走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

エンパワーメント

2021年02月01日 | 仕事
以前にも書いた子供が自分の医療について決定できる権利。「何歳からできる」ではなくて、医療者が診察をしてそのコンピテンシーをアセスメントして、この子はできると判断すれば親の承諾は必要ない。認知症などが現れた場合に健康について判断力があるかないか、と同じような仕組みです。

で、高校のクリニックが始まりこれに関しての質問が多い。教師から、生徒のサポートワーカーから、そして生徒自身も。

法的にそうだから、子供と医療者の間で全てをすませるか?と聞かれれば、そうではなく患者本人である子供に親との会話を勧めます。だって自分で意思決定ができても経済的に自立していない子供は完全な自立ができないから。親からの理解とサポートがあった方が治療も上手くいきます。そして今後の親子関係にも影響を与える可能性もあるから、このような会話を生徒とするのは大切。

その後、もし親との合意が得れなくても、生徒は自分の健康に対する責任感が育つし、経済的に自立していなくても健康に関しての意思決定権があることを知れば親という檻の中で暮らす自分を想像したりしない。Empowerment と言う言葉があります。力をつける。子供は無力感を持っている子が多い。自分の体や健康に関してはあると知るだけで、力が出る子供たちがいるのだ。とても大切な事です。


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