走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

タスク あれこれ

2018年10月21日 | 仕事
昨日の続き

タスク デリゲーションについて。

良いリーダーはチームメンバーの特性や能力をよく理解し、仕事をデリゲート出来る。
Aさんはこれ、BさんとCさんはこれね、と言う具合に仕事を配分する。

この中で1番頭を使っているのはメンバーではなくてリーダー。極端な言葉を使えば、メンバーは与えられた仕事をすれば良い。最終責任は仕事の配分を決めたリーダーにあるのだ。

メンバーの中には勤労者もいて与えられた仕事に責任を持って遂行しようとするものも。疑問も持てばリーダーにアイデアを持ちかけたりするものだっているでしょう。しかしメンバーはリーダーの代わりになることは無いのです。あくまで責任も褒賞もチームをうまく稼働させたリーダーにあり、と言う事実は変わらない。これがタスク デリゲーション。

3角形をイメージして頂点にいるのがリーダーであとのメンバーは3角形の底辺をイメージしてもらえば良いでしょう。

タスクシフティングシェアリングは3角形ではありません。2つの円が一部重なっている図を想像してもらいたい。同等の立場に立っているもの同士が仕事をシェアする、もしくは仕事を移行させる。Aさんはアイウエオの仕事を抱えていて、Bさんにアとエの仕事をしてもらえないかと頼む。ただすれば良いのではなく責任も褒賞も貴方のものですから、と。これはシフティング。Bさんに手伝ってと一緒に仕事をこなし、責任も褒賞も半分こにする、これをシェアリングと言います。

昨今の日本の医療界ではタスクシフティングが頻繁に使用されています。本当にタスクシフティングなのでしょうか?何もかも医師の包括指示のもとで行われ、施行者は責任を取らなくていい仕組みは褒賞も産まないし、言われた事をただすれば良いの姿勢で行われる可能性が高くなります。これはタスク デリゲーションであり、シフティングやシェアリングではありません。

シフティングやシェアリングの場合、責任は施行者にあるのでHow to を学ぶだけでは不十分でセオリーや病態生理一連を真に理解する必要があります。これによって教育の充実は必須条件となります。責任の付帯は褒賞を産みます。いやいや、私は忙しい過ぎるから診療看護師とタスクシェアリングをしたいんだ、と思っている医師の方々、報酬を2人の間で分ける覚悟は出来ていますか?

本当にタスクシフティングやシェアリングを行いたいのなら、責任と褒賞も譲る。政治も医師団体も変わらないのならタスク デリゲーションと言葉を改めて欲しい。言葉は正しく使わないとね!


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