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走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

何が基準で標準と

2016年03月24日 | 仕事
多民族国家のカナダ。いろいろな国や地域から移民が来る分いろんな文化風習があると言うもの。

スエーデン出身の看護師仲間が大騒ぎを起こした事がある。1歳に満たない末娘が痙攣を起こし、救急に連れてきた。何をしている時に痙攣が起こったのか聞かれ、サウナに入っている時と答えたため、虐待を疑われた。だってカナダでは13歳以下の子供はサウナに入る事を勧めないから。しかし彼女の本国では赤ちゃんからサウナに入るのは当たり前。当たり前の事をして虐待を疑われるとは、という話。

緊急に子供3人を診て欲しいと頼まれた。それはメンタルヘルスのケアマネから。私の患者の子供4人のうち3人の事だ。私の患者(母親)はメンタルヘルスの具合が悪く、子供の安全のために家へ帰れない。何ヶ月も続いている。その間父親が4人の子供たちの世話をしていた。父母共に難民移民のアジア人だ。英語は少しだけ話せる。コミュニティーのボランティア団体から1日4時間のケアも受けている。子供たちは食事など諸々のサービスを受けている。

で、出産間近な母親のためにケアマネ、MCFD (政府の機関で子供と家族のケアやフォスターケアを管理している)、保健局、父親、患者でミーティングが行われた。生まれてくる赤ちゃんのケアの方向性についてだ。そのミーティングに登場した父親は末っ子を連れていた。末っ子は青白く、ぐずっていて、参加者全員が父親のケアを疑った。ニグレクトの可能性があると末っ子はMCFDの手に渡った。こうなると他の3人の子供の健康が疑われ、診察を依頼されたわけだ。

電話でケアマネの報告を聞いていると、なんともすごい状態の子供たちが想像できた。しかし父親とおばあちゃんとサポートワーカーに付き添われた3人の子供たち、それプラス末っ子はごく普通だった(末っ子は直ぐ親に戻されたらしい)。

確かに4人とも平均身長、体重より下回っている。しかし標準値内だ。アジア人としては普通に見える。しかし白人の目からは小さな子供たちと写るだろう。反応も正常な発達内だ。

ご飯も3食食べていて、体に傷などなかった。よかった。よかった。



今日も雨、花びらが雨に濡れて重たそう。

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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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こんばんは (のびた)
2016-03-24 20:21:22
多民族国家になると その国の風俗 文化 などで大きな違いが出てくるでしょうね
日本の様に一つの基準で計れないものがあると思います
ケベック州ではカナダから独立したい人が多いのでしょう? こう言うことも大変ですね
私がメンタルヘルスと言う言葉を聴いたのは 30年くらい前かと思います
当時は新しい取り組みで その必要性を広めて居ました
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のびたさんへ (美加)
2016-03-25 10:27:48
のびたさんの知識の広さには感心させられます。ケベック州はとても特別な州です。色々な面で優遇を受けています。なので独立しようとする政党は未だにありますがさほど州民の指示は受けていないが実情です。独立宣言は永遠のもので、永遠にカナダの州でしょう。ケベック州からBC州に来た人は、えーそれも無料だったと色んな事に対して不平不満を述べまよ。井の中の蛙とはこの事!ふふ。
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