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夢枕獏「エヴェレスト 神々の山嶺」

2016年07月27日 | や・ら・わ行の作家

 

 

 

角川文庫
1997年8月 集英社より刊行
2000年8月 集英社文庫として刊行
2014年6月 角川文庫として刊行
上下巻を合わせて合本版としたもの
2015年10月 初版発行
2016年2月 4版発行
1075頁

 

 

1924年、世界初のエヴェレスト登頂を目指し、頂上付近で姿を消した登山家のジョージ・マロニー
カトマンドゥで、登攀史上最大の謎の鍵を握るマロニーのものと思しき古いコダックを手に入れた写真家の深町誠だが、何者かにカメラを盗まれる
行方を追ううち、深町は孤高の登山家・羽生丈二に出会う
羽生が狙うのは、エヴェレスト南西壁、前人未到の冬季無酸素単独登攀だった

 

 

山岳小説の金字塔
映像化は無理と言われていましたが今年3月、阿部寛さん・岡田准一さんで映画が公開されました
映画にやや物足りないものを感じたのですが、今回原作を読んで、納得しました
これはこれは、全くもって大変な小説です
登山とはいえない、ハイキングに毛の生えた程度の山登りしか経験の無い私にも、エヴェレストを目指す男たちの熱さが伝わってきます
山に魅入られた登山家、羽生丈二と、彼との出会いによって人生を見つめ直した写真家、深町誠
読む者を圧倒する物語に感動したのと同時に、20世紀初頭からのエヴェレスト登山史、イギリスとチベット、ネパールの関係、政治経済状態なども勉強になりました

 

夢枕さんによるあとがきでわかる
登場人物のモデルとなった人々
羽生の手記のモデルとなった言葉
そして本作発表後の1999年に発見されたマロリーの屍体とそこには無かったカメラ
リアル人生こそ、小説よりドラマティックな展開を見せるものなのかもしれませんね

 

 

映画でかつての羽生のザイルパートナー岸文太郎の妹で恋人でもあった岸涼子を演じたのは尾野真千子さん
原作よりクローズアップされていましたが、それでも映画での扱いが物足りなく感じたということは完全なるミスキャストではなかったでしょうか
阿部寛さんと岡田准一さんは良かったけど尾野真千子さんが残念
やっぱりそうだよね~
よほど映画の印象が強かったワタクシなのでした<m(__)m>

 

あしが動かなければ手であるけ
てがうごかなければゆびでゆけ
ゆびがうごかなければ歯で雪をかみながらあるけ
はもだめになったら目であるけ
目でゆけ目でゆくんだ
めでにらみながらめであるけ
めでもだめだったらなんでもかんでもづしようもなくなったらほんとうにほんとうのほんとうにどうしようもなくなったら………ほんとうにだめだったらだめだったらほんとうにもううごけなくなってうごけなくなったら
思え
ありったけのこころでおもえ 

想え―――

 

 

素晴らしい小説を読みました!!!

 


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