走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

DNR やDNARの誤用や誤解 その2

2023年10月28日 | 仕事

シリーズ2日目。


DNRDNARも患者本人の意思表示であり、指示できるのはカナダの場合医師かNPだけとシリーズ1日目に書きました。


私が働くカナダでは決められた記入用紙があり、そのコピーもブレスレットも刺青も法的効力はありません。そして正式な用紙の有効期間は一年と限られています。


救急隊も医療者もその記入用紙を目視で確認できない限り、蘇生を行うことが義務として発生します。よってその用紙を持っている人たちには、その旨も説明し、どこに保管するか(BC州の場合緑色の専用ファイルに入れて冷蔵庫に貼り付けます。救急隊は冷蔵庫付近を必ずチェックします)。もちろん必ず家で心肺停止になるとは限りませんが、その場合証明できるまで蘇生は続けられます。


そして信頼をおける家族や友人など貴方の事を最も知り得る人物に貴方の意思を口頭で伝えておくように説明します。何故なら心肺停止が起こる時には意識喪失する方がほとんどですから、その場で意思表示ができず、貴方の意思に同意しない人は、その正式な用紙を破り捨てて無効にすることもできます。このような行為は愛情だけではなく、遺産相続や会社権利譲渡などの個人の利益に係る場面にも影響するので(ああ、人間は醜い生き物ですね〜)、家族友人全員を巻き込んでおくのが重要になってくるのです。


今この時点で最近よく聞くACPとどう違うの?と思っている人がいるかもしれません。それは明日。



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