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庄野英二「星の牧場」

2018年08月05日 | さ行の作家

 

角川文庫
1976年11月 初版発行
1986年 5月 4版発行
解説・串田孫一
295頁

 

悲惨な戦争体験のショックとマラリヤの高熱の後遺症でほとんどの記憶を失ったモミイチ
ただ、従軍した時の愛馬・ツキスミのことだけは鮮明に覚えていました
敗戦後、山の牧場に引き揚げてきたモミイチは大変な働き者で牧場の人々から頼りにされていましたが、時折ツキスミの馬蹄の音が聞こえると話すことで、奇妙な奴とも思われていました
ある日、炭焼きをするために入った山でオーケストラを組んで音楽を楽しむジプシーたちに出会います
彼らとの交流のなかで、モミイチは初めて心からの安らぎを覚え、ツキスミのことを語るのでした

 

牧場主らは、モミイチが山へ入るとなかなか戻ってこないことを心配し、町の医者につれていきます
無理強いはせず、のんびりさせるように言われますが、モミイチが山へ行かないよう監視を強め、それが逆にモミイチの心を苦しめてしまうのでした

 

最後、モミイチは幸せな思いに包まれて旅立ちますが、伝わってくるのは悲しみ以外の何ものでもありません
作者の戦争体験が随所に盛り込まれた子供にも大人にも読んで欲しい作品です

1981年にNHKで放送されたドラマと1987年公開の映画も観たいです

 

 


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