瀧澤美奈子の言の葉・パレット

政を為すに徳を以てす。たとえば北辰の其所に居りて、衆星の之に共(むか)うがごときなり。

今月の書評

2016年01月10日 | お知らせ
 信濃毎日新聞社の書評が本日掲載されました。
 今回の一冊は『大人の直観vs子どもの論理』辻本悟史著(岩波書店)。

 脳科学の話題は面白いものですが、本書はおもに「直観」をターゲットに最近の知見をわかりやすくまとめたものです。
 論理的に冷静に考え、行動する。社会生活を営む上で必要不可欠なことですが、一方、私生活では知らず知らずのうちに、直観のお世話になっていることも多いもの。何を着るか、何を食べるか、何を買うか、休日にどこに行くか・・・など、日常生活のなかで、なんとなく決めていることがいかに多いことでしょう。それでも、及第点程度にはほどほどにうまく行っているのはなぜか、本書の前半はそんな「直観」の謎にせまります。

 後半は、最新の脳科学の知見からいくつか興味深い成果が解説されていました。
 とくに印象に残ったのは、運動能力だけでなく、思考や言語に関しても遺伝的影響が強いこと(定着度に遺伝的な影響があるらしい)と、しかし同時に、経験によって発現する遺伝子が変化すること(つまり遺伝以外に本人の努力がものをいうということ)。さらに、それが新たな遺伝子として親から子に伝わる可能性があるということです(これは本当にびっくり。本当??)。まだ十分に検証されているとはいえませんが、このような視点での研究が行われているということを知ることができます。

 それにしても「カエルの子はカエル」であり「鳶が鷹を生む」のであり、「好きこそモノの上手なれ」ということなら、むかしの人の直観はやはり冴えてましたね。


 

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