2011年 スペイン=アメリカ合作
原題 Midnight in Paris
2010年
ハリウッドの売れっ子脚本家ギル(オーウェン・ウィルソン)は婚約者イネズ(レイチェル・マクアダムス)の両親の出張のご相伴に預かり憧れの街パリを訪れる
パリの屋根裏部屋での暮らしを切望するギルに全く理解を示さないイネズ
お金持ちで美人でスタイル抜群の彼女と、服装や髪形に無頓着で脚本家をやめて小説家になりたいと夢想するギルが不釣り合いなのは最初から明らかで、どうしてイネズがギルと婚約したのか不思議です
現実的で過去など一顧だにしないイネズの存在がよい隠し味にはなっているのですけどね
酔っぱらって道に迷ったギル
広場で物思いに耽っていると時計台が0時の鐘を鳴らし石畳の道を旧式のプジョーが走ってきた
ほろ酔い気分でプジョーに乗り込んだギルは古めかしい社交パーティに参加する
そこで出会ったアメリカ人夫妻はスコット&ゼルダ・フィッツジェラルドと名乗る
ピアノ弾きの男はコール・ポーター
パーティの主催者はジャン・コクトー
次に訪れたバーではアーネスト・ヘミングウェイを紹介される
なんとギルは憧れの黄金時代・1920年代のパリにタイムスリップしていたのだった
おまけに、そこで出会った人々は彼が心底敬愛する芸術家たちばかり
翌日の真夜中、同じ場所で待っているとやはり深夜0時の鐘とともにプジョーが走ってきた
車内でヘミングウェイが語るのは『武器よさらば』の一節
私もギルと同じようにワクワクして嬉しくなりました
ガートルード・スタイン女史のサロンではパブロ・ピカソとピカソの愛人アドリアナ(マリオン・コティヤール)に会う
ギルはアドリアナに一目惚れをしてしまいます
タイムスリップをしては1920年代で様々な芸術家たちと酒を酌み交わし語りあうギル
真夜中になると出かけるギルを不審に思ったイネズの父親が探偵に調査を頼むのですが、捜査員も消えてしまいます
捜査員がどこに(どの時代に)行ってしまったのかは観てのお楽しみ
笑えます
2010年のギルが憧れる黄金時代は1920年代
1920年代のアドリアナが憧れる黄金時代はベル・エポックの時代=1890年代
そして二人がタイムスリップしたベル・エポックの時代に生きるロートレック、ドガ、ゴーギャンはルネサンス期こそが素晴らしいと語る
ギルにとって憧れの時代も、その時代に生きる芸術家たちには退屈
誰しも自分の時代に不満を持ち、過去に憧れていることを知ったギルは遅ればせながら現実を見つめ直すことにします
ノスタルジーに浸る日々、ありですね
ちなみに私にとっての黄金時代は夏目漱石が執筆活動をしていた時代
上野のお山が大好きで何度も訪ねているのも、そういう理由からです
マリオン・コティヤール
どこかで観たようだと思いましたら「エディット・ピアフ~愛の賛歌」でピアフを演じた方でした
とても魅力的な女性ですね
日本でよりもむしろ海外で有名な彼なので、ここに出てきてくれると面白かったな・・・、などと思います。そんなことを思うと、確かにこの時代には興味が湧いてきます。でもそのあとまもなく悲惨な時代になりますけどね・・・。
東洋人はウディ・アレン監督の好みではなかったのかしら。
戦争で一度リセットされているので、余計にノスタルジーへの思いが強くなるのでしょうか。