保護者のフリして(?)イーファンの中学へ。
まさかのガイジン、中国プチ田舎の中学に潜入!?である(爆)
広い広い運動場と体育館。この運動場、杭州町中の猫の額のような運動場の5倍はありそうである。
試験の結果は640点。
自己採点より10点以上高かったが、残念ながら目標にしていたトップ重点高校には及びそうにない。
でも三校ある重点高校のうち、一校には何とかひっかかりそうな点数。
順位もほぼわかった。学校内ではだいたい40位後半、全学区内受験生約4500人のうち約1000位。
重点高校三校の合格者数の合計は約1300人なので、何とか一校はいけそう!
680点以上の生徒はクラスで7人。この7人には担任の先生からトップ重点高校の入学書類が直接手渡されていた。
中には710点以上のツワモノもいたらしい。
成績上位者のほとんどが、学校の勉強以外に塾や家庭教師をつけていたそうだ。
塾や家庭教師代はとても高額で、中国でも都会だけでなく農村でも教育格差が広がっていると感じた。
体育館での保護者説明会。校長と教育委員会の人が話していた。
相方は数学の先生にイーファンの父親に間違われていた(爆)。数学の先生によれば、イーファンは数学はほぼ満点だったとのこと。
担任の先生はイーファンの話していた通り、本当に態度が悪い
他の先生達からは「少し残念だったかも知れないけど、何とか重点高校には行けそうなんだから頑張りなさい。」と声をかけてもらっていた。
…それにしても、中三は500人以上いるはずなのに、生徒と保護者で一杯になっているのはイーファンのクラスと
もう一クラスだけ。
一クラスだいたい50人だから合わせて100人として、残り400人はどこに行ったんだ??と思って聞いてみると、
残り400人のうちほとんどは私立か職業高校に既に進学を決めていて、とっくに学校に来てないと言う。
更にそのうちの2クラス100人程は、紹興戸籍を持たない出稼ぎ労働者の子供達で(クラスが最初から分けられている)、
ここではどんなに成績が良くても公立普通高校しか行けない上(重点高校には入れない)、大学入試も受けられない。
なので、卒業を待たずに多くの子供達が親元を離れて四川や雲南、湖南省など戸籍のある田舎の中学へ転校して行ったそうだ。
まさに中国特色的中学生の現実、である。
ネットで調べると、同じ重点高校と言っても去年の大学入試一流大学合格者の割合は、トップA高校とB高校がそれぞれ半数近いのに対し、
イーファンの合格したC校は15%弱。
彼女の夢である一流大学合格のためには、まだまだ厳しい競争が待っているようだ。
「勝者」たちと娘が机を並べて過ごす生活も
間もなく3年目に突入しようとしていますが、傍からの印象では、
それまでの12年と何ら変わらぬ競争の中に押し込まれたままで、
私の中で大学ってそういうところなのかな???という疑問が
拭えぬままになっています。
娘の班は毎学期人が減っていますが、今期末でまた数人が離れていきます。
海外へも何人か流れていきます。
大学の交換留学制度を利用して一時海外へ行く人も含まれますが、
富裕層の子女の場合、国内の教育に見切りをつけて、
北米へというのは珍しくなく、じゃあ高考までの道のりで
ふるいにかけられた人たちの道って何だったの?と思うと、
何やらもやもやしたものだけが残ります。
もちろん日本や他の国でも進学する際にある一定の基準で
学生をふるいにかけることは行われていて、
それを否定する気はさらさらありません。
ですが、この国でふるいにかけられるということの重さ、
それを考えるとフクザツな気持ちになります。
私の姪も、中考まで休み無しで土日複数の塾を掛け持ちし、
なんとか市重点校の学生をやっていますが、
結局それまでの生活から解放されることはなく、
今度は高考に向けて同様の生活を送っています。
ですが、その先にあるものを
我が娘というフィルターを通して見ていると本当にやりきれないのです。
(まあ、姪がその生活をどう思っているかは私にはわからないことなんですが)
イーファンちゃんが自身の夢を叶えることを願うと同時に、
志望大学合格をゴールにしない人生設計を、とも願います。
コメント有難うございます。
12年間子供は血と汗と涙で(?)、親は物心両面、特に経済的に多大な犠牲を払ってやっと入学したはずの一流大学を、結局途中で退学してしまうんですね…。
杭州の某一流大学でも、入学時と卒業時ではクラス単位で生徒が減っていると聞きました。何とも皮肉なことです。
特に農村の人にとっては、学費の安い一流大学は超狭き門で、学生のうち農村出身の人は100人に3~4人いるかどうか?なのに、貧しい農村では例え大学卒業後の就職が厳しいと知っていても、それ以外に貧困から抜け出せる可能性が見つけられないため、親は多額の借金を背負ってでもやはり大学にやろうとする。でも結局学費の高い三流大学にしか行けず、卒業後も就職できず、多額の借金だけが残ってしまうそうです。
一方で一流大学に通う金持ちの都会の人は、国内の大学に見切りをつけて退学、留学…。本当にやるせないです。
イーファンが一流大学を目指すのは、やはり母子家庭でお金に苦労する母や姉を見て育ってきたため、将来少しでも良い仕事について経済的に楽になりたい、という気持ちが強くあるからです。姉の方は大学入試まで塾にも一度も通わず、一流大学に学費免除の特待生で通っていたので、自分もそうしたいと思っているようですが、10年前の姉の時と比べても教育格差が広がっていて、かなりの生徒が塾や家庭教師をつけているのに驚きました。
一方で、今は一流大学を出ても就職が厳しい時代、勿論一流大学に行けるならそれに越したことはないけれど、イーファンにはあまり一流大学にばかりこだわらず、自分に合った専門や仕事についてよく考えて進路を決めてほしいと思っています。