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吉田篤弘「電球交換士の憂鬱」

2018年05月21日 | や・ら・わ行の作家

 

徳間書店
2016年1月 第1刷発行
269頁 

2014年9月から2015年12月まで「読楽」に掲載された7作を単行本化にあたり加筆・修正したもの
連作集です

「不死身の男」「よく似た人」「北極星」「煙突の下で」「砂嵐とライオンの眼鏡」「屋上の射的場」「静かなる電球」

 

22世紀の東京
世界でただ一人、電球の交換を生業としている十文字
彼が贔屓にしているバー〈ボヌール〉での一幕から物語は始まります
他の常連客は活版印刷屋の春ちゃん、ゲイのマチルダ、一応刑事とのことだけれど正体不明の西園寺剛
電球交換士を名乗って間もない頃、駅の電球を交換中に強烈な電気ショックをくらいヤブ医者(藪=ヤブという苗字)から不死身(かもしれない)と診断されています
不死身とは孤独なもの、と承知しながらの日々
そりゃぁ憂鬱にもなるでしょうね~、って十文字の憂鬱の原因はそれだけではありません

 

十文字そっくりの偽者現る?
永遠に切れることの無い電球が開発された?=つまり十文字は失業?

基本、大きな盛り上がりはありませんがミステリーの要素もあって気づいていたら読み終わっていました

 

十文字が、眼鏡を作ったことで頭の中までボンヤリしていたのがハッキリ見えたというあたりは、吉田さんの実体験でしょうか?
そういえば自分も初めて老眼鏡を作った時は、その見え方に感動しましたワ
見辛くなっていることは分っていても“抵抗”があって眼鏡を作らず痩せ我慢していたのです

 

十文字の周囲で起こる普通のようで普通でない出来事
何故か、吉田ワールドではごく自然なこととして受容れてしまいます
受容れなければ吉田ワールドを楽しめないのですけどネ
ボンヤリ読んでいると見落としそうになる格言らしき言葉が随所に出てくるのも吉田作品の魅力のひとつです

 


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