野原うた

日々美しい自然の花や生き物などを紹介するブログ。

マムシグサ

2007-06-13 | 単子葉植物・ヤシ亜綱
科名:サトイモ科Araceae
属名:テンナンショウ属Arisaema
和名:マムシグサ
漢字:蝮草
学名:Arisaema serratum(Thunb.) Schott
読み:アリサエマ(アリセーマ)・セラータム
別名:――
流通名:――
英名:――
撮影場所:神奈川県 ズーラシア園内
撮影日:2007.05.04

5月に撮影してから、名前を探すまでに、
なんと一ヶ月以上かかってしまいました!!

マムシグサと決め兼ねていた理由は…
この付属体の形と苞の形や色、そして葉鞘の模様の色にあります。

まったくお手上げで、しばらくほったらかしてたのですが、
なんか引っかかるので図書館で調べてきました!
平凡社の「日本の野生植物 草本」に色々なタイプのマムシグサの写真があり、
比較すべき点も明確にわかったので、
ようやくこの植物がマムシグサでいいのだと判明!!

ご参考までに、
以下にマムシグサと同定した理由の一部を書いておきます。




↑↓苞は大きく開いてくるりと反り返っています。
そのため耳のように見えます…。
なので単純にミミガタテンナンショウかもと思ったんです・笑
ミミガタテンナンショウは手持ちの図鑑の絵合わせなどの段階で違うと判明。

ミミガタテンナンショウ
仏炎苞が葉よりも早く開くので、マムシグサよりも独特です。
草姿はコンニャクの花に近い雰囲気があります。 
仏焔苞(仏炎苞)の色が濃い紫だそうです。
(緑っぽいものほとんど無い様子。)
また小葉の数が少なく、葉がもう少し丸っこいそうです。

マムシグサにしては、仏炎苞がやや開き気味ですが、
マムシグサにもこういうタイプがあるんだそうです。



次に、付属体がぷっくりしているマムシグサの写真が見当たりません。
どの写真も、もっと細めな感じです。
手持ちの資料には付属体についてあまり載っていないため
ものすごく悩んでしまいました。
これについては「日本の野生植物 草本」にマムシグサの付属体は
「(形に)変化がある」と写真付きでのっていたのでクリア!


葉鞘(茎のように見える部分)↑の模様も
私が知る「マムシグサ」のような濃い斑点がありません…
これは推測となってしまうのですが、
仏炎苞も色が薄いため、
全体的に色素の薄い固体なのかも…という結論になりました。
ヘンな図↑があると思いますが、
葉鞘の解説です。
茎(図の緑色部分)をとりまくオレンジ色の部分をいいます。
葉っぱの基部(付け根部分)が文字通り「さや」状になり、
茎を取り巻いています。
身近なところでネギなどがありますね!
イネ科なども葉鞘があります。


また色々な近縁の種類と比較しましたが、
それぞれに分布域や形状の特性について、
明らかに異なる点が見受けられたため、
マムシグサと同定しました。

ちなみに、テンナンショウ属の中でもマムシグサは特に分類が難しいそう。
アオマムシグサ、カントウマムシグサ、
オオマムシグサ、ホソバテンナンショウなど
それぞれ仏炎苞の色形が異なったり、付属体の形状、
葉の形状や模様が異なるものに、
別名が与えられています。
ですが、「日本の野生植物 草本」ではこれらの異なる和名をもつものを、
同種とするそうで、今回はこの分類に従いました。


ナナシノゴンベさん、長いことすごく気になっていたので、
だいぶスッキリしました!!
最初っから図書館で調べればよかったなあと思います。





アイイロニワゼキショウ

2007-06-07 | 単子葉植物・ユリ亜綱
科名:アヤメ科 Iridaceae
属名:ニワゼキショウ属 Sisyrinchium
和名:アイイロニワゼキショウ
漢字:藍色庭石菖
学名:Sisyrinchium graminoides E.P.Bicknell
読み:シシリンチウム(シシリンキウム)・?グラミノイデス 
英名:――
別名:ルリニワゼキショウ、ヒレニワゼキショウ
流通名:――
撮影場所:東京都大田区 植栽
撮影日時:2007.06.03

先日、駅へ行くのによく通る道沿いのお宅で発見。
毎年見ていたはずなのに、意識していないと、
見過ごしてしまうんですね~

先日ご紹介したニワゼキショウシリーズ。
調べていくうちに、アイイロニワゼキショウなるものも、
一部帰化しているという情報があったんです。

ふーむ、ますますややこしい!!
区別付くのかなあ~実物見たいなあ…そう思っていました。

そしたら、丁度道端で、アイイロニワゼキショウを植えているお宅が!!
そのお宅のご近所さんも植えていたので、
たぶん数年前からあったんではないかと思われます。
(仲の良いお宅同士だと、お花が増えると分けたりしますからね

目には入っていたのに、素通りしていたんでしょうね!

…で違いはといいますと、
一目瞭然です!!




まずは名前の由来にもなった藍色!
先日ご紹介した四種類のどれよりも青味が濃いです。

花の咲き方も、他のものとは違い、花弁が付け根近くまで
切れ込んでいます。
(他のものは付け根あたりは筒状になっています。)

また、雄しべの外見は槍のような形で、花糸(雄しべの軸)が筒状に合着。
花を横から見ると飛び出ています。
(他のものは花を横から見てもしべはほとんど見えません。)

花弁の先が鉤状になっているのもわかりやすい特徴です。

また果実の形が他の種類とはことなりいびつなのも目印になりそうです。


これに比較的似たもので、
ヒトフサニワゼキショウというものがあるそう…
また目を凝らして、いろんな場所を探してみようと思います!!



同じ属の植物
アキマルニワゼキショウ
オオニワゼキショウ
ニワゼキショウ(赤紫系)
ニワゼキショウ(白花系)