小学館
2006年11月 初版第1刷発行
223頁
少し前に読んだ「たとえば、葡萄」の前日譚があると知り図書館で借りてきました
早朝に電話で起こされ、幼馴染の奈津の一人娘・美月を理由もわからぬまま預かることになってしまった市子
美月から、父・憲吾が行方不明となり、奈津が捜しに出かけたことを聞かされます
2日後、戻ってきた奈津は憲吾を見つけられなかったと語ります
憲吾不在の中、市子と奈津の周りには続々と仲間が集まってきます
一番心に残ったのは、憲吾不在の中、奈津や市子、まり、彼女らを中心に広がる友人知人たち総出の美月の運動会参観です
まるで一族郎党が集まったかのような美月応援団、いいですね~
さらに、土方さんが作ってくれたアルバムを眺めて市子が思うあれこれにぐっときました
運動会の日の写真集に写っていたのは、まさにあの日の空気だった
近所の神社へ初詣にでかけ
年が替わったからといって、何がめでたいわけでもないってことは誰しもが思い、だけど、それでも、おめでとうと言葉を交わし合うのは、励まし合うのにちょっと似ているのかもしれない
くじけないで歩く続けているあなたへ
くじけないで歩き続けている私へ
たった一人で歩いているこの道を、たった一人で歩いている別の人が、すれ違いざま声をかけ合うみたいに
美月が28歳の「たとえば、葡萄」の感想で、『親世代をなめんなよ、な展開が良かった』と書いています
本作からおよそ20年が経っても市子、奈津、まりたちの、肩肘張り過ぎない生き方、さらりと清々しい友人関係がそのまま続いていたのだと嬉しくなりました
思うに、素敵な大人たちに囲まれて成長してきたはずの美月の生き様はイマイチ
その点では、本作のほうが良かったです
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