走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

境界線を越えた越えない その2

2021年10月31日 | 仕事
続きものです。前回はこちら。

診断と言うのは、診断のプロセスを経て医学的知見に基づいてつけられるもので、必ずしも患者がそれを理解しているとか認めているとはならないのです。

例えば精神科系には特に多くみかけられます。

統合性失調障害があると認識しないから、服薬やサポートを拒否する人もいます。癌ではないのに自分は癌があると痛みまで経験する人だっています。

で、電話で団体の人は患者がメンタルヘルスの疾患があることは認めているけど、このような障害があるとは認めていないので削除するべきと言います。

んん????この書類は国に出す税金控除を受けれるかどうかの情報のための書類。患者が診断名や障害を認識しているかどうかは関係ない。そもそも患者とそれを話し合うって、貴方何者ですか??と聞きたい。では、貴方は医学的な所見が間違っているから書き直せと言っているんですか?どう言う資格があって私に対して命令をしているの?貴方は医療者ではないですよね?

彼女の返答は、医療者ではありませんが、この仕事をして長いからこの書類のことはよく知っています!私はこの分野のスペシャリストです!と。

こんな押し問答を35分もしてしまいました。きっと医師ならば電話をさっさと切ってしますでしょう。いいえ他のNPでも同じだと思います。でも、このままではこの書類は発送されず、被害を被るのは私の患者です。それにどこをどう見ても彼女の考えは間違いで、本来の目的(税金控除)は今の書類で問題なく通るのに、食らいついてきます。その35分でいくらでも書類の書直しは可能です。しかし自分が納得いかない。資格がないものに言われて資格を持っているものが納得いかない注文で書類を描き直すって絶対理が通らない、と私も引きません。頑固者と頑固者の真っ向勝負です。

続く

冒頭写真: 黒い栗鼠。冬を前に大忙し


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