角川文庫
2018年 3月 初版発行
解説・諸田玲子
268頁
悲惨な境遇におかれた女性を主人公に描く2編
「柳橋物語」
恋に恋していた17歳の時
“待っていて欲しい”の言葉を信じてしまったが故、真実を見る目を曇らせてしまったおせん
本当に自分を愛してくれていた男を見失ってしまい、四面楚歌の苦しみの中、闘って闘って、最後には正々堂々と生きる道を選んだのでした
「しじみ河岸」
犯してもいない罪で入牢し、処刑を待つお絹
直感から、お絹は嘘をついていると気付いた吟味与力・律之助がその謎を解き明かしていきます
生れた時から絶望と諦観の中で暮らすしじみ河岸の人々
お絹を救ったことが果たして良かったのかどうか、ほろ苦い酒を呑む律之助なのでした
貧困、冷淡な世間、裏切り、不実と闘う山本周五郎さんの弱者に寄り添う眼差しに、ホッと救われる思いの残る2編でした
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