「みけー! どこへ行ったの?」
そういえば今日はしばらく見ていない。
朝方、ずっとついてきて、しつこいくらいだったのに…。
呼ぶと、「くろ」がひとりでやってくる。「あれ? お前だけ?」
エサをあげる。 いつもならその音をききつけてやってくるはずの「みけ」がやはり来ない。
あちこち探した。
いつも、いそうなところはすべて。
「まさか、外へ…!?」庭も見に行く。
「まさか ベランダから、落ちたんじゃないよね…?」下を見下ろす。
どこにもいない。
「くろ。 みけ 知らない?」 きょとんとして何にも言わない。
「みけ」がいなくなったらどうしよう…!
急に不安になる。
「みけー!!」 ちょっとパニック…。
…どこからか、かすかに「にゃー」という声がきこえたような…。
「あれ?」
さっき、ティッシュペーパーを取りに、階段の下の小さな物置を開けたんだっけ。
「みけ」は人の後をついてきて、目の前の押し入れや、戸棚に すぐに入ってしまう習性がある。(高いところからアピールするためかな。)
前の椅子をどかして、物置の扉を開けると、狭くて真っ暗な中で、「みけ」が不安そうにこちらを見ていた。
「なーんだ。こんなところにいたのか~。」
中は散らかって、ティッシュの箱がいくつかつぶれていた。
「心配したんだよ~。よかった~!」
ほっとして、頭をなでると、
ゴロゴロいって、うれしそうに眼を細めた。