京都逍遥

◇◆◇京都に暮らす大阪人、京都を歩く

妙顕寺*まるごと美術館2024春

2024-03-29 21:19:10 | まち歩き

3/23(土)~4/7(日)の日程で、西陣で「まるごと美術館」が開催されている。

まるごと美術館HP:まるごと美術館 -Kyoto Marugoto Museum- (kyoto-marugoto.com)

地域活性化を目指す西陣の有志団体で、2017年に個人で活動を開始した後、2019年に運営メンバーが揃って現在の形になったらしい。神社仏閣の協力のもと、春と秋に展覧会を行っている。寺社を会場にしたアート・工芸品の展覧会と、会場になった寺社の特別拝観のセットというものだ。今年は、妙顕寺と妙蓮寺の二箇所である。

妙顕寺のある寺之内通はGateau de Miel に行くときに何度も通っていたが、一般の拝観ができると思わず、いつも横目に通り過ぎていた。いい機会なので、行ってみた。

石柱で一目瞭然だが、ここは日蓮宗のお寺、山門にあるように勅願寺(1334年)であるゆえ、菊の御紋も見える。しかも大本山とのこと。1321年創建で何度か移転・改称、延暦寺による2度の破却、改称、焼失、秀吉による寺地移転の後も大火で焼失、再建を経て今に至っている。

京都には具足山は三箇所ある。龍華 具足山 妙顕寺のほかには西龍華 具足山 立本寺(寺内に具足山教法院も)、北龍華 具足山 妙覚寺。

岡山にある具足山妙本寺なども、同様の由緒があるのかもしれない。

立派な大本堂。拝観は、本堂左手奥にある方丈が入口である。

大玄関で巨大な苔玉に出合う。迫力あり。大本堂の格天井には数々の家紋。花天井はよく見かけるが、家紋は初めてと思っていると、説明文を見つけて納得。もとの本堂は二匹の龍が描かれていたが、再建の際に寄進者の家紋を天井に入れた、とのこと。本堂なので、さすがに撮影は遠慮した。

四海唱導の庭は、まだ桜には早かったが、手水には花々。木々も美しく剪定され、見ごたえがあるお庭だった。

和装婚礼衣装の外国人カップルが、廊下を進む。カメラマンの指示を通訳する声が聞こえる。確かに前撮りにぴったりの場所だ。

大客殿のすだれ作品を鑑賞し、茶室手前の円窓からお庭を見る。

円窓から見えるのは「光琳曲水の庭」で、枝ぶりの見事な赤松と黒松が主役であった。こちらも、美しいお庭である。

書院側には「抱一曲水の庭」があるが、現在、書院一帯を改装中で、見ることはできなかった。隣接する「孟宗竹の坪庭」にも足場が組まれている。

京都は今日、桜の開花宣言があったが、門前のしだれ桜の見ごろは、あと2週間ほど先になるだろう。「まるごと美術館」の催しがあまり知られていないのか、参観者が少なく、もったいない。建物は立派、お庭も見事。HPは見やすいし、拝観料(800円)と引き換えに渡される印刷物もコンパクトにまとまっていてわかりやすい。渉成園の詳しいパンフレットもそれはそれでよかったが、仏教に詳しくない者にとっては必要最小限の情報だけというのもいい。京都で数々の寺社を巡ったが、この印刷物は一番だ、多分。

京都|日蓮宗大本山 妙顯寺 (shikaishodo-myokenji.org)

堀川通から少し入っただけで静けさと安らぎを得られる。信仰心がなくとも、お庭を見るだけでも立ち寄る価値のある場所だと思う。本堂外廊下の傷み具合を考えると、大人数の参観は歓迎されないかもしれないが。

酒井抱一をテーマにした庭を見に再訪したい。年中拝観可能(不定休のためHPを確認)だが、抱一曲水の庭がある一角――寺務所より北側奥――は特別公開の時期にだけ見ることができるそうだ。秋の特別公開には改装が終わっているだろうか。

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