文春文庫
2013年9月 第1刷
解説・山本兼一
上巻 435頁
下巻 451頁
かつて、最強と謳われ恐れられた新撰組三番隊長・斎藤一
明治を隔て大正の世まで生き延びた彼が、近衛師団の若き中尉・梶原に夜ごと語る、過ぎにし幕末の動乱、新撰組の辿った運命、維新後警視庁に奉職した後に赴いた西南戦争、そして剣の奥義
数多の命を奪った男の迫真の語りで紡ぐ鮮烈な人間ドラマ
ほとんどが斎藤の語りで、合間に梶原の周辺が挟まれます
始めのうちは退屈で途中で放り投げてしまうのではないかしら、と危惧したのですが、そのような心配は無用
梶原と同じく、斎藤の話の続きが聞きたくて(読みたくて)頁を捲る手が止められず苦労しました(^_^;)
「歴史は勝者によって作られる」と何度も語る斎藤
幕末~維新の正しい歴史が伝えられていない悔しさを胸に秘め、長生きしてしまった自分を憐れんでいるのでしょうか
また、ここで斎藤の語る歴史が真実とも言えません
そもそも正しい歴史というのはその場に生きた者だけが知るものなのでしょう
学校で教える歴史に意味があるのかしらとも思えてきます
幕末動乱期に逆賊と呼ばれた人々が明治になり新政府や軍などで出征し活躍したのが不思議だと思っていましたが、当時、内戦を続けていては外国の脅威に対抗できないという判断のもと、テキトーに赦されていたのですねぇ
読み終わって
斎藤が語りたかったのは、彼がただ一人剣術を教えた市村鉄之助の人生であり、斎藤が剣の奥義を体得したのは鉄之助と相見えた壮絶な体験を通してだったのだと思えて仕方がありませんでした
重い内容ですが読み応え十分
満足です
しかし、まぁ“糞袋”の多用には参りました(@_@)
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