走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

2014年10月25日 | 仕事
ジェシカは嬉しいことに期待を裏切ってシェルターに留まってくれた。翌週診察に行きその翌週も。

ジェシカの前編はこちら

もちろんシェルタースタッフからの電話は止まなかった。薬を飲まない、ルームメイトが彼女の持ち物を盗んだと騒ぎ出す。いなくなった、、、、

10日の間に色々なプロフェッショナルと彼女のケースを相談し、これからどうするか計画を立てることが出来た。

絶対行きたくないと言っていた薬物依存症と妊娠の施設へ。真実を言えば来てくれないと思い、「私はNPだから医師に診察してもらうために行こう」と。嘘ではなく全容を伝えなかっただけだが、あっさりとついて来てくれた。
予約制ではないので待ち時間は3時間。待っている間に何度も帰ろうと言い出すか、態度が悪くなって騒ぎ出す。ハラハラドキドキだった。
どうしてもここで診てもらい、その後のケアをバトンタッチするためにこの診察を成功させたかった。ジェシカの機嫌を損ねないように、10日泊まったシェルターにもう帰れないことを私は黙っていた。それを伝える前に確実な次を見つけておきたかったから。

待ち時間中に施設のマネージャーに、ジェシカが本気でここで診察を受けようと思っていないのなら、あなたたちは時間を無駄にしているだけよと言われた。電話でも話したように、、、と状況を伝えても素っ気ない返事。

診察後ジェシカはフォローアップに来ると言うが、ここのシェルターに泊まることは断った。自分はもう薬物依存症ではないからと。えー何言ってんの?!3週間前まで使っていたではないか?!
ここを断ったら他に行くところがないのよ!秋になり気温はぐっと下がり何処のシェルターもすぐ満杯になっている。
いくら説得しようとしても聞く耳を持たない彼女。会話中に私が以前のシェルターのことを隠していたと知り彼女は激怒。私のせいで追い出されたと言い出したから。こうなると誰の言葉も信じないジェシカ。

ストリートでは寝ないわ。だれか友達のところで泊まるからと彼女は街の中に消えて行った。

後悔は沢山ある。あーすればよかったこうすればよかったかもと考えが収まらなかった。ホームレスアウトリーチのデニーは出来る限りのことはしたのだから、あとはジェシカ次第と励まされた。

プランaとbは立ててある。きっと大丈夫。


こうやって持ち物を運ぶホームレスの人たち


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。