走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

条件をつける その3

2021年01月22日 | 仕事
シリーズ3日目

尿閉で救急室へ行ったのに点滴を留置するかどうかで喧嘩越しへ。救急室は救急的な処置が必要な人が行くところ。尿閉ではすぐ死ぬことにはならないが、高血糖はその可能性が高い。だから高血糖を治療するために点滴が必要なのはわかるが、患者にとっては高血糖は症状もなく重要ではなくて、腰が痛くて膀胱がパンパンに腫れている苦しさの方が優先されるのもわかる。

患者のニーズと医療者の介入が一致しない典型的な例。

その上、医療者が知らず知らずやる事。それは条件をつける事。
「点滴を入れたら排尿のカテーテルを入れる」
なんてこったい。ここで交換条件を出すメリットは何なのだ?!
子供に対して痛みを伴う処置をしたらご褒美にアイスクリームを買ってあげるね?的な???
おいおい、患者はあなたの子供ではないのよ!
喧嘩の挙句に患者は家へ帰る!と言い出す。そして高血糖の治療もできず、患者は離れてしまう。生死がかかっているのに最悪の方向へ傾く。

医師と師長はずいぶん時間をかけて患者を説得したそうだが、その甲斐なく患者は出て行く。そこで私は問いたい。このケースで患者が一番苦しんでいることにまずは取り組んで、次に点滴への計画で医療チーム側は失うものがあるのか?

ないと思う。ならばなぜそれから始めない?

救急と言う大義名分があろうとも相手にしているのは人間。それも大人。大人に向かってOOしたらXXねと条件をつけたことがありますか?優先順位の付け方がわからないとか、ロジカルな考えができない子供じゃあるまいし。それとも患者より偉いのよ!あなたの要望は聞かないわ。私の言うことを聞きなさい!とするため?

ああああ、私にはわからない。

そしてもう一つ、最終回へ続く

晴天の冬晴れ


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