走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

プロの仕事

2015年09月21日 | 仕事
嗜好性(依存性があるとか、転売する時に良い値段で売れる)のある薬物は他の薬より厳しい監視の目が付きまとう。

処方者としては悪用されていないか、スクリーニングを徹底的に行い、抜き打ち尿検査も行う。しかし、最近驚くことが起こった。

春ぐらいから痛み止めとして麻薬と、家族を亡くし強い不安症がある彼に対して抗不安薬を処方した。急性期が過ぎたので処方打ち切りに向かい少しずつ減量していた。半年になるし処方記録を監査してみようと医師に言われ、患者本人の承諾を得て調べてみてびっくり。この患者他の医療者からも抗不安薬を処方してもらっていたのだ。同じ薬ではないが、同じグループの薬だった。6ヶ月近くダブル処方をもらっていたのだ。

開いた口が塞がらなかった。この患者は薬に対する知識が低く何を飲んでいるか全く知らない。知ろうともしない。糖尿病に高血圧、神経系の薬に、精神科の薬。毎日服用している薬の数は半端ではない。意図的にダブル処方を得ていたとは、とても思えない。

処方を続けた薬局の薬剤師に電話した。病院から退院した時の処方薬が長期処方だったとは知らなかった。知っていたら処方はしなかった。こういうことは2度と起こしたくない。防止するためには何をすればいいのか?!と伝えた。

私が本当に薬剤師に言いたかったのは、二つ目の同型の薬の処方箋が私から出た時、どうして連絡をしてくれなかったのか?薬剤師としてこれを危険なサイン、処方者にダブルチェックをするべきだったのではないか?

最後のチェックを入れる薬剤師のプロ意識がこれでは恐ろしいとさえも思った。

言い訳は「私が承知の上で処方していたと思った」

HOW???

退院時記録に処方薬の列記はあっても何日分処方されたかは記載されていない。それを知るためには患者の言葉を信じるか、薬局にいちいち電話を入れるかのどちらかだ。今考えれば薬の知識が低い患者の言葉を信じた私が馬鹿だった。しかし最近の傾向は病院からの退院時処方は出さないもしくは1週間分のみが主流だ(病院からコミュニティーの以降がスムーズに行くように)。何故かしらこの患者、外科医が一つの薬を6ヶ月分も処方していたのだ。

悪い時には悪いことが重なるもんだ。

マルプラクティス(基準に満たない仕事ぶり)でカレッジ(プロは仕事の水準を一定にするために、市民を守るためにこういう団体に所属していなければならない)に報告できるぐらいの内容だ。電話の終わりの方では、薬剤師も自分の非を認めたようだけど、、、カレッジに報告するかどうかは同僚と相談してからにしよう、、、。

あー見つけてよかった。怖い怖い。



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