『図書館内乱』を読むのと『週刊新潮』などの実名報道対応が重なりました。
こういった事例が出る度図書館界の対応が話題になります。基本的には各館が責任をもって判断すればよいと思いますが、現場においてはどう判断するにしろ、厳しい意見が寄せられる場合が多いのも事実です。だからこそそれぞれの館で、それぞれの図書館員が自らの責任して考えておく必要があるのですが・・・。
日本図書館協会の対応については、確かに時期によってぶれがあります。このような問題が発生した時協会は見解を求められるわけですが、通常事務局長と自由の委員会全国委員長が意見の擦りあわせをして、見解ないし参考意見、コメントなどを出しているようです。問題のぶれについては、常務理事会なり理事会でそれなりの整理を行い、現時点の考え方を示しておく必要はあると思います。
・「フォーカス」問題に関する見解
・「文芸春秋」問題に関する参考意見
・「週刊新潮」問題に関するコメント
ちなみに、私図書館屋の館はいろいろ討議しましたが、結局なにもせずそのまま出しました。
さて『図書館内乱』では原則派と行政派と中立派の関係の中で少年法に抵触した週刊誌問題が語られ、船橋市の資料廃棄問題に材をとった事件が語られています。あるいは図書館による禁書事件に笠原が巻き込まれたりもします。話題が昨今問題になったものが多く、現場にいる私図書館屋としては、リアル以上にリアルでした。
先に出て「「本の雑誌」が選ぶ2006年度上半期エンターテインメト」の第1位に選ばれた前著『図書館戦争』を「起」するならば、本書『図書館内乱』はさしずめ「承」と言えるでしょう。前著で活躍した笠原、堂上、小牧、手塚、柴崎らレギュラーの恋愛や想いが交錯し、至る所に伏線が張られているあたりは、続くであろう「転」での展開を期待させます。
本書を完結した小説としてみると、前著に比べ戦闘シーンや武器の解説が大幅に減り、ストーリー展開も地味ですが、シリーズ化を前提としてみると張られた伏線が今後どのように展開するのか楽しみが詰まっているとも言えるでしょう。
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TBありがとうございます。
図書館屋さんのTBから追っかけていくと、けっこうみなさんブログに書いてますね。
こちらはあまりオモテ稼業を前面に出していないんですが、やっぱりこの本ははずせません。大阪の人だし、宣言を掲げていた近所の図書館ってどこだ?!とか思ってしまいます。(けっこう出してる図書館は多いんですけどね)
今後ともよろしくお願いします。
私図書館屋は「ライブラリー・シンドローム」初期の頃からのファンでございます。ひょっとしたら何度かお会いしているかも・・・。
ブログも時々お邪魔しております。
今後ともよろしくお願いいたします。