今年の紅葉の見納めに、東福寺へ。
山号・慧日山、開基・九条道家、開山・聖一国師円爾、正式名称・慧日山東福禅寺。創建は1236年、臨済宗東福寺派大本山で、京都五山の四位である。
初めて行ったのは5~6年前。改めて、境内の広さを思う。摂政・九条道家は、高さ5丈(15メートル)の本尊・釈迦仏像に見合うような、京都最大の伽藍を造営したのだ。奈良最大の寺院である東大寺と、同じく隆盛を極めた興福寺から一文字ずつ取ってその名としたのは、立派で人々の崇敬を集める寺となるように、との思いからだろう。
秋季特別拝観は、10/31~12/6。私が出かけたのは、12/1だったが、通天橋の紅葉は、ほぼおしまいだった。それでもところどころ、はっとするような鮮やかな赤も見られた。
通天橋を渡り切って、開山堂入り口の門を入る。 写真下・左は、門から撮影した開山堂(常楽庵)、写真下・中は普門院の縁側に座って撮影した開山堂。写真下・右は、門。
普門院の前庭は枯山水で、手前に白砂で市松の砂紋(写真下・左)。通路を挟んで奥に池と築山(写真上・左)。
紅葉の時期は、いつもこうなのだろう。もう紅葉も終りに近いのに、とにかく混雑している。普門院の縁側は人でぎっしり。開山堂への通路も、人が途切れることはなかった。友人と一緒だった私も、縁側に空きスペースを見つけて座り、しばらく話し込んだ。庭を見ながら、人を見ながら。
通天橋を戻る途中、お庭へ降りてみる。小ぶりな谷間(洗玉澗)を流れる川の堤に落ち葉が散り敷き、風情ある表情。
続いて方丈拝観。方丈は1890年の再建で、見どころは、1939年完成の重森三玲による八相の庭(東西南北4つの庭)である。方丈四周に庭があるのは、ここだけとか。庫裏で受付を済ませ、方丈へ渡る。最初に目にするのは東庭の、「北斗七星」を象った石の円柱と、雲文様白砂。 そうして南庭の、白砂の砂紋の中に置かれた荒々しい巨石。続いて西庭の、「井田市松」にある盛り上がった苔の緑。洗玉澗を一望する通天台を過ぎると、最後に北庭、小市松とサツキの刈り込み。
写真上・中の門は、「恩賜門」という名で、表から見ると、大きく菊紋が入っていた。なお、東福寺方丈に見られる軒丸瓦の紋は殆ど三つ巴であり、稀に「東福寺」と書いたものがあった。
昭和の作庭家、重森三玲。この絵画的な抽象の庭を見て、他の庭も見たいと思っていた頃、左京・吉田の旧邸が公開されると知り、予約して行ったことがあった。やはり巨岩を配した枯山水の庭で、しばらく前のCMだか、ポスターの背景だかに使われてもいた。庭の美しさに見惚れるだけでなく、茶室の襖のデザインにも驚き見入ったものだった。当時は特別公開だったと記憶するが、今も「重森三玲庭園美術館」として、見学を受け付けている(要予約)。
さて、東福寺には、やはり重森三玲が庭を手がけた龍吟庵もある。ここは、時間の余裕がなくて行きそびれた。立派な禅堂や、国宝の三門は、内部を見てみたい。春秋の京都非公開文化財特別公開で、いつか見られたら・・・と思いつつ、寺を後にした。