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エリザベス・テイラー「クレアモントホテル」

2011年01月30日 | 海外の作家

 

訳・最所篤子
集英社文庫
2010年10月 第1刷
2010年11月 第2刷
解説・長田渚左
273頁


映画・クレアモントホテルの原作
作者の名前に驚きます
かの大女優と同じ名前の作家がイギリスにいたのですね

映画のほうが全体に優しさに覆われていました
原作のパルフリー夫人は、同宿者やルド青年を思いやる余裕があまり無く、老いへの苦悩や焦りに満ちています
ルド青年も映画ほどは老婦人へのいたわりの気持ちがあるわけではなく現実的です

孤独な老人たちの哀しくも滑稽な見栄の張り合い
老いの現実がつきつけられています

老いとは当たり前に思っていたものが一つずつ去っていく過程でもある
その孤独と不安に耐え、誰にも頼らず、誇りを持って人生の終幕を生きるパルフリー夫人
孫ほども年の離れたルド青年への淡い恋心と今は亡き夫と暮らしていた頃の思い出が彼女を支えています

時に煩わしく、いて当たり前と思っていた存在が去って行く日は避けがたく訪れる
何気ない毎日と自分を取り巻く人々のことを少し考えさせられる作品です

 

 

 

 


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