雨宿り

雨宿り　ラムネカラコロ　いと愛しぃ



朝からずっと夕暮れのような　単調な雨足の日でした。
「かき氷」ののぼりがある店で　冷えたラムネを買いました。
もう帰るだけだから　ぬるい雨にあたりながら　歩いていると・・・

ジャブジャブ降りになりました。

低く煙が流れてる蒲焼き屋さんの軒先に　つま先立ちで雨宿り。

向いのコンビニから　
雨傘をさした彼と目が合いました。

ちょっと、照れくさかったので、ラムネを飲んじゃうことにしました。
親指でビー玉を押すのですが、なかなか力がいりまして・・・だんだんいやになってきました。
赤信号の横断歩道が、青になって、
雨傘の彼がこちらに向かって来ました。
どんどん小走りになってきたので、
私はラムネを振る真似をしてから、ラムネ銃口を彼にむけました。
彼は、雨傘ごと両手をあげて降参しながら、隣にやってきました。

撃たれる心配をしていないのか、のうのうと雨傘を閉じたので、私は開けられないラムネを差し向けました。
彼は、自慢のよく曲がる親指で、一瞬のうちにビー玉を落として、ラムネ瓶をくれました。
くぐもった緑青の瓶の中で　小さな泡の列が　いく筋か登ってきて・・・
私は、ラムネを飲みました。
シュアシュアが喉を通ると　少し、雨の味もしました。

ビー玉が詰まるまで・・・飲みました。
ビー玉が詰まったので　残りのラムネを彼にあげました。
私たちは、その時はじめて、クスっと笑いました。