2009年 フランス・イタリア合作
原題 Les Herbes Folles(狂った草)
偶然の出来事がきっかけで出会った中年の男女の心の接近
独身の歯科医師マルグリット(サビーヌ・アゼマ)は靴を買った帰り道、バッグをひったくられてしまう
手持ちの現金も無いため、靴を返品、返金してもらって帰宅
水風呂に入りながら「明日、警察に行こう」と考える
50歳を過ぎ、無職、妻の収入で生活しているジョルジュ(アンドレ・デュソリエ)がショッピングセンターの駐車場でたまたま拾った財布が彼女のものだった
身分証明書やクレジットカードと一緒に小型飛行機の操縦免許証が入っていて、彼女の写真を見たジョルジュは少年時代に飛行機好きだったことを思い出す
仕事を失い、少々精神的に不安定な彼は、妄想に囚われがち
財布に残されていた身分証明書からマルグリットの自宅の電話番号を探し出し、電話をかける
これをきっかけに彼女との関係が「発展」していくのだろうか
孫もいるジョルジュ、妻のシュザンヌ(アンヌ・コンシニ)や子供たちとの関係がうまくいっていないわけではない
妻に財布を拾ったことを話し、アドバイスに従って警察に届けにいく
シュザンヌという人
夫のマルグリットに対する妄想を知りながら、嫉妬する風でもなく、マルグリットを受け容れ夫の心に平静がもたらされる様に努力しているようです
小さな街なのでしょうか
マルグリットの紛失届けとジョルジュの拾得物届けを担当した警察官が偶然同じ人間・ベルナール(マチュー・アマルリック)で警察署でのそれぞれとの会話がシュールで可笑しかったです
この後の展開は日本だったらストーカー行為と見なされること間違いなし、ですがそこはフランス
マルグリットが治療を終えた男性から言寄られる時の反応など、異性との関わり方が日本とは違うのです
思慮も分別もあるはずの紳士が、恋をしたいという妄想に突然強くとらわれ慌ててしまい、真面目で正直な人間だからこそ、おかしな事を言ったりおバカな行動をとってしまう
始めにジョルジュに対してとった行動が申し訳なかったという考えから、彼に接近していくマルグリットは色恋には淡白なタイプながらジョルジュのことが頭から離れなくなります
シュザンヌとの会話を通じて、やがてジョルジュ夫妻を友として受け容れ小型飛行機の遊覧飛行に招待しハッピーエンドとなります
人間は誤解や思い込みを重ねながらつきあっていくもの
おかしな中年男性と女性たちの軽妙でクールな恋愛映画でした
幕切れに登場する少女の台詞
「猫になれば猫の餌が食べられるの?」
どういう意味なんでしょう
欲しいものがあるのなら、手に入れるための勇気が必要、とか?
ストーリーがしっかり着地しませんものね・・・。
男と女の気まぐれな恋愛劇、アクロバット飛行でした。
ラストはフランス人でないと理解しずらいのかもしれませんね。
ズボンのジッパーの件とか…。