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車谷長吉「赤目四十八瀧心中未遂」

2010年09月18日 | か行の作家

寺島しのぶさん主演の映画を思い出される方のほうが多いかもしれません


32歳でサラリーマン生活を辞め、友人との交流も断ち、町から町へ流れ歩き、尼ヶ崎にやってきた男
男の仕事は、雇い主にあてがわれたアパートで、ひたすら牛や豚の臓物を串に刺すこと
同じアパートに暮らす社会の底辺に生きる人間たち

主人公の男が、いくら身を落としたといっても、所詮はただの観察者に過ぎないことを尼ヶ崎のアパートで暮らす人間たちは見抜いています
男も、堕落していく自分を自覚しながらも、自分はいつかはここから出て行く人間であることが解っているのです
ですが
アパートの住人の一人、兄の作った借金の肩代わりに身を売られることになったアヤちゃんに「ウチを連れて逃げて!」と言われ赤目四十八滝に向かうことになります
初めてアヤちゃんを見た時から心惹かれていた男はアヤちゃんの願いを聞き入れ一緒に町を出て片道だけの電車に乗ります

哀しい恋愛小説です
と同時に
作者は
これでもかッ、これでもかッ、と人間の本性を掘り下げていきます
迫力があります
軽い小説に慣れた頭をガツンとやられた、という感じです


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2 コメント

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旅と着物と本と・・・管理人さん (こに)
2010-09-21 19:39:33
車谷さんは覚悟して読まないといけませんね
最近の若い作家さんには見られない部分だと思います
だからこそ、書き続けて欲しいです

濃尾平野
だら~っと広いですよね^^

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はじめまして (旅と着物と本と・・・管理人)
2010-09-21 09:30:55
先日はコメントありがとうございました。
この小説はなかなか読みごたえがありますよね。

読書記録が充実していますね。ゆっくり読ませていただきます。

愛知県にお住まいなんですね。七月、息子に会いに豊田へ。濃尾平野の広さを実感しました。
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