京都逍遥

◇◆◇京都に暮らす大阪人、京都を歩く

ボルゲーゼ美術館展・琳派展

2009-12-08 23:52:46 | アート・文化

ボルゲーゼ美術館展(京都国立近代美術館:10/31~12/27)に行く約束をしていた。うまい具合に小春日和。今回も、三条通の大西漆器店で前売り券を買い求める。会期の途中でも買えるとわかったので、行きそびれたり、失くしたりして前売り券を無駄にすることがなくなった。(ボルゲーゼ美術館展公式サイト:http://bor.exh.jp/

091208_0955161  美術館前には、クリスマスの飾りが。『一角獣を抱く貴婦人』の巨大ポスターによく似合って、そこだけ少し華やいでいる。北側には駐輪場スペースもあった。

1階エレベーター前にも、行列はできていない。10時前だったので、まだ人は少なく、ゆっくり鑑賞できた。美術館は、朝一番に行くべし。

ボルゲーゼ美術館は、イタリアの名門貴族出身の枢機卿シピオーネ・ボルゲーゼによるコレクションが基になっているそうだ。枢機卿は教皇パウルス5世の甥で、権力と富を縦にしたとのこと。フライヤーには「一流の審美眼」で集められた作品は「ルネサンス・バロック美術の宝庫」と書かれてあるが、胴長短足の天使や、どことなくちぐはぐに見える身体の線など、見ていて落ち着かないものもあった。それでも、裸体の足の筋肉の描写や、カラヴァッジョの描くヨハネの表情、聖書の放蕩息子をモチーフにした二点の差異、ギリシア神話をモチーフにしたいくつかの作品(レダ他)、『支倉常長像』の衣裳など、気になるものもいくつかあった。しかし、やはり一番の驚きは、さきの『一角獣を抱く貴婦人』だろう。肩にマントを掛け、車輪を手にした様子だったのを、美術史家が後代の加筆を主張し、修復後に本来の姿が現れた、という。ラファエロの若い頃の作品というが、ポスターは好きではなかった。が、しかし本物は違う。ウエーブのかかった柔らかそうな細い髪。肌の色。大切そうに一角獣を抱える腕が描く弧。

伊達政宗家臣であった支倉常長は、使節としてローマで枢機卿や教皇に謁見し、ローマの公民権を授与されている。彼の巨大な肖像画の衣裳は、少し気をつけて見るなら、誰でも奇異に感じることだろう。動植物の豪華な刺繍が入った白絹の着物の下にはレースのついたブラウス、袖口からは刺繍入り七分シャツが覗き、着物と同じ生地で仕立てられた袴のようなもの(描かれた腰の辺りは袴に見えない)、刺繍入り金色の足袋、指輪など、どこまで本当か分からないような服装なのだ。背景のカーテンには、支倉家の家紋、逆卍に違い矢が見られた。また、音声ガイドシステムのリストで「特別出品」と記されている『15.支倉常長像』は、黒い洋服を着た半身像の方だったか。その『支倉常長像』『ローマ教皇パウロ5世像』『ローマ市公民権証書』を、仙台市HPで見つけた。国宝。(仙台市HP「仙台市博物館-慶長遣欧使節」:http://www.city.sendai.jp/kyouiku/museum/syuuzou/index.html#10

気に入った展覧会では図録を購入するが、今回は、やめておいた。お昼にはまだ早かったので、近くの細見美術館で開催されている琳派展:鈴木其一――江戸琳派の風雲児――(9/19~12/13)へ。(細見美術館HP:http://www.emuseum.or.jp/

091208_1216591 美術館の南西路地が自転車置き場。受付で、ボルゲーゼ美術館の半券を提示すると、団体料金で入場することができる。

HPで確認すると、京都国立近代美術館・細見美術館は相互優待、京都市立美術館・細見美術館は相互優待なので、観覧券の提示で、常に団体料金になるらしい。 HPからダウンロードする期間限定の割引券もあった。思いつきで行くのでなく、調べてから行かねば。

鈴木其一は、とても良かった。ただ、三夕の歌を題材に取った『三夕図』などは好きになれない。弟子達の作品も、もう一つ。良かったのは、現在、細見美術館HPのバックになっている『朴に尾長鳥図』のたらしこみ技法の葉や、『木蓮に鶯図』の紫の木蓮。人物画よりも、草木や花の画。

細見美術館は、外観から想像もつかなかったが、広く、面白い建物だ。

091208_1143281_2 1階展示室を観た後、階段を下りて次の展示室へ。そしてまた下りて次の展示室へ。吹き抜けの地階にはレストランがあり、ミュージアムショップART CUBEもある。ここは、お洒落な文具・雑貨が揃っていて、型押し和紙のカードや鹿クリップなど、あれもこれも欲しくなる。

ランチは、六角通新町西入ルのGaspard Zinzinへ。デザートの、ジュレとグラニテの載ったグレープフルーツプリンまで美味しく頂いた。美しいものを観て、美味しいものを味わった満足の一日。

コメント
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