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映画・ラビット・ホール

2011年11月05日 | 映画(海外)

 

2010年 アメリカ
原題 RABBIT HOLE


タイトルのラビット・ホールとは『不思議の国のアリス』に由来する
夫婦をおそった突然の悲劇を白ウサギに誘われてワンダーランドに落っこちた少女アリスのシュールな体験に擬えている


郊外の高級住宅街
庭に花を植えたり、ケーキを焼いたり、何の不自由もなく暮らしているようなベッカ(ニコール・キッドマン)
夕方には夫(アーロン・エッカート)も帰宅しますが、何となく暗い雰囲気
子供はいないのでしょうか
実は彼らの一人息子4歳のダニーは8ヶ月前、交通事故で亡くなっているのです

それ以来二人は埋めようのない欠落感を抱えて暮らしている
夫の提案で身近な者に先立たれた人びとのグループ・セラピーに参加するも他の会員の話に辛辣な言葉を浴びせてしまう
妹や母親を訪ねても気まずい空気を持ち込んでしまう
二人目の子供を作ろう、と話す夫を拒否
亡き息子の面影に悲しみがつのるばかりの彼女は夫に相談もせず自宅を売りに出すことにする
夫婦の溝は深まるばかり

家で塞ぎこんでばかりではいけない
自分でも何とかしなくては、とわかっているベッカ
美しく着飾りかつての職場を訪ねるが、当時の同僚は辞めてしまったか転勤かで籍が無い
自分が来る場所では無いということを思い知らされた帰り道
偶然隣に止まったスクールバスの中の少年を見て驚く
彼はダニーを車で撥ねた張本人だったのです
こっそりバスの後をつけて少年の自宅を確認
夫には内緒で彼と公園のベンチでお喋りをするようになる
彼の口から出た謝罪の言葉に対し「いいのよ、あなたの気持ちはわかったわ」と受け入れるベッカ
彼との会話と、彼の描くコミックのテーマ『パラレルワールド』に少しずつ救われるような気持ちになる
向うの世界には、幸せに暮らしている自分がいるのかもしれない
自分と同じように11年前息子(ベッカの兄)を失った母親の悲しみも少しですが理解し始めます

夫は夫で、妻との関係がうまくいかないことでセラピー仲間の女性と急接近
しかし、彼女の自宅に入る直前に考え直します

夫婦は互いに愛し合っています
しかし息子を失った喪失感が、夫婦や親族、友人との関係までおかしくしてしまうのです
人は、喪失とそれに伴うコミュニケーションの喪失をどのように復元させていけるのでしょうか

実際に『喪失』を体験した人には、直視が辛くなるほどの映画だと思います

アメリカ映画にありがちな、夫婦や親子の愛が悲しみから立ち直らせてくれるという感動映画ではありません
しかし暗くはなく画面はいつも明るく優しい色合いに彩られているし、ユーモア溢れる会話もあります


ラスト
この先二人が立ち直るのかどうか、そこまではわかりませんが、少なくともベッカも夫も一人の人間として何かを乗り越えたのではないでしょうか

 


ニコール・キッドマンは本当に美しいです
本作ではノーメイクかしらと思うくらいですが美しいです
昔の職場を訪ねる時のバッチリメイクの彼女には溜息が出そうなくらいでした

 

 


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4 コメント

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喪失感 (たんぽぽ)
2011-11-09 19:56:13
みました。
4歳の子を亡くすというのは本当につらいだろうなと思います。
犬のことなどにたとえたらおしかりを受けそうですが、私、2年ほど前に愛犬をなくしまして、「悲しみがポケットの中の小石に変わる」という感覚が、なんだか実感されるのです。時間に比例して限りなく小さくなるかと思えば、そうではなくて、決してなくなりはしない。
これが我が子だったとしたらどんなにか・・・と。ほんのり優しさに包まれるような、良作でした。
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たんぽぽさん (こに)
2011-11-12 17:02:36
自分にはまだ経験が無いのですが、自分より年少の者を失う悲しみは想像を絶するものでしょうね
人間でなくても一緒に暮らしていたのなら同じことだと思います
人間は強くなれるんだな、とラストは少しだけ救われましたね
ニコール・キッドマンがより好きになりました
返信する
こんばんは~☆ (kira)
2014-05-06 23:31:11
こにさんにとってはかなり旧い記事からTBを下さって、有難うございます♪

こういうテーマの作品は、当時避けたかったのかもしれません、
観る予定もなかったのですが、偶然テレビでタイトルをみつけて
録画して、正解でした。
忘れて、前に進みたい。けど、すっかり忘れてしまいたい、と言うのとは違う、、、
そんな切なさがバクハツのシーンで、やられました。
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kiraさん (こに)
2014-05-07 16:10:44
ニコール・キッドマン観たさに映画館まで足を運びました。
辛い内容でしたが、最後には前に進めそうで救われましたね。
「ライラの冒険」続編の映画化がなくなってしまったのが残念でなりません。
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