京都逍遥

◇◆◇京都に暮らす大阪人、京都を歩く

西本願寺・飛雲閣

2010-04-13 23:47:51 | まち歩き

日曜の朝刊・地域ページで、「国宝『飛雲閣』15日まで公開」というタイトルの記事を読んだ。国宝。京都三名閣(金閣・銀閣・飛雲閣)の一つ。伝・聚楽第遺構。となれば、行ってみたくもなる。大雨の昨日はパスして、曇り空の今日、出かけてきた。

通常は、宗祖降誕会(5/20・21)のみの公開だが、今年は特別に4/10~15(13日以降12:00~15:00)も公開(無料)されている。宗祖・親鸞聖人の750回大遠忌法要が来年4月に迫っており、その広報も兼ねているのだろう。

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西本願寺は三度目になるが、今回は御影堂(写真上・左)にも阿弥陀堂(写真上・右)にも赤・緑・白の三色の幕が廻らされ、華やかだった。人出も多い。阿弥陀堂門を入ってすぐ、“かわいい”挿絵の入った新しいリーフレットがあった。以前来たときは韓国語のリーフレットしか残っていなかったが、今回は、各国語揃っている。リーフレットの新調だけではない。御影堂・阿弥陀堂の修復も完了、庭園内復元整備、龍虎殿を新築と、来年に向けての準備が着々と整えられている。また、このようにリーフレットを完備しているということは、参拝のために訪れる人だけでなく、見学に来る人をも温かく迎えている証でもある。

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目指す飛雲閣は、御影堂の南、龍虎殿を挟んで、書院(写真上・右)の向かい側に位置する。この書院も、同時公開。飛雲閣を含む滴翠園は、白壁(写真上・左)に囲まれた一角にある。入り口には「写真撮影禁止」と大書きされていた。飛雲閣は外観のみの公開である。戸外なのに、なぜ禁止?本願寺出版の写真集でも買おうか。

庭には茶室があり、趣のある燈籠が点在し、池の向こうに記事で見た飛雲閣が聳えている。建物と正対した。ちぐはぐ。これが率直な感想。「左右非対称になっており、不規則ながら巧みに調和されています(本願寺HP)」という表現を、肯じえない。記事の写真(モノクロ)は良かったのに。飛雲閣は、こけら葺きの三層建築。一層目は、向かって右の屋根が入母屋造、左の屋根は唐破風造。二層目は、寄棟造に唐破風で、壁の左半分には三十六歌仙の杉戸絵、右半分は白い塗り壁に華頭窓。三層目は、宝形造。写真を撮ることができなかったのが残念!文章だけでは、伝わらない。

やはり問題は二層目だろう。外に向かっての杉戸絵の絢爛豪華。一層目とのボリュームのアンバランス。三層目が乗っていない部分に取ってつけたような棟瓦。1993~1997年に、屋根の葺き替えや梵鐘の復元、庭の整備のほかに杉戸絵の復元も行なわれているそうで、絵の色もまだ鮮やか。絵自体は、遠くてよくわからないが、有名な技術者が復元に尽力したのだろう。それにしても、ほとんど野ざらしのこの部分に、なぜ絵を入れたのだろうか。設計者の意図がわからない。

それでも、1997年に葺き替えたという、こけら葺きの屋根は、素晴らしかったし、池から船で建物に入るという建築様式も面白い。それに一層目は、屋根の様式は違っても、同じ白の塗り壁、同じこけら葺きで、落ち着きがあって美しい。上層部がなければ・・・と思ってしまった。

10_013 御影堂門の前から撮影した梵鐘(写真右)。飛雲閣の上層部もわずかに見える。

堀川通りに沿った西本願寺の塀に、何本も大きな旗が立っていた。さきの、お堂の3色の幕だけでなく、こういった旗も初めて見る。

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調べてみたら、カラフルな旗(写真上・左)は、「仏旗」らしい。1950年5月25日に成立した世界仏教徒連盟(WFB)の第1回会議(6月)で、仏教のシンボルとしてこの旗を導入したのだそうだ。日本は1954年の第2回全日本仏教徒会議において、この旗を採択したらしい。

(財団法人全日本仏教会HP:http://www.jbf.ne.jp/b10/index.html

写真では見にくいが、旗は縦縞で、左から青・黄・赤・白・樺・輝き(前出5色の横縞)の6色となっている。これらの色が象徴するものは、上記・財団法人全日本仏教会HPに詳しい。能の揚幕にも使用される緑・黄・赤・白・黒(紫)の五色は陰陽五行から来ており、かつてはこの五色が、「意味のある」仏教的な色彩だった。新たな旗の鮮やかさは、仏教の本場がタイやスリランカなど、暑い国であることを思い出させる。

赤と白の旗(写真上・中、写真上・右)は、「紋旗」というらしい。八角の菊くずし紋。これも珍しい意匠ではあるが、本願寺系列校の校章にも利用されているとのこと。


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