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伊坂幸太郎「死神の浮力」

2014年04月12日 | あ行の作家

 

文藝春秋
2013年7月 第1刷
436頁

 

 

あの「死神の精度」の死神・千葉が長編となって帰ってきました
2008年には映画にもなりました
金城武さんの千葉、可愛くてクールで素敵だったなぁ

 

さて本作
千葉が作家・山野辺を調査する7日間の物語です
25人に1人の割合でいると言われている“良心のない人間”
その1人であるサイコパス・本城に山野辺夫妻の一人娘が殺された
本城の目的は人を殺害することではなく、それによって苦しむ人を見て嘲笑うこと、自分の名前を相手に刻み込むこと

 

野辺山夫妻は、裁判で無罪判決をうけ社会に戻ってきた本城への復讐に全てのエネルギーお金を注ぐのだった
野辺山夫妻の動きを察知して先手をうってくる本城の残酷、非道、冷淡さ
野辺山夫妻は強い意志でそれらに立ち向かい続けます
「死」を扱う物語なので重苦しく胸をしめつけられるような場面が多いのは当然ですが、その中で千葉の、くすりと笑わせてくれる言動が場を和ませてくれます

 

同僚の死神・香川が本城を調査していることを知る千葉
千葉と香川の調査結果は可なのか見送りなのか

 

最高に面白かったのは終盤396頁
千葉の漕ぐママチャリが本城の運転するライトバンを追いかける場面から
それまで度々出てくる、誰それの格言やら、一家言やら、名台詞やら、小難しいことは一切抜きのダム湖の周囲を走る山道で繰り広げられるカー?バイク?チェイスを愉しませて頂きました

 

本城の車と一緒にダム湖に落ちた千葉は浮力が働いたお蔭で無事戻ってきて
-死神なので水死するはずはないのですけど-

野辺山も身体に繋がっていた重石が外され、ふっと浮かぶように軽くなるのでした

 

メデタシメデタシ

野辺山の調査結果は、本書を読んでのお楽しみ♪

 

 

 

野辺山が受容れようとしなかった亡き父の蔵書の中の言葉

不寛容になってはいけない
寛容は不寛容によって命を落とすことがあるかもしれないが
寛容によって不寛容はすこしずつ弱っていく

 

本書のテーマのひとつですが、とても難しいものですね
結論は多分、出ないのでしょう
少なくとも当面は…




 


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2 コメント

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死神・千葉氏との類似性 (narkejp)
2017-06-16 20:56:24
『死神の精度』のときは、私もいくつかの点で千葉氏と共通点があると感じましたが、今回は全く似ていないと痛感しました。自転車で車と競争した時点で、「ダメだこりゃ(^o^;)」。
サクランボの収穫でくたびれているワタクシには、とてもそんな元気と体力がありません(^o^)/
トラックバックいたします。
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narkejpさん (こに)
2017-06-21 22:51:12
コメント&トラバありがとうございます。
そして、お疲れ様でございます<m(__)m>
今日の大雨は凄かったですね。そちらは大丈夫でしたか?

今回はダメでしたか(^_^;)
伊坂さん、次はどんな作品を読ませてくれるのか
楽しみなような不安なような…
返信する

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