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平安寿子「こっちへお入り」

2017年07月16日 | た行の作家

 

祥伝社文庫
2010年12月 初版第1刷発行
2016年  9月 第14刷発行
解説・黄金家鉄兵
293頁

 

 

33歳独身
ちょっと荒んだアラサー女の心を癒してくれたのは往年の噺家たち
ひょんなことから始めた素人落語にどんどんのめり込んでいく主人公
忘れかけていた他者への優しさや、何かに夢中になる情熱を徐々に取り戻していくのでした
落語は人間の本質を描くゆえに奥深い
涙と笑いで贈る、遅れてやってきた青春の落語成長物語です

 

落語は一人で複数の人間を演じます
頼りになる大家さんとダメ男の代表のような与太郎
しっかり者の女と遊び人の若旦那
など、対照的なキャラクターが多いです
主人公は一人で複数を演じ分けることにより、人によって物の見方に違いがあることに気付き
自分が周囲の人々に対し一方的で自己中心的な評価を下していたことにハッとします
そういうことは屡ありますねぇ
自分も大いに反省です
日頃から多角度から世間を眺めることが必要
目からウロコが多いかもしれません
そして、イライラカリカリしていた自分の気持ちも楽になるのですよね
腑に落ちるってヤツです

 

 

帯より
“人生は楽じゃない、だからこそ笑いたい”
平節満載です

落語を知っている人も知らない人も
読み手はアラサーでもアラフォーでもアラフィフでもアラ還でも
読後は主人公の成長に拍手を送りたくなると思います

 

 

 


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