角川書店
2010年4月 初版発行
198頁
短編集です
少し小川洋子さんを思わせるような不思議ワールド、そこに西さんの強い筆致で引っ張り込まれるような感じ
一番気に入ったのは表題作「炎上する君」
外見は全くいけていないけれど知的レベルが高く、確固とした自分のスタイルを持つ二人の女性
二人は「女」である必要は無かった
炎上する君に出会うまでは…
人間をまっすぐに見ることの出来る、黒くて綺麗な目を持った、ぼうぼうと燃える足をもてあましているあの「男」に恋をした二人
最後の7行、何度も何度も繰り返して読みました
凄い!素晴しい!
女として生まれたこと、女として生きることに「万歳!」を叫びたいくらいです
(かなり大仰ですが読んだ人ならわかってもらえるんじゃないかしら)
他に良かったと思ったのは
「太陽の上」
中華料理屋「太陽」の上の部屋に住むのは3年前から外に出るのをやめてしまった女性
とても辛かったんだね、と声をかけてあげたくなります
しかし彼女は外に向かって一歩踏み出す決心をする
これも最後の5行が素晴しいです
「トロフィーワイフ」
祖父の遺した遺産で暮らす祖母と孫
読み進むにつれ祖母がトロフィーワイフであったことがわかってきます
ある程度の地位を築いた男性は、それまで苦労を共にした年取った妻を捨て、美しく若い女性を手に入れる
いわば自分の勲章として
それのどこが悪いんだろう、その人生を全うした祖母はばーさんになっても美しかった
「舟の街」
本当に参ってしまった人だけが行ける舟の街
そこで穏やかな日々を過ごして、もう戻ってもいいかな、と思ったら戻ってこれるらしい
優しい温かなお話なのですが、胸に迫るものがあってとても切なくなりました
「空を待つ」
「甘い果実」
「私のお尻」
「ある風船の落下」
全編、生き難い社会で暮らす人々、特に女性への応援歌のようでした
本当に良かったです♪
「きりこについて」に続いて読んだのがまた良かったかな~。
最後の数行、力強い言葉でぐっときました。
どこかで見かけたら是非立ち読みして思い出して下さいな。
\(~o~)/
わーい!!
こにさんも、この本、とても良かったみたいで、嬉しいなぁ~
はてさて、最後の数行・・・
うーーん、手元に本がもうないので、思い出せなくて、悲しい